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ディスカバリーが無料でネット配信、オンデマンドサービス「Dplay」がスタート

 ディスカバリー・ジャパンは、動画配信サービス「Dplay」の提供を開始した。専用のアプリ、またはブラウザからアクセスでき、ディスカバリーが制作する番組を無料で視聴できる。

 「Dplay」は、ディスカバリーが提供するネット配信サービス。すでにデンマーク、フィンランド、イタリア、スペイン、スウェーデン、ノルウェー、オランダの7カ国で展開されており、日本は8カ国目のサービス展開国となる。ヨーロッパ地域以外で日本が初展開となった。

 現在、「Dplay」上ではすでに、800以上のエピソードが配信されておりエド・スタフォードの「ザ・秘境生活」の未公開エピソードをはじめ、人気の自動車番組「名車再生!クラシックカー・ディーラーズ」、「ファスト&ラウド」などを視聴できる。

 アプリは、Android、iOSのどちらにも対応しており、1つのアカウントで複数のデバイスからアクセスすることができる。また、アプリをダウンロードすることなくWebブラウザ上からの視聴も可能。番組の途中で視聴を中断しても、再びログインしたときには前回の続きから再生される。コンテンツの検索は人気、更新順やチャンネル、ジャンル別から選択できる。

 サービス開始にあたり、ディスカバリー・ジャパンは、「Dplay新サービス説明会」を開催した。

時流に合わせたネット進出

 「Dplay」はすでにサービスを展開しているヨーロッパでは、有料で提供されているサービスだが、日本ではしばらくの間は無料でサービスが提供されるという。「まずは日本のユーザーにディスカバリーのコンテンツを知ってもらいたい」とディスカバリー・ジャパン 代表取締役社長のデービッド・マクドナルド氏は語る。ディスカバリーは年間で8000時間に及ぶコンテンツを制作しており、総数は30万時間に及ぶ。

デービッド・マクドナルド氏
プロダクト戦略&マーケティングディレクター ジェニー・ヤン氏

 国外では1カ国で10チャンネルも持ち、放送しているが、日本では「ディスカバリー・チャンネル」と「アニマル・プラネット」のわずかに2チャンネルのみ。ざっと計算すると、日本で放送できたコンテンツは同社が持つ全体の1/10に過ぎない。残りの9割のコンテンツをどうやって日本の視聴者に届けるかが課題だった。

 同社では、テレビは今でも重要なプラットフォームで、BS11の放送枠を増やすなどの施策を行うが、一方で視聴者がコンテンツを楽しむ方法はパソコン、スマートフォンなどと多様化している。ディスカバリーも新しいことをする必要が出てきたという。実際に、YouTubeチャンネルのリニューアルや、NTTドコモのdTVで自動車チャンネルの「Discovery TURBO」、AbemaTVで総合的なチャンネル「QUEST by Discovery」を開設してきた。

 そうしたさまざまな展開をする中で、今回は新たに自社のプラットフォームを開発し直接、コンテンツを視聴者に届ける取り組みを始めた。

 マクドナルド氏によると、「Dplay」のキーワードは3つ。オンデマンド、コミュニティ、情熱だ。「いつでもどこでも、ディスカバリーのコンテンツを手の中に収めて見ることができるというサービス届けるとともに、コミュニティの活動を応援することは、ディスカバリーと他社の差別化のポイントでもある。「たとえば、自動車やゴルフなどさまざまなところで、情熱を持ったファンは多い。映像を見るだけでなくイベントやなにか新しい取り組みをしようとするコミュニティをつくるのは重要なポイントだと思う」とマクドナルド氏。

 すでに開設されているYouTubeチャンネルは月間で100万~200万人以上の日本人ユーザーに視聴されている。加えて、dTVで展開している「Discovery TURBO」は根強いファンが多い。こうした状況を鑑みて、日本での自社プラットフォームでのサービス展開を決めた。

無料で提供し、認知を高める

 前述の通り、日本では「Dplay」はひとまずは無料で提供される。まずは無料で提供することで、間口を広くし、サービスの認知度向上や視聴者に情熱を育ててもらいたいとマクドナルド氏。日本ではネットでの配信ビジネスが盛り上がりを見せており、日本参入のタイミングは今だと思ったという。

 2020年の第1四半期にそれまでの実績などを考慮して、有料コンテンツの配信などを検討する。また、想定ユーザー層としては7割を25歳~45歳の男性としているが、今後は女性向けのフードコンテンツやオリジナルコンテンツを拡充する予定としている。

 またマクドナルド氏は「Dplay」のプラットフォームを利用して、新たなビジネスフォームを形成したいとも語った。前述のようにディスカバリーが制作した多くのコンテンツが未放送のままとなっている。「Dplay」を使い、日本未放送のコンテンツを配信したり、テレビとのタイアップで共同宣伝などの新しいことも検討したりしているという。

 「テレビの視聴率や、YouTubeなどでも視聴者のデータは入手できる。しかし、自社のプラットフォーム『Dplay』でユーザーとより深い関係を築き、得られたデータを分析することで、サービスをより良いものにしていきたい」とマクドナルド氏は今後の展開への意欲を語った。