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楽天モバイル5G発表会、三木谷氏がアピール「4Gに加えて5Gがタダ」

 30日、楽天モバイルは、5Gサービス発表会を開催し、料金や新機種を発表した。代表取締役会長の三木谷浩史氏が5Gサービスの概要を紹介、これまでの4G契約が5G契約へ自動的に切り替わり、料金も変わらないことから「4Gに加えて5Gが無料で使える」とアピールした。

4Gサービスを振り返り

 最初に登壇したのは、楽天常務執行役員兼CMOの河野奈保氏。これまで提供されてきた、4G向けのプラン「Rakuten UN-LIMIT 2.0」が月額2980円(税抜、以下同)で、価格だけ見ると他社と比べ67%安く、6月末時点で申込数が100万件に達したこと、満足度も高いことをアピールする。

河野氏
「私達は、高止まりする携帯料金に革命を起こしたい、そんな思いで今年の4月に本格的な携帯キャリアサービスを開始させていただきました。UN-LIMIT 2.0というたったひとつのプランで、コミュニケーションアプリのRakuten Linkを使うことでかけ放題になっており、理解しやすいプランになっている。ユーザーの1人あたりのデータ通信量は2倍になっている」

河野氏

 まだまだ改善を進めたいと語る河野氏は「楽天が提供するサービスということで、自社のサービスを使ってほしい」と述べ、同社の各種サービスとの親和性にふれる。会員1億人、年間発行ポイント数3200億超で累計発行数が2兆ポイントという楽天エコシステムに触れ、ポイントの満足度の高さにも触れる。

 各社の携帯サービスとポイント、通販サイトの併用率を比べた同氏は、他社と比べ、楽天の利用率が高いと説明。グループ全体でユーザーの満足度向上を図る考えを示す。

シンプルさを目指した

 「楽天モバイルのコンセプトは料金を下げることが大きなテーマ。それに加えて、とにかくシンプルでわかりやすいことを目指している」

三木谷氏

 こう語る三木谷氏は、新料金プランの「Rakuten UN-LIMIT V(ラクテン アンリミット ファイブ)」を発表。月額2980円で、4Gと5G、両方使えるもので、300万人に限り、契約から1年間無料で利用できる。

 三木谷氏は「発表にあたり、いろんなことを考えた。しかし、やはり『安くてわかりやすいのが一番』」と説明。

 「わかりやすく言うと、料金はそのまま、4Gに加えて5Gも使える」とその特徴を紹介し「4Gに加えて、5Gがタダで使える。追加料金がかからない」とする。

 同社のサービスエリアであれば、データや通話が使い放題(4Gのauローミングエリアは5GB以上で速度が最大1Mbpsに制限)というメリット、そして他社の5Gサービスと比べ、約71%安くなると説明。

データを大量に使う時代に

 「これからはたくさんデータを使う時代」と語る三木谷氏は、家族4人で楽天モバイル回線を利用する場合、競合他社の料金と比べ、「4年間で100万円以上お得になる」として、「非常に画期的なものではないか」と自信を見せる。

 Rakuten UN-LIMIT Vは、30日15時半から受付を開始しており、既存ユーザーはWebや店舗で申し込める。また10月12日~11月30日、順次、5Gプランに切り替わる。

 新規ユーザーは30日15時半から申し込めるようになった。なお、4G向けの「Rakuten UN-LIMIT 2.0」の受付は終了した。

Rakuten Linkのデスクトップ版

 同社が提供するコミュニケーションアプリ「Rakuten Link」について、三木谷氏は「Androidに加えて、iOSでも利用できるようになっている」と語った上で、デスクトップ版も10月下旬に登場すると発表した。

 デスクトップ版では、チャット、グループチャット、音声通話に加えて将来的にはビデオ通話、メール、クラウドストレージが提供される予定という。

 モバイルアプリとパソコンが同じWi-Fiスポットに繋がっていれば、デスクトップ版からもRakuten Linkを通じて電話をかけられる。

 楽天モバイルのもうひとつの特徴がRakuten Linkであり、5Gではより便利に使えるようになると三木谷氏は語る。

端末ラインアップは

 すでに楽天では、5G対応のシャープ製Androidスマートフォン「AQUOS R5G」に発売済み(関連記事)。

 その上で、今回は「Rakuten BIG」という新機種が発表された。

Rakuten BIGを手にする三木谷氏

 楽天モバイルのWebサイト、あるいは楽天モバイルの二子玉川店での扱いがスタートした「Rakuten BIG」について三木谷氏は、最初は画面が大きいかな? と感じたとしつつ、プロ野球の視聴も快適で、ミリ波にも対応し、他社よりもお手頃な価格と、そのアドバンテージを解説した。

 取り扱い済みのAQUOS R5Gについては、同社の5Gネットワーク(Sub6)にも、30日15時半から提供されているソフト更新により対応する。

 あわせて4G対応のオリジナルスマホ「Rakuten Hand」も紹介。手にフィットするボディ、約4800万画素の広角カメラや、約1600万画素フロントカメラ、そして顔認証、指紋認証、4000mAhバッテリー、Snapdragon 720Gというチップセット、4×4 MIMO、おサイフケータイのサポートなど、三木谷氏はその特徴を紹介。

 三木谷氏は「単純に料金を安くするだけではなく、端末についてもニーズにあわせたものを提供する」とオリジナル端末を提供する意義を示す。

 タレック・アミンCTOは、質疑のなかで、既存技術を破壊し、コストパフォーマンスを大幅に改善して、適切な価格で端末を提供したいとその考えを披露。ユーザーに豊富な選択肢と適切な料金を目指す楽天として、今回は、Rakuten BIGとRakuten Handという2機種は、信頼性の高いデバイスを提供すること、Sub6とミリ波という5G向け周波数の両方に対応するデバイスを、手にしやすい価格で提供することを目指したという。

エリアとネットワーク

 「基地局の建設もどんどんと進んでいる。考えていたよりも3~4年、前倒しで完了し、来夏には、ほぼ全国の皆さんに独自の通信回線でサービスが提供できるようになるかなと考えている」と三木谷氏。同氏は8月、決算会見の場で、4Gエリアの整備計画が予定よりも5年前倒しになるとしており、2021年3月末で人口カバー率70%、来夏には96%になるとの見通しを示している。5Gエリアの投資計画は従来から変更はなく、2000億円のままで、計画を見直すような要素はないとした。

 5Gエリアについては山田善久社長が今後の計画を示した。また神戸にあるノエビアスタジアムでも整備し、Jリーグのヴィッセル神戸の試合を5Gでより楽しめる取り組みも進めることが紹介された。5Gエリアの構築は4Gよりも難しい面はありつつも、あらためてエリア展開の計画を提示したいとした。

 通信速度がまず下り約870Mbpsで始まる。今後ソフトウェアの改善で、スピードアップが図られ、11月に下り約2.8Gbpsとなる。

 5Gの付加価値について、山田氏は「一部地域でのスタートになるが、付加価値は十分感じてもらえると思っている。5Gならではのサービスは他社さんとのコラボを含め、順次発表していきたい。まずは大容量。映画などが圧倒的な速さでダウンロードできる。ゲームも低遅延で楽しめる。普及すればいろんな方とのコラボが新しく生まれる」と述べるに留めた。

 アミンCTOは、2018年から、ネットワーク開発に取り組んできたとこれまでを振り返り、「5Gには非常にワクワクしている。スピードだけではなく、キャンバスとして変革をもたらせる」と述べる。

アミン氏
「楽天はモバイルオペレーターである前にインターネットイノベーションの会社。クラウドを本当に理解していることが私たちのアドバンテージ。ハードウェアタイプを標準化し、独自の実装をコモディティ化した。アプリをコンテナの上に乗せる。規模を拡大しやすく、サービスの機動性も高い。他に例を見ない。サービスの弾性を実現できる」

 低コストでスケーラビリティを実現できるという完全仮想化ネットワーク技術の特徴を今回も紹介したアミン氏は、OpenRANは標準化された仕組みであることや、インテルやNECとの協力関係に触れる。

 エッジコンピューティングについては、将来的なサービスを見据えてプラットフォームを構築する考え。

値下げ論、ドコモ子会社化について

 前日にNTTドコモの完全子会社化が発表されたことについて問われた、楽天モバイル社長の山田善久氏は、「他社のことはコメントすべきではない」としつつ、革新的な技術をもとに圧倒的な価格差があるとして、「これまで通りの路線をきちんと進んでいけばユーザーの支持は得られるのではないか」と語る。

 サービスエリアの進捗については「5Gは、他社と遜色ない形でスタートできていると思う。2021年3月末までに47都道府県でサービスを開始する。今の数倍の基地局を開設する。世界でも珍しいと思うが、Sub6(6GHz帯以下の周波数)とミリ波でサービスを同時に始める」と述べた。

 政府が求める料金値下げ論に山田氏は「私どもとしては、思い切った価格戦略を採っている。政府は平均の携帯電話料金を見ているだろう。私どもの利用者が増えれば平均は下がろうだろう。良い品質で提供していると思うので、多くの方に使っていただけるよう広めていきたい」とした。

300万契約への進捗

 現時点でのユーザー数については、6月末時点での申込数100万件という実績だけ披露され、最新の数字は開示されていない。山田氏は「決算での発表などもあり、今回は100万件の申込という形に留めた。ただ、6月末の発表から現在まで順調にユーザー数は伸びている。申込~契約まで時間がかかることは事実だが、だんだんと申込が増えれば契約は伸びる。どの時点で、どの数字を発表するかIRなどの絡みもある。近く発表できるかなと思う」と説明。

 これまでに開示された、2020年末時点での目標とする契約数300万件については山田氏は「ペースとしては順調だが、いくかどうか微妙なところ。キャンペーンをどれくらい実施するといった要素に左右される。まだ射程圏内」とした。

 100万契約達成を発表していないのは戦略上のもので、300万契約は未達ながら、ある程度の規模の契約数に達していることが伺える回答となった。

auとの5Gでのローミングは「考えていない」

 今後は5Gプランでの契約のみとなる楽天モバイルだが、自社サービス以外では、引き続き、auのローミングエリアを利用する形。

 山田氏は「auさんも3月に5Gを開始したところ。私どもと同じくゼロスタートで、5Gエリアで全国をカバーされているわけではない。5Gについてはそもそもローミングの話は一切ない。将来的にもauさんを含め、他社さんからローミングを受けることはないかと思う」とした。

楽天経済圏との連携

 競合の携帯会社と比べ、楽天モバイルが明確な強みとできるのが、ポイントや通販などの「楽天経済圏」がしっかりと出来上がっていること。その経済圏と楽天モバイルとの連携はどうなるのか。

 山田氏は「競合各社の料金は、家族向けなどの割引との組み合わせで複雑。そのアンチテーゼで、楽天モバイルは、よりシンプルでいこうと考えた。(楽天モバイルが)浸透すれば、モバイルが楽天グループの単なるサービスのひとつではなく、基礎のひとつになると思っている。そこで楽天モバイルを入れた形で、エコシステムと繋がる仕組みがどうあるべきか、頭の体操はしている。ただ、性急に入れるとアンチテーゼの意味がなくなる。慎重に考えている」とした。

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