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Googleが組織再編、CEOピチャイ氏が従業員向けに発信したメッセージ

 米Google(グーグル)とAlphabet(アルファベット)のCEO、スンダー・ピチャイ氏は、全社的なスピードと実行力を向上させるための組織再編などの取り組みについて従業員向けにメッセージを発し、その内容を公開した。

GoogleのCEO スンダー・ピチャイ氏がメッセージ公開

 公開されたメッセージの内容は、最先端の基礎モデルと研究、AI開発に係る責任と安全性、プラットフォームとデバイス、ミッションファーストの4つに大きくわけられる。

最先端の基礎モデルと研究

 2023年、GoogleはGoogle Brain TeamおよびDeepMind、高機能かつ汎用性の高いAIシステムの研究者を集結し、その後1年間で驚くべき進歩を見せた。GoogleのAI「Gemini」は、リーダーと見なされ、改善を続けている。そして、技術革新によって世界で最も先進的かつ完全かつ責任あるAIを提供する道を歩み始めた。

 今回、この進歩を加速させるために研究チームとGoogle DeepMindチームを統合する。これらの業務は全てGoogle DeepMindに集約され、ユーザー、パートナー、顧客のために有能なAIを提供する能力を拡張する。これにより、コンピューティング集約型のモデル構築を1カ所に集中し、開発を簡素化する。

 今回の変更によって、Google ResearchはGoogleのミッションに直結する、量子を含むコンピューティングシステム、基礎的なML(Machine Learning)とアルゴリズム、応用科学と社会における基礎および応用コンピュータサイエンスの研究への投資を継続する使命が与えられる。

 ジェームズ・マニカ(James Manyika)氏が研究および技術、社会とラボに係る役割を担い、ヨシ・マティアス(Yossi Matias)氏が直属のリーダーとなり、引き続きGoogle Researchを監督する。デミス・ハサビス(Demis Hassabis)氏とジェームズ氏は引き続き緊密な協力を続け、Google DeepMindとGoogle Researchは協力し続ける。

AI開発に係る責任と安全性

 Googleは、責任あるAI構築と導入における長年のリーダーであり、2023年には他社を含めて、AIを安全かつ責任をもって開発するための対策に取り組んだ。

 Googleは、ユーザーと顧客にとって正確で信用できる、透明性の高いAI製品を展開するクラス最高の企業となる必要がある。これを支援するために、開発サイクルの重要なポイントでResponsible AIチームの作業方法を変更する。

 GoogleはResponsible AIチームをGoogle DeepMindに移籍させたほか、他の複数の責任チーム(responsibility teams)を信頼と安全チームに移した上で、AIのテストと評価にさらに投資を継続している。これらの変化によって、モデル、製品、ユーザー間のフィードバックループが強化される。

 また、実際の攻撃者を想定したレッドチームテストへの投資を増やすと共に、ユーザーの要求に的確に対応できるように、広範な評価を行っている。

コンピューティングプラットフォームとデバイス

 コンピューティングを真に前進させるには、ハードウェア、ソフトウェア、AIが交わる場所で行う必要がある。Googleは、DSPAとP&Eを統合し、新たにPlatforms&Devicesに統合する。

 また、コンピュテーショナルフォトグラフィーとオンデバイスインテリジェンスに集中するGoogle Research部門も、プラットフォームとデバイスを横断する深いAIの専門知識を新しい組織に移動する。

 Platforms&Devices全体で統一されたチームとなることで、ユーザーとパートナーにより質の高い製品と体験を提供できる。たとえば、AndroidとChromeのエコシステムを加速させ、サムスンと「かこって検索」で行ったように、最高のイノベーションをより早くパートナーに届けられる。また、社内では意思決定のスピードアップにもつながる。

 リック・オステルロー(Rick Osterloh)氏がPA全体を監督し、サミア・サマット(Sameer Samat)氏がAndroidエコシステム全体をリードする。Android、Chrome、ChromeOS、Google One、Google フォトの成長に大きく貢献したヒロシ・ロックハイマー(Hiroshi Lockheimer)氏は、Alphabet全体でいくつかの新プロジェクトに取り組みながら、移行のアドバイスをする。これには、日本担当のエグゼクティブスポンサーとしての新たな役割の実験的な運用も含まれる。

ミッションファースト

 ピチャイ氏は、ミッションファーストの考え方として、「今回の変更は、使命に向かってより集中して仕事をするためのもの。活気に満ちたオープンな議論をする文化を守ることは重要だが、我々には世界中の全ての人々に客観的で信頼できる情報を提供し、普遍的にアクセス可能なものとする義務があり、それを反映した集中力をもって行動することを期待している」と語り、メッセージを締めくくっている。