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国内初の「Wi-Fi 6」の実店舗環境でのフィールドテストを開始、Wi2など

 ワイヤ・アンド・ワイヤレスとラッカスネットワークスは次世代無線LAN規格「IEEE802.11AX」サービス展開に向けて国内初となるWI-Fiサービスの実店舗環境に向けてのフィールドテストを本日から開始した。Wi-Fi6による商用展開は来年度を目指している。

Wi-Fi6環境下で動く端末

 「Wi-Fi 6」は現行の「Wi-Fi 5」に次ぐ新たなWi-Fiの規格。現在、最も普及しているWi-Fiの規格は5GHz帯を使った「IEEE802.11ac(Wi-Fi 5)」だが、「Wi-Fi 6」と呼ばれる「IEEE802.11ax」は、2.4GHzと5GHz帯の両方をサポートし、従来規格である「IEEE802.11a/b/g/n/ac」との下位互換性を保ちながらも、理論値で「Wi-Fi 5」の約1.5倍の通信速度を実現できる。

左からラッカス 小宮博美氏、Wi2 江川正氏、Wi2 浅貝修一郎氏

 「Wi-Fi 6」は、多数のユーザーが同時に接続しても実行通信速度を落とさないという特徴がある。アクセスポイントの複数のアンテナから精密なビームフォーミングを行い、電波の飛ぶ方向を分散させ、衝突することがないように複数のデバイスが同時に通信できるようにしている。

ログイン画面(中央)

 「Wi-Fi 6」は今後さらに増加が見込まれる大容量通信によるネットワークの負担を高速化とパフォーマンスの向上で対応し、多くのユーザーによる同時接続にもストレスのない高速モバイル通信を可能にする。

品質向上を目指して

 フィールドテストが行われるのは、東京都目黒区の東京音楽大学 中目黒・代官山キャンパス内にある DEAN & DELUCA カフェ 東京音楽大学 中目黒・代官山キャンパス店。Wi-Fiスポットの需要が根強いカフェなどの飲食店はピーク時間帯に利用が集中するため、多様なデバイスの同時接続環境となっている。今回はそのような環境下での「Wi-Fi6」の最適なチューニングや検証を目的としている。

DEAN & DELUCA 店内に設置されるアクセスポイント

 ワイヤ・アンド・ワイヤレス 取締役の江川正氏によると、同社が認識している課題は利用者の増加によるトラフィックの増加。それによって、引き起こされるデータ通信のレスポンス低下や通信の中断だという。

 特に大学のカフェは、休み時間になるとパソコンやスマートフォンで調べものをする学生が多い。必然的に同時接続の機会がほかの店舗より多く、DEAN & DELUCAに協力を依頼し、フィールドテストの実施に至った。江川氏は「最終的に取り組むのはお客様品質の向上」だと語る。

テストにはラッカスネットワークスの機器を使用

 使用される機器は、超高密度環境でのキャパシティに優れ、電波到達範囲と性能が改善された、ラッカスのデュアルバンドアクセスポイント「R730」、大企業向けの高性能スイッチング機能を有するスイッチ「ICX 7150」、ネットワークコントローラーは「SmartZone 300」を使用する。

Wi-Fi6でのスピードテスト(参考値)

 ラッカスの機器には一定時間内のプローブリクエストには応答しないなど、不必要なプローブリクエストを判断し無線環境を最適化、既存利用者のスループット維持が可能。「Wi-Fi 6」の機能と合わせてさらにユーザー体感を向上できるとしている。

 フィールドテストは2段階に分けて行う。初期段階では来店者には開放せず、アクセスポイントの設置場所や干渉などを検証する。続いて、ユーザーの利用に十分耐えられるレベルに到達次第、一般の来店者に向けてネットワークを開放する。一般利用できるまでの期間は最短で2~3週間。

 実験店舗は今後も増やしていき、10店舗前後での実施を検討している。一般開放後の接続については、テスター登録などは不要。フィールドテスト用のSSID名はWi2サービス用が「ShowwCase_ax_EAP_LB」、フリーWi-Fi用が「ShowCase_ax_Wi2」となる。