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新車の87%がBluetoothを搭載、キーレスなどへの採用でさらなる普及を狙う

 Bluetoothは、広くさまざまなデバイスに搭載される汎用的テクノロジーとして多くのユーザーに親しまれている。自動車もまた、Bluetoothを搭載するもののうちの1つ。

 スマートフォンから音楽を流したり、カーナビに情報を表示したりとさまざまな用途があるが、今後はキーレスエントリーや自動運転の一部などさらに用途が広がる事が考えられる。

Bluetooth SIG Chuck Sabin氏

 Bluetoothの規格を策定・管理するBluetooth SIG マーケット開発担当シニアディレクターのChuck Sabin(チャック・セイビン)氏が自動車業界における現在のBluetoothの普及と今後について語った。

新車の搭載率100%を目指す

 セイビン氏によれば現在、新車として出荷される自動車のうち実に87%がBluetoothを搭載している。残りの13%は、低グレード車や初心者向け等のエントリーカーで、Bluetooth SIGでは将来的にすべての車にBluetoothを搭載することを目標としているという。

 2019年の自動車出荷台数が7500万台であるのに対して、自動車向けBluetoothデバイスの出荷台数は8000万台~1億台。新車搭載だけではなく新たな使用事例が生まれているとセイビン氏。

 普及率の高まりには、Bluetoothの標準化が進んでいるとともに消費者とメーカーの間でも共通技術として認識が高まっていることの現れと説明。

 キーレスエントリーのBluetooth化は、新たな利用形態の1つだ。2024年までにBluetooth対応のリモコンキーの出荷台数は1300万個に達するとBluetooth SIGでは予測している。実装しやすく、低コストで導入できるBluetooth式のリモコンキーは今後5年間で60%の伸びを見せる可能性があるという。

キーレスエントリーをBluetoothで

 キーレス・デジタルキーの流れは、自動車業界内での位置情報サービスが脚光浴びてきていることにあるとセイビン氏。

 Bluetoothの位置情報サービスは最も成長を遂げているソリューションという。2024年までに位置情報サービスを利用できるデバイスは5億3800万台に達すると予測されており、これは現時点での4倍の数字になる。

 Bluetoothにおける位置情報サービスのソリューションは、2つの領域に分けることができる。1つは2台のデバイスの位置関係を相対的に把握する「近接通信ソリューション」。2台のデバイスが近くにあるかどうか、近くにある場合はデバイス間のおよその距離と信号の方向を調べられる。もう1つは、Bluetoothによってデバイスの物理的な位置を測定するシステム。こちらはcm単位でデバイスの位置を特定できるという。

 Bluetoothを利用したキーレスエントリーは、前者の仕組みを用いたシステムとして提供される。

 Bluetoothキーレスエントリーは、RSSI(受信信号強度)のみを用いる仕組みと、それに加えて方向検知を用いる2つの手法で開発が進んでいる。

 RSSIのみの場合、センサーがBluetooth信号の強弱からユーザーと自動車間の距離を把握。そこからユーザーが施錠、解錠、ドアオープンなど選択した機能が動作する。方向検知を加えた場合、アンテナについているロケーターを使用する。信号の到達角度・発信角度の情報が加わり、さらなる精度向上が見込まれる。

 2021年に向けては、セキュリティを確保した距離測定を担保することを目指すという。

Bluetoothが選ばれる理由

 自動車業界でBluetoothが注目を浴びる理由をセイビン氏は次のように語る。

 1つは、Bluetoothが消費者に対して知名度もありまた信頼されているため。スマートフォンには100%搭載されている技術であり、すでに数多くの自動車にも搭載されていることからも裏付けられている。また、メーカーからも信頼を得られている技術であることやBluetoothの相互運用性、単一のベンダーではなくさまざまな企業によるコラボレーションで進化する仕組みによって採用が広がったという。

 加えて、自動車業界に対してBluetooth SIGが何をするかのロードマップを公開していることもまた要因の1つとセイビン氏は説明した。