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NURO 光に続いてローカル5Gの「NURO Wireless 5G」が登場、プレゼンと質疑で語られたサービスの中身と申込手順のあり方とは

 ソニーワイヤレスコミュニケーションズは25日、インターネットサービス「NURO Wireless 5G」を4月1日から提供することを発表した。

 報道関係者向けに開催された発表会には、ソニーワイヤレスコミュニケーションズおよびソニーネットワークコミュニケーションズ執行役員の永井直紀氏が登壇。プレゼンテーションや質疑応答が実施された。

永井氏

プレゼンテーション

 永井氏は、プレゼンテーションの冒頭で、昨今のインターネットサービスを取り巻く環境について紹介した。

 新型コロナウイルスの影響によるテレワークなどの環境変化に加え、動画やゲームのリッチ化・大容量化が進む。

 このような状況による需要も追い風となり、ソニーネットワークコミュニケーションズが提供する「NURO 光」については、会員数が100万を突破した。

 しかし、「NURO 光」は部屋に光ファイバーを配線する形式のサービスで、配線が不可能な建物に対してはサービスを提供できない。

 そこで、より多くのユーザーにインターネットサービスを提供すべく、昨年に発表されたのが「NURO Wireless 5G」。同サービスは4月1日から一般提供される。

 「NURO Wireless 5G」は、ローカル5Gを活用したインターネットサービス。

 永井氏は、通信事業者が提供するパブリック5Gと、今回のローカル5Gに関して、大きく2つの違いを紹介した。

 1つ目は、「ローカル5Gは、パブリック5Gが提供されていない地域にも構築可能であること」。そして2つ目は、「上り下りの速度や通信容量といった通信性能を、柔軟に設定できること」。

 「ローカル5Gでは、サービスの提供元が独自の5Gシステムを構築してサービスを提供するため、特定の用途に特化したサービス提供が可能になる」と永井氏はアピールする。

 同氏は、ローカル5Gの特徴として、「独自システムゆえ通信障害や災害の影響を受けづらい」「免許制であるため、Wi-Fiと比較して混線が発生しづらく安定性が高い」ことも紹介した。

 今回の「NURO Wireless 5G」では、サービスエリア化対象の物件に対して基地局が設置される。ユーザーは各自の部屋にホームルーターを設置するだけで、工事不要で無線のインターネットサービスを利用できる。

 通信速度はベストエフォートで、下り最大4.1Gbps、上り最大2.6Gbps。5GとIEEE802.11axを束ねて利用するアグリゲーション技術により、通信の安定性向上も図られる。永井氏は、「今後はミリ波への対応も考えていく」と語った。

 料金は「STDプラン」のみのシンプルなワンプランで、月額4950円。別途、事務手数料として3300円がかかる。

 月額料金にはホームルーターのレンタル料金も含まれており、機器の購入は不要。契約期間の縛りはなく、利用開始後、いつ解約しても解約金は発生しない。

 また、光回線サービス同様、通信データ容量に上限はない。

 最大7日間にわたって無料で試すことも可能で、サービスに納得できない場合は利用料発生前の解約にも対応する。

 サービスエリアは、4月時点で東京、神奈川、埼玉、大阪の一部地域。今後は順次拡大が予定されている。

 公式Webサイト上にはエントリーフォームも用意されており、ユーザーの住所がエリア化された際には通知を受け取れるしくみ。

 なお、ユーザーの住所が対象エリアかどうかの判定について、現状、公式Webサイトでは建物名による判定には対応していない。

 永井氏は、プレゼンテーションの締めくくりとして、ソニーのネットワークブランド「NURO」について説明した。

 ソニーネットワークコミュニケーションズでは、「NURO 光」をはじめとして、通信をベースとしたさまざまなサービスブランドを提供している。

 永井氏は、「『NURO Wireless 5G』をはじめ、今後開発していくローカル5Gサービスは、『NURO 5G』というサブカテゴリーのなかで提供していく」と紹介。

 そのうえで、「『NURO 5G』では、ローカル5Gの特性を活用し、エンターテイメントを中心として楽しさや快適さを届けられるサービスの開発に挑戦する。これは、BtoCサービスに限らず、BtoBサービスでも同じ。ローカル5Gを通じて新たな体験や価値を届けられるよう、サービスを拡充していく」と語った。

質疑応答

――エリア化の対象となる場所について、具体的に教えてほしい。

永井氏
 光回線を利用したくてもできなかった集合住宅が多数存在しており、そういった集合住宅が対象となる。

 基本的にはお客様にエントリーしていただいて、というかたちになるが、エントリーの数なども加味しながらエリア化の順番は検討していく。

――エントリーがあった場合、サービスが提供可能になるまでどの程度の時間がかかるのか。

永井氏
 (集合住宅の)所有者の方との話し合いから始まるので、時間に関しては数カ月~半年くらいをめどに考えていただければと思う。

――ひとつの集合住宅につき、どの程度のエントリーが集まったらエリア化の検討対象になるのか。

永井氏
 具体的なお話はできないが、我々自身でももちろん営業活動はしていくので、ある程度の数が集まればサービスの提供はできると考えている。

――アンテナの設置場所はどこになるのか教えてほしい。

永井氏
 さまざまなケースが考えられる。例としては、敷地内にポールを立てたり、壁面に設置したりというパターンが挙げられる。電柱もひとつの選択肢として考えている。

――エリア化に関して、完全に物件単位なのか。それとも、少数のユーザーがいる物件が、ある地域に複数存在する場合でも、エリア化対象となるのか。

永井氏
 基本的には物件単位でのエリア化と考えていただきたい。場合によっては、複数の物件でもひとつの基地局で対応することを考えている。

――物件単位という話だったが、申込みに関して教えてほしい。たとえば個別の家庭が申し込めるのか、あるいは管理組合を通して申し込むようなかたちになるのか。

永井氏
 個別のお客様から申し込んでいただくかたちだが、エリア化に際しては管理組合やオーナーの方の許諾をいただく必要がある。その後エリア化が実現したら、個別のお客様に提供していく流れになる。

――ある物件がエリア化されてから、同じ物件の居住者に対して営業活動はしていく予定があるのか。

永井氏
 そのような営業活動はさせていただく予定。

――エリア化された物件について、Webサイトなどで公表していく考えはあるのか。

永井氏
 基本的に、個別の建物の名前を出すということは考えていない。お客様がエントリーや申込みをする際に、申し込めるかどうかの判定が出る。

 それ以外に、我々のほうで営業活動はしていくので、対象の物件にお住まいのお客様には、「この集合住宅に対してはサービスが提供可能」ということがわかるようにしていきたいと考えている。

――エリア化に際してかかるコストについて、採算性はどうなのか。

永井氏
 我々としても、いろいろと企業努力をしているところ。採算性については、回答を差し控えさせていただく。

――免許については、それぞれの基地局に対してローカル5Gの免許を申請するかたちになるのか。

永井氏
 免許については、物件ごとに申請が必要という認識でいる。

――エンターテイメント系のコンテンツについての考えを教えてほしい。

永井氏
 今回の「NURO Wireless 5G」はスタンダードなインターネットサービスだが、エンターテイメント系のサービスを乗せていくということを考えている。現在は開発中という状況。