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ドコモ・au・ソフトバンク・楽天の電波状況、山手線や主要空港はどう? OpenSignalが調査

 オープンシグナル(Open Signal)は、日本国内における「モバイルネットワークエクスペリエンス」(日本国内ユーザーにおける携帯電話体験)の調査結果を公表した。

 オープンシグナルがユーザーから得られたデータを基に分析した日本のモバイルネットワークユーザー体感レポートでは、全体、5G、カバレッジ、整合性という大きく4つのカテゴリーに分けて分析調査を行っている。

 2022年のレポートは、1月1日~8月29日までの期間で調査を実施。ユーザーが実際に体感している経験を理解できるレポートとして作成された。調査対象の携帯事業者は、NTTドコモとKDDI(au)、ソフトバンク(ソフトバンク)と楽天モバイルの4社。今回は、従来の調査に加え山手線や主要空港での調査も実施されている。今回の調査結果を、オープンシグナル分析担当バイスプレジデントのイアン・フォッグ(Ian Fogg)氏が説明した。

イアン氏

ユーザー体験ベースの調査結果

ビデオエクスペリエンス部門はドコモとソフトバンクがアワード受賞

 ビデオエクスペリエンス部門では、ドコモとソフトバンクがアワードを受賞した。前年はソフトバンクのみ受賞していたが、ドコモが追い上げた形でどちらも受賞した。

 一方、5G通信に限った5Gビデオエクスペリエンス部門では、ソフトバンクがほか3社を引き離して78.6ポイントでアワードを受賞した。

ゲーミング体験部門

 次にゲームエクスペリエンス部門。ここでは、全体と5G通信ともにソフトバンクがアワードを受賞した。世界中のゲームサーバーに接続した際のユーザー体験を評価しており、特に5G通信ではドコモ70.8ポイントに対してソフトバンクが84.9ポイントと大きく差をつけている。

音声アプリ部門

 音声アプリ部門では、全体では4社ともに80ポイント以上の高いユーザー体験が提供できているため4社でアワードをどちらも受賞した。5G通信においても全社80ポイント以上出ているが、なかでもポイントが高かったソフトバンクと楽天モバイルがアワードを受賞した。

ユーザー目線の5G通信のカバレッジ

 なお、オープンシグナルではキャリアのエリアマップとは別に各キャリアのカバレッジエリアを公開している。このカバレッジエリアは、ユーザーが3G以上の通信ができるエリアを地図に落としたものになる。

 5Gエリアにどれほど到達したかを示すアワードでは、ドコモとソフトバンクが10点満点中3.2ポイントでどちらも賞した。このポイントは、ユーザーが訪れた場所のおよそ1/3で5G通信の信号を受信したことを示しているという。5G Reachの項目は、普段ユーザーが滞在する場所にどれだけ5G通信を提供できているかを示す数字につながる。

下り/上り速度を比較

 ダウンロードスピード、つまり下り速度の部門では、ドコモが全体と5Gともにアワードを受賞した。全体の数値では、1位のドコモが47.1Mbpsに対し4位の楽天が30.0Mbps、5G通信での通信速度は、ドコモが211.6Mbpsに対し4位のauは115.3Mbpsとなった。

ダウンロードスピードを比較

 一方、アップロードスピード(上り速度)部門では、全体と5Gともに楽天モバイルがアワードを受賞した。全体では楽天モバイルが16.9Mbpsで2位のソフトバンクは9.0Mbps、5Gで楽天モバイルが27.9Mbps、次点のソフトバンクが20.2Mbpsとほか3社に差をつけてのアワードとなった。

アップロードスピードを比較

総合ではソフトバンク、ドコモがアワードを受賞

 最後に総合的な評価となる「整合性」部門においては、一般的なアプリのユーザー体験を評価する「中核となる一貫した品質」ではソフトバンクが、HDビデオやビデオ会議、ゲームプレイなどのユーザー体験を評価する「一貫した素晴らしい品質」ではドコモが受賞した。

山手線や空港のユーザー体験も評価

 2022年のレポートでは、新たに山手線内と空港の「日本の交通拠点」となる場所での5Gユーザー体験の評価もまとめられた。

 山手線での評価では、東京と横浜の都市全体と山手線での評価を比較したレポートを公開。全体では、東京が48.2、横浜が46.5、山手線が47.9Mbpsとなり通信速度で大きな違いは見られなかった一方、5Gの接続機会では、東京7.3%、横浜6.7%、山手線17.2%と山手線での5G接続機会が多いことがわかった、4キャリア全体で見ると、山手線エリアでの5G展開に重点を置かれていることがうかがえる。

山手線の評価結果
山手線主要駅の速度結果

 主要な空港のユーザー体験調査では、羽田空港や成田空港、関西空港、大阪(伊丹)空港と中部国際空港(セントレア)の5つの空港で調査を実施。全体と比較したところ、ダウンロードスピードは全体の数字よりも若干高く、5G接続率では8.6%となり、ほかのエリアと比べて5G接続率が高い傾向にあった。

 一方、信号が受信できない体験の割合、つまり圏外となった割合は、全体が0.5%に対し空港では4.1%となった。これに対してイアン氏は、空港特有の事情がある旨を説明している。

国内主要空港の結果

 2022年のレポートのサマリーとして、次の内容を挙げている。

  • 日本最速のダウンロード速度はNTTドコモ
  • 最高のマルチプレイヤーゲーム体験ができるのはソフトバンクユーザー
  • ビデオ体験はドコモとソフトバンクが首位に並ぶ
  • 5Gのアップロード速度(全体・5Gともに)では、楽天モバイルがアワードを受賞

5G通信の進歩は日本でも進んでいる

 なお、世界100以上の通信事業者を分析しているオープンシグナルでは、前年からの推移についても調査しているという。2021年から2022年の間に5G通信が大きく改善した事業者を商標する「5G Global Reader」では、日本のソフトバンクが受賞している。