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Bluetooth SIGが設立25周年、今後は「2台の距離を正確に測る」「遅延の減少」など新機能導入へ

 Bluetoothの規格を定める標準化団体のBluetooth SIG(Special Interest Group)が、発足から25周年を迎えた。当初のワイヤレスオーディオの枠を超え、さまざまな場面で活用されるBluetoothのこれまでと今後を、Bluetooth SIG 最高マーケティング責任者のケン・コルドラップ氏が説明した。

Bluetooth SIG ケン・コルドラップ氏

 Bluetooth SIGは1998年に設立。Bluetoothの技術や商標管理などを担っており4万以上の企業がBluetooth技術のクロスライセンスを保有。2022年には7万以上のBluetooth搭載製品の認証プロセスを完了した。

 Bluetooth SIGでは、50以上の仕様策定に関するプロジェクトが進行中。コルドラップ氏はその中の一例を紹介した。

2台のデバイスの距離を正確に測定

 2024年前半には、2台のBluetoothデバイス間の距離を正確に測定する技術の登場が見込まれる。これにより、Bluetoothの位置特定の機能が向上し、デジタルキーや忘れ物タグ、追跡システムの一環としての機能を強化する。プラスマイナス10%ほどの精度を目指すという。

Bluetooth LEでデータスループット向上、5・6GHz帯の利用も

 さらにその後1~2年で、Bluetooth LEのデータスループットを2Mbps~8Mbpsに向上させる。既存もしくは新たに登場するBluetooth LE技術の両方に適用が可能という。ゲームパッドでの応答速度向上やヘルスデバイスでのリアルタイムモニタリングの強化、音楽視聴も大きく変わるとする。

 あわせて、Bluetooth LEの周波数帯域を現在の2.4GHzのみならず5GHzや6GHz帯に拡張する取り組みが進められており、より高速かつ低遅延を実現できるようになる。

Bluetoothの普及を支えた3つの要素

 コルドラップ氏は、Bluetoothが堅調な成長を遂げてきた要因に、根底には3つの大きな流れがあると説明する。そのひとつが「ワイヤレスオーディオ」。同氏は、Bluetoothはもともと、オーディオ機器をケーブルから開放しようと始まったもので、これがBluetoothの出発点と語る。

 さらに車のハンズフリー機能も導入され、運転時の安全性を強化したとするほか、ステレオやヘッドホン、スピーカーにもBluetooth技術が用いられており「音楽を楽しむ方法が大きくと変わった」と表現した。近年では、聴覚が不自由でも音楽などを楽しみたいといった要望に応え、Bluetooth搭載の補聴器も登場している。

 キーボードやマウスなど一般的な電気製品もBluetoothの成長を支えた要素のひとつ。加えてスポーツやフィットネス機器のほか、医療機器でも健康・医療面でもその技術は活用されている。歯ブラシや子供用のおもちゃなど多くの製品でBluetooth接続が可能になっており、毎年数百ほどの製品がBluetoothを採用している。

 さらに最後の要素として産業分野でも、Bluetoothが広まっている。工場における予知保全システムにより、稼働停止時間削減を削減。電力ネットワークをBluetoothで管理することでビルの省エネ化も可能で、70%ほどを削減できた事例もあるという。

 多くの場面で生産性を上げ、情報を追跡するだけではなく作業者の生産性・安全性が向上する仕組みとして用いることも可能。近年では、ESL(電子棚札)のシステムにBluetoothが採用されており、その普及は拡大している。

 コルドラップ氏は「より多くの人々の生活により良い影響をもたらすソリューションを提供すべく取り組んできた」とコメント。さらに「25年前と比べて生活の利便性は大きく向上したことに自信を持っている」とした。