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NTTとNECが共同研究開発、世界展開で提携――新メイドインジャパンでグローバルへ

 NTTとNECは、革新的な光・無線技術を採用したICT製品の開発、共同研究などにおいて資本業務提携を締結した。

 これによりNTTは、NECの実施する新株式の発行および自己株式の処分の第三者割当てを引き受け、発行済株式総数の4.8%を取得する。

 提携を結ぶに当たり、NTTとNECの両社は25日、共同記者会見を開催。発表の場には、NTT 代表取締役社長 社長執行役員の澤田純氏とNEC 代表取締役執行役員社長兼CEOの新野隆氏が登壇した。

左=NEC 新野氏 右=NTT 澤田氏

アフターコロナを見据えて

 澤田氏は、アフターコロナの社会の展望を「リモートワールドの実現」と「新グローカリズムの台頭」という2つの観点から語る。澤田氏は、新型コロナウイルス収束後においても、5GやIoT、AIなどを活用したデジタルトランスフォーメーションの流れが進み、企業存続のための重要なファクターと説明。加えて今後、人・モノの自由な移動が停滞し、グローバリズムが変化、時刻ファーストなグローカリズムが進むと予測。信頼性の高いパートナーと「新メイドインジャパン」と呼べる日本発の付加価値の高い技術で、オープンな連携を結びグローバルに展開したいという。

 また、通信の世界において、ドコモが推奨するオープンなネットワーク構造の「O-RAN」を始めとしたオープン化の動きや、NTTが推し進める「IOWN」などの動きが進んでいくだろうと語る。

 こうした流れを受けてNECでは、単独で世界市場に進出するほかにも、オペレーター、メーカーなどとの共創を通じて、新たなビジネスモデルを成長させていくと新野氏。

日本発の技術で革新を

 新野氏は、今回のパートナーシップの狙いについて「2つの革新だ」と語る。ひとつは、オープン化による通信産業の構造に革新を起こすこと。ふたつ目は、日本発の革新的な技術・製品をグローバルに展開することだという。

 先進的なオペレーターであるNTTとNECの高度な通信技術、デジタル技術や通信インフラ構築ノウハウを持つ両社のアセットを強みに、製品やサービスの開発を行い、世界市場へ売り込む。

 両社で開発するものは独自規格ではなく、あくまでオープンな技術。これによりさまざまなオペレーターのサービスに対応するようになる。世界各国で透明性・安全性を確保した通信インフラを構築できると新野氏。

 具体的に両社では、O-RAN準拠の基地局、新型の小型光集積回路のやそれを組み込んだ機器、IOWN構想に基づく、光・無線機器を共同開発する。このほかにも、ネットワークセキュリティの確保に向けた技術の高度化に加えて、海底ケーブルや宇宙通信分野でも協業する。

両社の強みを生かして世界へ

 現在、ネットワーク分野で大きなシェアを持つファーウェイは米国の安全保障問題から先行きが不透明な状況が続いている。そうした中で、今回の提携には経済安全保障的な側面があるでは、という声に対して澤田氏はこう語る。

 「オープン化が意義の1つ。信頼が置けるプレイヤー、国とシステムを作っていきたい。そういう流れでは結果的に経済安全保障ということに合致しているかもしれない」とした上で、同じような考えに立つパートナーとともに仕事を広げていきたいとした。

 また、NTTとNEC両社のリソースを合わせても世界的な通信機器ベンダーであるノキアやエリクソン、ファーウェイのR&D費用には及ばない。そうした中で、両社の強みを澤田氏は「NTTは半導体メーカーの側面もある。より優れた製品を開発し、それをNECとの共同開発にも入れ込む。こうした部分では世界最先端」と語り、R&D費用の多寡のみならず、開発の方向性にも注目してほしいとコメント。

NTTドコモでは

 今回のNTTとNECの取り組みにドコモが参画する可能性について、ドコモ広報担当者は「現段階で決まっているものはないが、今後検討していく」とした。