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横浜国立大学、液体金属を用いた“伸びる”リチウムイオンバッテリーを実現

 横浜国立大学は、液体金属を用いた“伸びる”リチウムイオンバッテリーを実現したと発表した。次世代のウェアラブルデバイスへの応用が期待できるという。

 同大学の太田裕貴准教授と上野和英准教授らの研究グループは、液体金属による伸縮可能なガスバリアフィルムを開発。このフィルムをバッテリーのパッケージに用いることで、大気中で動作可能な伸びる(ストレッチャブル)リチウムイオンバッテリーを実現したという。今回の研究成果は、国際科学雑誌「ACS Applied Materials & Interfaces」(日本時間9月28日付)に掲載された。

 同様に伸びるバッテリーは、ゴム素材を用いて実現していたが、ゴム素材は酸素や水分に対して高い透過性があり、大気中ではバッテリーを劣化させてしまい利用が困難だったという。

 今回、ポリウレタンゴム上に金を成膜し、その上に液体金属をコートすることで、液体金属がガスと水分の透過を抑制したストレッチャブルガスバリアフィルムを実現。このフィルムを採用するなどにより、ストレッチャブルリチウムイオンバッテリーが実現できたとしている。

ストレッチャブルガスバリアフィルム(左)とリチウムイオンバッテリー(右)
ストレッチャブルリチウムイオンバッテリーを変形している様子
静止/変形時のバッテリー性能。aは静止状態での充放電曲線、bは50%引っ張ったときの充放電曲線、cはストレッチャブルバッテリーの時間ごとの電圧変化を表す。cのグラフの色は、外気から遮断されたグローブボックス内のストレッチャブルバッテリーが黒色、大気中のものが青色、今回開発したバッテリーが赤色

 今後は、フィルムの低コスト化を行うことで、ストレッチャブルバッテリーやストレッチャブルデバイスの社会実装につながることが期待できる。