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J:COM MOBILE、大容量&低料金で若年ユーザー層拡大を目指す

シニア層が6割を占める

 ジュピターテレコムは、MVNOサービス「J:COM MOBILE」においてサービス刷新を発表した。同社 代表取締役社長の石川雄三氏は今回のサービス刷新を「新生 J:COM MOBILE」の誕生と位置づける。

 石川氏は、J:COM MOBILEの強みについて、「充実のサポート」と「J:COM TVとのシームレスな連携」と説明。

 J:COM MOBILEのユーザー層は60代以上のシニア層が多く、およそ6割を占めている。この背景にはシニア層がフィーチャーフォンからスマートフォンに買い換える際に不安になる「便利みたいだけど面倒そう」「初期設定が難しそう」「わからないことがたくさん」というポイントを独自の訪問営業や遠隔サポートや設定の代行などを通じて解決していることがあるからだという。

 同社がそうしたシニアサポートの一環として2014年から実施するスマホ(タブレット)教室は2019年度に1238回開催、参加者数は4520人を数える。

 こうした施策に加えて、端末の故障時に代替機を配送したり紛失時の遠隔ロックやデータ消去したりできる「安心端末保証48」や遠隔・訪問サポートの「おまかせサポート」を提供している。

 加えて、J:COMが提供する「J:COM TV」とも連携しており、「J:COM オンデマンド」がゼロレーティング対象となるサービスが利用できる。

「新生 J:COM MOBILE」でさらなる顧客拡大を目指す

 モバイル社会研究所の調査によると、スマートフォン買い替え時に重視する点として「端末価格」と「通信料金」が筆頭に挙げられる。加えてデータ通信の需要は動画サービスやゲームなどで伸び続けている。

 また、M&S Consultingの調査によれば、新型コロナ禍における対面接客の許容時間は10分以下という回答が半数を占める。石川氏はこれを「できれば非対面で手続きを済ませたいということの表れではないか」と分析。

 こうした現状を踏まえて J:COM MOBILEは、若年層の獲得に向けて今回のサービス刷新に至った。主に大容量と低廉な料金でデータ使用量が多い若年層に向けてアピールしたい狙い。「思い切った料金設定にした。ぜひとも若い層に知ってほしい」と語った。

 これまでJ:COMが若いユーザー層に苦戦していた理由として「シニア層に集中していたため」と石川氏。「これは私たちの反省点。若年層向けにサービスを衣替えした」、また「シニア層の方には大変認知していただいている。プロモーションもしっかりやっていきたい」と今後の拡大の熱意を現した。

 今後、そう遠くない時期にさらなる端末ラインアップ拡充も予定していると明らかにした。価格帯については当面は現在と同水準であるとした上で「5G端末もしかるべき時期に」とした。

 「J:COMはテレビから始まったため、そこから広がっていくという展開が中心だった。電気や通信、モバイルなど多様なサービスプラットフォームがある。その中からご自身にあったサービスを選択いただければありがたい」(石川氏)と言うようにJ:COM MOBILEを若年層との顧客接点の1つとして、他のサービスへの誘引も期待される。

 このほか、音声通話の強化も検討しているという。日本通信が定額通話サービスを開始したことについて石川氏は「今回は間に合わなかったが、あらためて発表できると思う」と明かした。

 質疑において、同じKDDIグループのUQコミュニケーションズによるUQ mobile事業がKDDIへ移管されることについて、どのように差別化を図るかを問われた石川氏は「特に棲み分けとは考えていない。ベストな料金、サービスで戦う」とコメント。「チャネルもユーザー層もau(UQ)とは異なり、我々の特色を出していきたい」とした。

 また、総務省の政策によりキャリア間の流動性の低下が見られる中、「料金引き下げ、MNP料金の撤廃の流れには期待する。MVNOは設備等がないことから制限があるが、そうしたものを撤廃してユーザーが利用しやすい環境づくりをしてもらえれば」とした。