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楽天モバイル、MNOのサービス発表会を開催、料金は「ワンプラン」

衛星通信のASTとの提携も発表

 楽天モバイルは3日、同社のMNO事業の料金およびサービス発表会を開催した。発表されたプランは「Rakuten UN-LIMIT」のワンプランで料金は2980円。3日16時より新規契約に限り先行予約を開始した。楽天MVNO含むMNPは本格サービススタートの4月8日からの受付となる。

 発表の場には、楽天 代表取締役兼社長の三木谷浩史氏が登壇。当初は都内会場での発表が予定されていたが、国内での新型コロナウイルスの流行の影響によりテレカンファレンスでの実施となった。

携帯電話の民主化、衛星を使った取り組みも

 アーティストのMIYAVIによる、楽天モバイルの新たなCM曲のオープニングムービーが流れた後に三木谷氏が登場。「この2年間、世界にない新しいネットワークをつくり、『モバイルネットワークを民主化する』ことを進めてきた」と三木谷氏。

 同社の携帯電話事業は楽天1社だけではなく、多くの国との「グローバルテクノロジーコラボレーション」の上に成り立っていることを紹介。スクリーン上には、NECを始めとして、NOKIAやクアルコム、CISCOなどさまざまなテクノロジー企業のトップから、楽天のMNO事業のローンチに対しての祝辞が寄せられた。

 また、今回の発表の場では、衛星通信技術の企業であるASTと楽天の業務資本提携も同時に発表された。AST 役員兼CEOのアーベル・アヴェラン氏が登壇。同社の「Space Mobile」についてのビジョンが示された。

 地上の基地局を介することなく、宇宙空間から直接、携帯電話に接続することで、都市にいても地方にいても同じレベルのサービスを受けられることを特徴とする。世界ではインターネットに接続できない地域に住む人口は30億人に達する。こうした通信環境におけるギャップ解消の足がかりになるほか、台風などの災害が発生した場合でも、安定した通信を提供し続けることができる。

 楽天との協業においては、日本全土、世界中で接続できるようにするプロジェクトが進行する予定だという。

楽天モバイルが価格を実現できる理由

 三木谷氏は、容量無制限で2980円という価格を実現している理由は、同社のビジネスの特徴にあることを紹介した。楽天はモバイル事業が独立したビジネスではなく、楽天のエコシステムをベースにしたものである。楽天カードだけでも2000万会員がおり、楽天市場でも日々何十万というユーザーが利用している。

 また、同社が敷いているシームレスで効率的な態勢もまた貢献している要素の1つ。日本人だけではなく40の国と地域から集まった優秀なエンジニアがあり、それを実現できたのは楽天のグローバルな企業風土だと三木谷氏は語る。同社は現在、英語を社内公用語としている。

 それに加えて、自動化やAIの活用のよるものも大きいという。一例として、ほかの携帯電話事業者では、エンジニアの経験則で基地局を建てる位置を選定していることに対して、AIを活用してより効率的にエリア構築しており、オペレーションに関しても人間に変わってAIが担当している箇所もあるという。

 そして、外せないのは完全仮想化ネットワークだ。楽天モバイル CTOのタレック・アミン氏がその概要を説明した。アミン氏は、2018年にプロジェクトが開始したことを紹介。テレコムネットワークは変革の時期をとうに過ぎているのではないか、特に5Gの時代には合っていないのではないかということを考えていたという。

 世界初のオープンRANネットワークを開発したが、周囲からはうまく行かない、スケールアップができないと言われていたという。しかし、楽天では必ず実現できることを確信して、ほかの道を考えずに突き進んだ。

 使用している機器はCOTS(商用オフザシェルフ)と呼ばれる汎用のサーバー。ITインフラやプラットフォームも専用のものではなく、アミン氏はこれを「エキサイティング」と表現。誇りに思い最もエキサイティングなのは、ジャパニーズクオリティであることという。日本において、エンジニアリングから製造までができたということは、コストの削減にもつながるとアミン氏。

 また、先進的なだけではなく、セキュリティも重視している。それは、業界における大きなテーマでもあるという。アミン氏によると、楽天モバイルはセキュリティを後付けで考えたわけではなく、そのフレームワークは世界でもトップクラスのものであるという。無線アクセスやネットワークアクテビティの可視化、ネットワークサービスのセグメント化や、アクセス限定などセキュリティの手段はいくつもあるとアピール。

 また、5Gの提供については、6月を予定している。基地局のソフトウェア更新だけで対応可能など先進性を強調した。日本に対して、世界で最もデータ消費する国になってほしいとアミン氏。

 さらに、RCSも重要な技術のひとつという。これを日本のみならずグローバルに展開していくことを紹介した。SMSは1992年にできた技術をベースにしているが、LinkはRCSを基にしており、グローバルのためにまずは日本でしっかり展開していくことを強調した。

基地局の建設状況は

 楽天モバイル 代表取締役社長の山田善久氏からはエリアカバレッジについて説明があった。同社では現在、自社ネットワークの構築に取り組んでおり、東名阪がその中心となっている。カバーできない範囲についてはパートナーであるKDDIのローミングを用いて日本全国をカバーしたとしている。

 楽天本社がある東京西部からスタートし、2019年6月時点で比較的拡大されその後、9月、12月と時季が進むごとに徐々にエリアが広がっていることが分かる。3月末段階で3432局が総務省に提出した計画だが、現時点で基地局は3490局。現在の見込みでは3月末時点で4400局という。

 また、2021年3月時点での見込みは計画では8600だが、現時点での契約数は7200。当初の見込みを大幅に上回る方向で進んでいると山田氏。

 人が住んでいない場所や人の立ち入りが少ない場所ではまだまだ携帯電話がつながらない場所が多い。今後はASTとともに「人口」ではなく「エリア」でのカバレッジを100%に近づけていくという。

ワンプラン、2980円

 「楽天モバイルは1つのプランしか出さない。将来的にも考えていない」と三木谷氏。多くのプランはユーザーのことを思って設定されているはずだが、それがかえってわかりにくいという状況を生み出している。よって、楽天モバイルは、「Rakuten UN-LIMIT」(楽天 アンリミット)のワンプランでいくという。

 楽天回線エリア内であれば、データは完全に使い放題でRCSを用いたコミュニケーションアプリ「Link」を使うことで、国内通話無料、海外から国内への通話も無料、海外から国内の通話は月額980円の料金となる。海外での利用は現在、アメリカやカナダ、ヨーロッパ諸国など主要な国66カ国を含んでいる。

 また、料金は2980円となるが、最初の1年間に限り300万人限定で無料となる。このほか、「携帯電話の民主化」を掲げる楽天モバイルでは、SIMロックフリー、最低利用期間なし、違約金もなしとしている。契約の際に事務手数料3300円がかかるが、Linkの利用で事務手数料分は全額ポイント還元される。また、6月30日までにオンラインで申し込むと3000ポイントをさらにプレゼントする。

 このほかにも、電波強度が弱いところに設置するためのフェムトセル(超小型基地局)兼Wi-Fiアクセスポイントの「Rakuten Casa」(ラクテン カーサ)が3月下旬以降発売予定、楽天オリジナル端末の「Rauten Mini」用のアクセサリーも順次展開されていくという。

 三木谷氏は「将来的な基地局の展開、さまざまなサービスのイノベーションを真っ向勝負で、ユーザーのために頑張っていきたい」と語る。最後には「いろいろなサービスがあるが、皆さんで判断してもらって、楽天モバイルの挑戦を応援してくれる人は是非使ってほしい、よろしくおねがいします」とユーザーへのメッセージを語った。

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