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グーグルとアップルの新型コロナ接触確認機能に新たな仕組み「Exposure Notification Express」――日本には影響なし

 グーグルとアップルは、新型コロナウイルス感染症対策の一環として、新たに「Exposure Notification Express」を提供すると発表した。独自アプリを開発していない国や地域に向けた仕組み。すでに独自アプリを展開している国・地域に影響はないとのことで、日本で提供されている「COCOA」とは別の新たなソリューションと位置づけられている。

 新たに発表された「Exposure Notification Express」は、グーグルとアップルが開発した、スマートフォンを活用する“濃厚接触確認”の仕組みを、公衆衛生機関のアプリ開発・運用の負担をなくしつつも、導入できるようにしたもの。従来の仕組みと同じく、プライバシーとセキュリティに軸足をおいた設計という。

 日本ではグーグルとアップルの共同開発したAPIを用いる接触確認アプリ「COCOA」が6月より提供されているものの、グローバルでの広がりはまだ途上。20以上の国と地域と、米国では6つの州がグーグルとアップルの仕組みを活用したアプリを提供しているが、たとえば米国では、8月5日になってようやくバージニア州で米国初の確認アプリが登場した。

 「Exposure Notification Express」を採用する公衆衛生機関は、グーグルとアップルに対して所定の情報を提供すると、両社が公衆衛生機関の管理のもと、そして、公衆衛生機関の代理として、iOSとAndroid向けに接触確認機能を提供する。

 公衆衛生機関が両社に提供する情報は「公衆衛生機関の名称とロゴ」「通知を表示する基準」「公衆衛生機関の利用者向け問い合わせ先」「市民へのガイダンス」「通知が来た場合の対応手順」となる。

 「Exposure Notification Express」(以下、Express)は、いわば独自の接触確認アプリを開発できない当局に向けたもの。既存の仕組みとの互換性も保たれる。

スマホでの「Express」導入後の動き

 Androidでは、Google Play開発者サービスが更新され、Expressによるアプリが提供される地域では、アプリが利用できる旨の通知が届くようになる。

 iOSでは、iOS 13.7へのアップグレード後、「自分の州で接触確認が使えるようになった」という通知が表示され、その通知をタップすると、接触確認アプリをダウンロードせずとも、他のユーザーとの濃厚接触確認機能をONにする、という表示が出てくるという。

 両社の案内では、どちらも通知が届けられる状況として「州(State)」という表現が用いられており、米国内だけでの通知になる可能性がある。他国での展開については触れられていない。

 アップルとグーグルでは、4月、APIの開発方針を発表した際、接触確認機能の「フェーズ2」として「基盤となるプラットフォームに、同機能を組み込むことで、より広範なBluetoothベースの濃厚接触の可能性を検出するプラットフォームの実現を目指す」と予告していた。

 今回の“Express”は、独自アプリを開発しない地域に向けた施策だが、特にiOSでは、アプリを入れずとも接触確認・通知までは利用できるようになる。Androidは機種ごとにバージョンが異なることもあり、Google Play開発者サービスの更新での対応だが、こちらもアプリを入れていなければ「アプリがあるよ」と通知してくれるようになり、従来よりも、ユーザーの導入を促す大きな一歩を踏み出した。iOS、Androidのどちらも「APIの提供」(と各国独自のアプリ開発)から、ソフトウェアプラットフォームへ組み込まれた「実質的なフェーズ2」になったと言えそう。

 グーグル広報では、フェーズ2か? という問いに「Exposure Notifications Systemの次の段階ということで、Expressを発表しました」とコメントしている。

COCOAとの関係は?

 同じくグーグル広報によれば、「Express」は日本には影響がないという。

 COCOAは、APIを活用する独自開発のアプリ。一方で、「Express」は公衆衛生機関による独自アプリの開発が不要になるソリューションだ。

 同社によれば「Exposure Notification Expressは、公衆衛生機関におけるアプリ開発及び運用の負担をなくし、技術導入の迅速化・簡易化を図るソリューションです。日本においてはすでに厚生労働省からアプリが提供されていますので、日本の利用者の皆様には影響はありません。多くの方にご利用いただけるよう、今後も Google は厚生労働省様との対話及び支援を継続してまいります」としている。