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KDDI総研と阪大、リアルタイムMIMO信号処理方式で7200kmの光伝送実験に成功

 KDDI総合研究所と大阪大学は、MIMO信号処理方式を用いたリアルタイムでの光信号処理技術を開発し、既存光ファイバーと同じ外径という「標準外径結合型4コア光ファイバ」を使い、7200kmという距離でのリアルタイムの光伝送実験に成功した。世界で初めての成功となる。

 今回成功した7200kmという距離は、従来の120倍。次世代の通信規格であるBeyond 5G/6Gを活用する時代では、ネットワークを行き交うデータ通信量が膨大かつ多様なものになると想定されている。両者では、超大容量を扱う未来のネットワークを支える光ファイバー通信のためには、現在の光ファイバーでは現在があると説明。限界を乗り越える技術として、光ファイバーのなかに複数のコアを設けるマルチコア光ファイバーといった「空間分割多重」の研究開発が進められているという。

 マルチコア光ファイバーの研究では、「各コアから取り出した光信号を電気信号に変換、いったんストレージに貯めておく。そして、別のコンピューターなどでそのストレージのデータを読み出し、CPU上でMIMO信号処理をする」という”オフライン信号処理方式”で伝送特性が評価されてきた。しかし光信号の一部しか活用できないため、リアルタイム信号処理が求められていた。

 そこでKDDI総研と大阪大学は、NECプラットフォームズと連携して、リアルタイムMIMO信号処理方式を開発。波長多重DP-QPSK信号(直交する2つの偏波と4つの光位相で、1シンボルに4bitを割り当てる変調技術)を用いて、結合型4コア光ファイバーで、7200kmのリアルタイム光伝送実験に成功した。従来の「CPU上でのMIMO信号処理」が、今回は光トランシーバーにつないだ複数の集積回路上に演算処理として実装された。