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ドコモとスペースマーケット、貸し空間でライブ体験できる実験

「NTT DOCOMO VENTURES DAY 2019」で披露

 NTTドコモとスペースマーケットは、アーティストのライブ映像をレンタルスペースに配信し、リアルタイムで体験できるトライアルを行う。

 両社によるトライアルでは、アーティスト「mounmoon」のライブをリアルタイムに、レンタルスペース3カ所(東京2カ所、大阪1カ所)で配信する。友人同士でスペースを借りれば、自宅などとは違った形で、ライブ映像を楽しめる。レンタルスペースの利用料とは別に1人2000円かかる。

 「mounmoon」の映像は、当日のみならず、その後も同じ形で楽しめる。そのためトライアルの期間は2月17日~3月3日となっている。

 スペースマーケットが提供するプラットフォームでは、シェアリングサービスのひとつとして、会議室や飲食店などの空き時間をレンタルスペースとして貸したい側と、そうしたスペースを利用したいユーザーを結びつけてきた。

 いわゆる貸し会議室だけではなく、自宅のようなインテリアを採用する場所や、飲食店のようなキッチンを備え付けた場所が利用できることから、友人や同僚同士で料理や食事などをともに楽しんだり、幼い子供を抱える人同士でのホームパーティ風のイベントを開催したりといった形で利用されている。

 ドコモでは、100%子会社のNTTドコモ・ベンチャーズを通じて2018年12月27日付けで出資。両社では「共体験」と銘打って、スポーツ観戦やアーティストのライブ映像などをスペースマーケットで提供する方針。2020年のオリンピックでも同様の取り組みが実現できるよう目指していく。

ドコモが今、スタートアップと挑戦する領域は

 6日には、NTTドコモ・ベンチャーズによるイベント「NTT DOCOMO VENTURES DAY 2019」が開催された。代表取締役社長の稲川尚之氏は、ドコモとのシナジーを見据えた投資だけではなく、財務上のリターンも目指せるスタートアップへの投資も進めるようになってきたと説明する。

稲川社長

 たとえば先述したスペースマーケットとの協業では、dアカウントやドコモ回線との合算払いといったところまでは踏み込んでおらず、今後の検討課題。それでもドコモは、スタートアップとの協業により、自社だけでは生み出しにくい革新的な手法を取り入れたり、より柔軟な姿勢で新たな事業分野へチャレンジしたり、ソリューションを提供したりできるようになる。

 「NTT DOCOMO VENTURES DAY 2019」の会場では、NTTドコモ・ベンチャーズの出資先で、ゲームストリーミングサービスを手がけるフィンランドのHatch Entertainmentや、ドコモの法人営業部門と連携して省電力の通信対応(920MHz帯の独自通信規格)監視カメラを提供する米LOXIC社などがブースを出展していた。

動画の視聴完遂率が89%になるパロニム

 また同じくNTTドコモ・ベンチャーズが昨夏出資し2019年1月には動画で気になる人物や服があれば、タップすると関連する情報へアクセスできるという「TIG(ティグ)」技術を持つパロニムもブースを構える。

 ソフトバンク出身の社長により立ち上げられたパロニムは、現在、携帯キャリアではドコモだけが出資する格好。同社のTIG技術で制作された動画は、HTML5を用いた専用プレーヤーで再生する形となり、映像中に登場するアイテムとWeb上の情報を紐付ける。

 たとえば東京ガールズコレクションというイベントの動画では、ランウェイを歩くモデルの服が映像に出てくると、そのそばに「BUY」といったボタンが出る。モデルをタップすると、その人物情報へアクセスできる。

 TIG技術を採用する動画プロモーションはまだまだ多くはなく、A/Bテスト(TIGの技術を使った動画と、同じ内容の動画)をした例は1件だけ。それでも1分の動画で、最後まで視聴する完遂率が一般的には5%となるところ、TIGの技術を用いた場合は89%までになった。

 内容の理解度向上という効果も見られる。現在はまだ再生中の動画をタップするという使い方自体は馴染みがないものだが、一度そうした操作を覚えると、映像のさまざまな場面でユーザーは画面上をタップする。TIGでは、そうしたユーザーの操作もヒートマップで視覚化しており、よくタップされる場面/場所には何らかのコンテンツを配置する、といった工夫ができるようにしている。

 現時点ではまだ法人向けのビジネス展開。ドコモとの協業では、第1弾となる「新体感ライブ」のようにエンターテイメントやスポーツ観戦などでの活用を検討していく。