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アップルの発表まとめ――血中酸素測定の「Apple Watch Series 6」やデザイン一新「iPad Air」など

ティム・クックCEO

9月16日午前2時、アップルは新製品のオンライン発表会を開催し、Apple WatchやiPadの新製品、新サービスの「Apple One」などを発表した。なお、iPhoneの新モデルについては発表されておらず、発表会の動画でもとくに言及されていない。

 Apple Watchの新製品としては、「Apple Watch Series 6」と「Apple Watch SE」が発表された。iPadの新製品としては、「iPad」(第8世代)と「iPad Air」(第4世代)が発表された。Apple WatchとiPad(第8世代)についてはすでに予約受付を開始していて、9月18日より発売される。iPad Air(第4世代)の発売は10月以降とアナウンスされている。

Apple Watch Series 6
Apple Watch SE
iPad
iPad Air

 これに合わせ、アップルの公式サイト上ではApple Watch Series 5などの販売が終了している。なお、Apple Watch Series 3は引き続き最安モデルとして販売されている。

血中酸素濃度センサを追加したApple Watch Series 6

 Apple Watch Series 6は、昨年モデルのSeries 5のデザインや基本機能を引き継いだハイスペックモデル。価格は42,800円から。新たに血中酸素濃度センサや常時点灯ディスプレイの輝度向上などの新要素が追加された。サイズや形状はSeries 5までと共通だが、本体やバンドのカラーバリエーションが増えている。

Apple Watch Series 6

 なお、米国のApple WatchのWebページによると、Series 6はSeries 5同様に心電図(ECG)測定機能搭載と記載されているが、日本のApple WatchのWebページには心電図測定についての記載はない。

 血中酸素濃度センサーは、専用アプリで手動計測したり、watchOS 7の新機能である睡眠トラッキング中に自動計測したりできる。血中酸素濃度は呼吸器の機能が正常かどうかを判定する指標としても使われていて、睡眠時無呼吸症候群や肺炎の診断にも利用されることがある。

血中酸素濃度(SpO2)センサー。従来モデルの心拍センサーは緑色光だったが、赤色光に変わっている
Series 6のアルミニウムモデルの新採用色であるブルー

 従来モデルからの差分としては、側面のリュウズ型のダイヤルボタン「Digital Crown」が「触覚的な反応を返すDigital Cworn」となっている。高度センサーはより高精度になり、常時測定になった。また、Apple Watchとしては初めて5GHz帯のWi-Fiに対応し、用途についてはとくに触れられていないが、iPhoneなどと同様に超広帯域無線通信にも対応している。

 モデルのバリエーションとしては、Series 5と同様、ケース素材はアルミニウム、ステンレススチール、チタニウムの3種類で、それぞれ40mmと44mmの2種類のサイズと通常モデル(GPS)とLTE内蔵モデル(GPS+Cellularモデル)の2種類が用意される。

カラーバリエーションは変更されていて、アルミニウムはシルバー、スペースグレイ、ゴールド、ブルー、PRODUCT(RED)の5種類、ステンレススチールはシルバー、グラファイト(DLC加工)、ゴールド(PVD加工)の3種類、チタニウムはチタニウム本来の色とスペースブラックの2種類。

心電図機能などを省き、大画面ながら安価になったApple Watch SE

Apple Watch SEは、Series 5に近い性能を持ちつつも、常時点灯ディスプレイや血中酸素濃度センサ、電気心拍センサ(心電図測定機能)などを省くことで安価にしたモデル。価格は29,800円から。併売される旧モデルSeries 3(19,800円から)の1.5倍の価格となるが、性能はかなり向上している。

Apple Watch Series SE。見た目はSeries 6などと同じ

 ディスプレイサイズなどはApple Watch Series 6と同等の狭額縁デザインで、Series 3などに比べると表示がかなり見やすくなっている。Series 6と比べても、機能的な差異はそこまで大きくないが、価格は1万円以上安くなっており、初めてApple Watchを使う人や後述する「ファミリー共有設定」で家族に持たせるApple Watchとして最適なモデルとなっている。

 Apple Watch SEのケース種類はアルミニウムのみとなる。カラーバリエーションもシルバー、スペースグレイ、ゴールドの3種類のみ。サイズは44mmと40mmから選べて、通常モデルだけでなくLTE内蔵モデル(GPS+Cellular)も用意される。

 搭載チップセットはS5で、Series 6のS6ではないが、高度計は常時計測になっていたり、Digital CwornはS6同様の「触覚的な反応を返すDigital Crown」になっている。Series 6が対応している5GHz帯のWi-Fiや超広帯域無線通信にはSEは対応していない。

バックルがない新しいバンドが登場。サイズは9段階!

 Apple Watchのバンドについても今回、種類が増え、あらたに「ソロループ」と「ブレイデッドソロループ」が追加された。いずれもバックルなどがなく、ひとつなぎになっている伸縮性のあるバンドで、長さの調整ができない代わりに、購入時に9段階のサイズから選ぶようになっている。

「ソロループ」はシリコーンゴム製で、「ブレイデッドソロループ」はシリコーン糸にポリエステルフィラメント糸を織り込んで作られている。

ソロループ。バックルなどが一切ないシンプルなデザイン
ブレイデッドソロループ。編み込まれている

 サイズについてはアップルのサイトでダウンロードできる測定用紙を印刷して腕に巻き付けたり、メジャーなどで測定した腕周りの数字を入力して適正なサイズのバンドを選択する。手動入力によるバンドサイズのレコメンドは非常に細かく、たとえば15cmであれば「ぴったりフィットさせるなら4」「すこしゆったりさせるなら5」といったように複数がレコメンドされたり、15.5cmだと「5」、16cmだと「6」とかなり細かい段階で変化するようになっている。

 ちなみにApple Watchはセキュリティのために、デフォルト設定では心拍計測ができなくなると「外された」と認識し、自動でロックがかかる。そのため、心拍計測に支障がない程度にバンドを締めておくことが推奨される。かといってキツすぎても長時間の着用に支障が出るので、長さ調整のできない新デザインのバンドを利用する場合、可能ならば店頭などで適正なサイズのバンドを選ぶか、複数種類のバンドを付け替えて運用することをおすすめしたい。

 新バンドの単体価格は「ソロループ」が従来のスポーツバンドと同等の4800円、「ブレイデッドソロループ」が9800円。いずれもオンラインのアップルストアでは本体と一緒に購入することもできる。

家族のApple Watchを管理するファミリー共有設定

 Apple Watchには新たな機能として、iPhoneを持っていない家族のApple Watchを管理する「ファミリー共有設定」が追加される。こちらはLTE内蔵のGPS+Cellularモデルでのみ利用できる。

ファミリー共有設定

 たとえば子供や高齢者など、iPhoneを持っていない家族にApple Watchを持たせる用途が想定されている。位置情報や連絡先の制限、転倒検出機能、アクティビティ履歴などを管理者となる家族のiPhoneで管理する、といったことができる。

 管理者が時間帯設定でApple Watchの機能を制限する「スクールタイム」といった子供向けの機能も搭載する。ミー文字も子供向けのカスタマイズが追加される。

 「ファミリー共有設定」はwatchOS 7/iOS 14の新機能で、Apple Watch Series 4以降のGPS+Cellularモデルで利用できる。本来、GPS+CellularモデルのLTE通信機能は、国内ではNTTドコモ、au、ソフトバンクの3社で利用可能だが(MVNOは利用不可)、「ファミリー共有設定」のLTE通信機能については、現時点ではauのみが対応とアナウンスされている。

 watchOS 7にはこのほかにも新しい文字盤や睡眠トラッキング機能、フィットネス(旧称アクティビティ)のトラッキングなどの改良、自転車用マップ機能、手洗いのサポート機能、Siriによる簡易翻訳機能などの新機能が追加されている。watchOS 7はiOS 14同様に9月17日にリリース予定で、Apple Watch Series 3以降が対応する。

安価さを維持したままCPUを刷新したiPad(第8世代)

 新しいiPad(第8世代)も発表された。こちらは昨年秋発売の第7世代iPadの後継モデルで、最新スペックではない代わりに安価に購入できる廉価モデルとなっている。

iPad(第8世代)。こちらも見た目は第7世代と変わらない

 第7世代のiPadは、CPUが当時3世代前となるA10 Fusion(iPhone 7などの世代)だったが、第8世代のiPadでは2世代前のA12 Bionicが搭載される。これにより、CPUは40%、グラフィックは100%高速になっている。

 デザインや主要な機能は第7世代と同等。10.2インチのディスプレイを搭載し、ホームボタンにTouch IDを内蔵する。カメラなどのスペックも第7世代と同等。Smart KeyboardやApple Pencil(第1世代)などのアクセサリも共通。

カラーバリエーションは3色。スペースグレイの前面ベゼルは黒い
Smart Keyboardなどのアクセサリは前モデルとほぼ共通

 カラーバリエーションはシルバー、スペースグレイ、ゴールドの3色で、Wi-FiモデルとWi-Fi+Cellularモデルが用意され、ストレージ容量は32GBと128GBの2モデルから選べる。価格は34,800円からで、予約受付はすでに開始して、9月18日より発売される。

デザインを刷新し、最新のA14チップをいち早く搭載するiPad Air(第4世代)

 iPad Air(第4世代)は第3世代モデルからは大幅にデザインを刷新し、11インチiPad Proに近いデザインとなった。価格も62,800円からと、iPad Proに近くなっている。

iPad Air(第4世代)。ディスプレイの四隅が丸くなっているのはiPad Proと同様

 ホームボタンは搭載せず、iPad Proと同様のジェスチャー操作でホーム画面などを表示させる。iPad Proは顔認証のFace IDを搭載するが、iPad Air(第4世代)は上面のトップボタンに指紋認証のTouch IDを搭載する。充電コネクタもLightningではなくUSB Type-Cを採用する。

 チップセットにはiPhone/iPadを通じて今回初採用となるA14 Bionicを搭載する。こちらはiPad Proにも採用されていないので、現時点ではiPad Air(第4世代)が最高性能のiOS/iPadOSデバイスと言うことになる。iPad(第3世代)よりもCPUは40%、グラフィックスは30%高速化している。

 ディスプレイサイズは11インチiPad Proよりわずかに小さい10.9インチで、解像度は2360×1640ピクセルと、11インチiPad Pro(2388×1668ピクセル)よりやや小さくなっている。ピクセル密度は264ppiでほかの歴代iPadシリーズと共通(iPad miniをのぞく)。また、ディスプレイの縦横比率(アスペクト比)が11インチiPad Pro同様にやや細長くなっていて、印刷物などに多い白銀比(1:1.414)に近い約1:1.439となっている(ほかのiPadは全て3:4=1:1.333)。

 デザインは11インチiPad Proとほぼ同じ。サイズは247.6×178.5×6.1mmで、厚みが11インチiPad Pro(5.9mm)と異なっているのみ。重さは10g強ほど軽量化している。

カラーバリエーションがiPadシリーズとしては非常に多彩
側面はiPad Pro同様に垂直になっている

 カラーバリエーションは5色と、歴代iPadシリーズでも最多となっている。種類はシルバー、スペースグレイ、ローズゴールド、グリーン、スカイブルー。前面のベゼル部はFace ID搭載iPad同様、いずれのカラーバリエーションでも黒で統一されている。

 高品質なディスプレイもiPad Proシリーズの差別化ポイントだが、広色域ディスプレイ(P3)やTrueToneディスプレイ、反射防止コーティングなど主要な機能にはiPad Air(第4世代)も対応する。ただし高リフレッシュレート(Pro Motion)には対応しない。

 内蔵スピーカーはiPad Pro同様に縦置き時の上端側にも搭載するが、横置きしたときにステレオになる2スピーカー構成で、iPad Proのような縦横どちらでもステレオとなる4スピーカー構成ではない。

 2020年春発売のiPad Proと比べると、カメラ部分も大きく異なっている。iPad Proはリアカメラに広角カメラと超広角カメラを搭載し、さらにLiDARも搭載しているが、iPad Air(第4世代)はシンプルな12メガピクセルのシングルカメラ構成となっている。インカメラもiPad ProはFace ID対応なため、立体形状を撮影できるTrue Depthカメラだが、iPad Air(第4世代)は通常の7メガピクセルのシングルカメラとなっている。

Magic Keyboardに対応

 第2世代のApple Pencilやトラックパッド付きのMagic Keyboard、Smart Keyboard Folioなどの別売りアクセサリは、11インチiPad Proと同じものが利用できる。

 ただしiPad Proは背面のカメラが複数構成のため、Magic Keyboardなどのカメラ開口部が大きくなっているが、iPad Air(第4世代)は背面カメラはシングル構成のなので、装着するとデザイン上は若干、隙間が目立つようになると予想される。キーボードのないSmart Folioについては、iPad Air(第4世代)専用のアクセサリーが用意される。

 通信機能としては、2020年春モデルのiPad Proと同等で、Wi-Fi 6にも対応している。Wi-Fi+CellularモデルはeSIMにも対応。ストレージ容量は64GBと256GBの2種類のモデルが用意される。

 なお、iPad Air(第4世代)の発売は10月とアナウンスされているが、とくにWi-Fi+Cellularモデルは「年内に発売される予定」と個別に案内がされている。なお、公開されているスペック表では4Gまでの対応となっている。

Apple Watchを活用する新サービス「Fitness+」を米国などで提供

Fitness+はiPhone/iPad/Apple TVなどで利用できる。Apple Watchは必須

 アップル自身が提供する独自のフィットネスサービスの「Fitness+」も発表された。ただしこちらはまず英語圏からのサービス提供予定で、日本でのサービス提供についてはアナウンスされていない。また、サービス開始時期も「今年中」として具体的な時期は発表されていない。

 「Fitness+」はApple Watchのトラッキング機能を活用したフィットネスプログラム。iPhoneやiPad、Apple TVで各種ワークアウトのビデオを見ながら運動し、それをApple Watchで計測してカロリー消費や筋力向上などを行なっていく。さまざまなトレーナーによるさまざまなフィットネスプログラムが用意される。

Fitness+のアプリ画面

 Apple TVやiPadが表示するワークアウトのビデオには、Apple Watchが計測している心拍数や消費カロリーなどをオーバーレイ表示することも可能で、脂肪燃焼や筋力強化など、目的に対して運動強度が適切かどうかを確認しながら運動をすることができる。

 米国での料金は月額9.99ドルもしくは年額79.99ドルだが、9月15日以降にSeries 3以降のApple Watchを購入したユーザーに対し、3ヶ月間の無料期間が提供される。

Music、TV+などをまとめた「Apple One」は月額1100円からで今秋開始

Appleが提供する主要なサブスクリプションサービスをまとめた「Apple One」も発表された。こちらはApple Music、Apple TV+、Apple Arcade、iCloud(50GB)がセットになったもので、個別に契約すると月額2310円(学割などの適用なし)のサービスが月額1100円で提供される。初回1ヶ月のみの無料トライアル期間も提供される。

最大5人の家族と共有できるファミリープランは月額1850円で、こちらはiCloud容量が200GBとなり、個別に契約するよりも1230円安くなる。

iCloudのストレージ容量を追加する場合は、個別に従来と同じストレージプランを追加で購入することになる。

米国などでは「News+」と「Fitness+」を追加し、iCloud容量も2TBで最大5人の家族と共有できる「Premier」というプラン(月額29.95ドル)も用意されているが、「News+」と「Fitness+」が提供されない日本では、Premierプランは案内されていない。