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KDDI、企業に合わせた提案でテレワークの浸透・環境整備目指す「ハイブリッド・ゼロトラストソリューション」

1000名を超える開発チーム、虎ノ門に新拠点設立も

 KDDIは、ウィズ・アフターコロナ時代の新しい働き方の定着のため、テレワークに必要なサービスをワンストップで提供する、法人向けソリューション「ハイブリッド・ゼロトラストソリューション」の提案を行っていく。

左=KDDI 丸田氏 右=KDDI 藤井氏

コロナでテレワークの課題が浮き彫りに

 KDDI 執行役員 ソリューション事業本部 サービス企画開発本部 本部長の藤井彰人氏は「新型コロナで企業がテレワークについて抱える課題が浮き彫りになった」と語る。

 1つは、テレワーク用のパソコンが準備できていないなどのデバイスにまつわるもの。2つめはクラウドとうまく連携できないなどネットワーク環境の課題。そしてオープンな環境におけるセキュリティ対策の3つだ。藤井氏はこれについてユーザーは「想定していたよりも基本的なことが課題だった」とした。

 オフィスで働くことが前提だった新型コロナ以前と在宅が基本スタイルのウィズ・アフターコロナでは働き方にも大きな変化が生まれようとしている。ネットワークについても「社内と社外」の考え方を捨てる必要があると藤井氏。これからの時代は、社内も社外もすべてが信用できないことを前提にアクセスを検証、どこからでも安全にサービスを利用できる「ゼロトラスト」の考え方がポイントになるという。

ワンストップでテレワークソリューションを提供

 KDDI 執行役員 ソリューション事業本部 サービス企画開発本部 副本部長の丸田徹氏は、さまざまな状況の変化にも対応できる「ハイブリッド・ゼロトラストソリューション」を提案していきたいと語る。

 環境が変化すると、今まで問題なく使えていたネットワークが突然使えなくなることがある。そのような変化にも対応できる仕組みがポイントだ。

 ハイブリッド・ゼロトラストソリューションは6つのコンポーネントで成り立つという。

 デバイス、ネットワーク、ID(認証・認可・監査)、セキュリティ、クラウドアプリ、オペレーションの6つだ。セキュリティだけを対策してもゼロトラストは実現できないと丸田氏。それぞれの企業に合わせてどのコンポーネントをどう組み合わせるのかが最適なネットワークをつくるために欠かせないという。

 KDDIでは、それぞれの企業の典型的なネットワーク環境を「4つの型」に分けられると説明。下の図のようにクローズド、リモート、フレキシブル、オープンに分類されており、それぞれの型にそれぞれの課題があると丸田氏。

 一例として、丸田氏は「リモート」の型に当てはまる環境であれば、「KDDI Flex Remote Access」やデバイスのセキュリティのために「PCあんしん月額パッケージ」などが最適なツールと説明。ただし、社員が一斉にアクセスするため、ネットワークが処理しきれずに遅延する輻輳が発生するなどのトラブルが実際に聞かれたという。

 これを解決できるのが「フレキシブル」。丸田氏はこれがもっとも現実的な形であるとした上で「ここにユーザーを誘導していければ」と語る。さらに、新型コロナ収束後も、継続してフレキシブルな環境を実現できるソリューションを提供していくと意気込みを見せる。必要なソリューションとして「KDDI SD-Network Platform」やZscalerのクラウド型セキュリティサービスのZPAなどが例示された。

 また、「オープン」については、業務などをすべてクラウド上で行うことを前提としたもので、実現には低遅延な5Gネットワークやエッジコンピューティングの普及が必須だ。KDDIでは、それらも提供できるように準備を進めているとしている。

 どのようなネットワーク環境にあっても、必ずネットワークの監視が必要になる。そこについてもKDDI側で監視することでそれぞれの企業の負担を減らす。加えて30以上のオンラインサービスのプラン変更などの操作や障害情報の取得などに対応しており、これらは順次拡大していく予定という。

 このように、ユーザーの状況に合わせてさまざまなサービスを組み合わせて、テレワーク環境の整備、また継続的な実施を実現できるのが、ハイブリッド・ゼロトラストソリューションだ。

新拠点設立、KDDI自らも働き方のDXを実践

 藤井氏は、変化する環境に合わせてサービスも進化していく必要があるという。一度リリースしたら終わりというものではなく、長く使い続けられるものが重要と語る。このため、KDDIは企画と開発が一体となりアジャイル開発で価値を提供していくと藤井氏。チーム人数はグループ会社含めて、1000人を超えるという。

 さらに、KDDI自身もこのソリューションを実践していくという。具体的には虎ノ門に法人部門の新拠点を設けて、働き方のデジタルトランスフォーメーションを推進。ここで得た経験をフィードバックするという。

 あらゆるものに通信が溶け込む時代に働き方についても例外ではなく、藤井氏は、デジタルなインテグレーションは必須になってくる。そうした時代の中で新たなデジタルトランスフォーメーションを起こしたいと語った。