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シャープの高効率な太陽電池を搭載したBLEビーコン、位置情報サービス事業者向けに供給開始
清水建設のナビゲーションサービスに採用
2019年8月7日 11:00
シャープは、従来の太陽電池より少ない光で発電できる高効率な「色素増感太陽電池」を搭載したビーコン「レスビー」を開発し、位置情報を提供するサービス事業者への供給を開始した。価格は、納入台数により異なるという。
レスビーには、同社が開発した、従来よりも高い発電効率を実現した色素増感太陽電池が搭載されている。色素増感太陽電池は、電解液の中にある色素を吸着させた酸化チタン(TiO2)へ光が当たると、電力が得られるという仕組みの太陽電池で、電極内に光を閉じ込める構造となっているため、高効率に発電ができる。(関連記事)
非常灯の照度があれば動作可能、屋内ナビゲーションに有利
屋内のナビゲーションサービスなどでは、GPSの電波が届きにくいことから、一定間隔で設置される「ビーコン」から発信されるBluetoothの位置情報信号をスマートフォンなどが検知して、位置情報を特定する形でサービスが提供される。
色素増感太陽電池を搭載することで、太陽光が届かない屋内ナビゲーションサービスでの利用でも、非常灯の下の50ルクス程度の照度があれば、1秒当たり1回の信号発信が可能となった。
事務所の照度基準(JIS Z9110)に合わせると、レスビーは、ほとんどのエリアで動作可能だという。
これまでのビーコンは、乾電池などの一次電池を搭載しているため、一定期間で電池交換が必要だった。また、ビーコンは人による電波の干渉を受けないように高所に設置される。
そのため、電池交換時には脚立などを利用した人の力によるメンテナンス作業が必要となるが、太陽電池の搭載により、約10年間のメンテナンスフリーを実現した。
厚さ7mmの薄型設計、固定用ネジが目立たない構造に
厚さ7mmの薄型設計により、設置する周りの環境になじみやすくなっている。
設置する際は、まず壁に本体を取り付ける台座を取り付け、台座に本体をはめ込むことで固定できる。この設計により、本体表面からネジが見えない構造となっている。
第1弾の導入先として、清水建設の屋内外音声ナビゲーションサービスに活用される。
主な仕様
無線通信方式は、Bluetooth Low Energy。動作照度範囲は50~1万ルクスで、50ルクスでは1秒当たり1回の発信が可能となる。大きさは74×7×134mmで、重さは62g。
圧力計の検知センサーも開発中、今年中の発表を見込む
シャープ 研究開発事業本部 材料・エネルギー研究所 第三研究室 課長の中野雅行氏は、屋内測位サービスについて「国土交通省が推進するプロジェクトにより、東京駅や成田空港などですでに屋内測位は実現されている。今後の市場規模は2023年までに2018年実績の6倍になると見込まれている」と指摘した。
同氏は、同じく太陽電池を開発し、ビーコンを提供する事業者との製品比較を行い、他社と比べて少ない動作照度で信号発信頻度が高いと意気込んで説明する。
また、試作デバイス発表時にあわせて、発表された色素増感太陽電池付きの圧力計検知センサーは、同氏によると、現在も引き続き開発中で、今年中には発表ができる見込みだという。
今後は、確実に市場のニーズがある屋内ナビゲーションサービスなどに必要な、ビーコンの供給を通じてマーケティングを進めていく。