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「Pixel 3/3 XL」はグーグルのAI技術を味わえる機種に

 10日に発表され、国内ではグーグル自身のほか、NTTドコモおよびソフトバンクでも取り扱われることになったAndroidスマートフォン「Pixel 3」「Pixel 3 XL」。

 グーグルのPixel担当シニアディレクターであるナンダ・ラマチャンドラン氏はハード、ソフト、そしてグーグルがリードするAI技術の先端を体験できる機種と位置づける。

ナンダ・ラマチャンドラン氏
AI、ハード、ソフトで新たな体験を提供する

HDR+撮影とトップショット

 最新のスマートフォンカメラでは、逆光のシーンなど、明暗差が激しい場面でも美しく記録できる「HDR」機能が一般的になってきたが、「Pixel 3/3 XL」では「HDR+」と呼ばれる機能が搭載される。

 複数の写真を一度に記録することで実現する。これは、シャッターを短時間で何回も切るのではなく、輝度や絞り、あるいは被写体の状態が異なる写真をまとめて撮ってしまい、それらを合成するという形だ。

 夕焼けのような場面で撮影することが想定されつつ、同じくHDR+を活用するのが「トップショット」と名付けられた機能。これは、人物写真を撮る際にHDR+により複数枚の撮影を記録し、誰かが目を閉じていたり、被写体を邪魔するものが被っていたりする場面ではなくベストな写真1枚をリコメンドしてくれるというもの。ただ、その「ベストな写真」は偶然を狙うというよりも、機械学習(AI)による高精度な顔認識で、たとえばまぶたが閉じていない状態でピントをあわせて記録する。

PlaygroundはARCore技術と顔認識を活用

 動くスタンプを加えて撮影するPlaygroundは、アイアンマンなどの人気キャラクターを合成でき、ソーシャルへの投稿などに活躍しそうな機能。

 キャラクターの合成時には、グーグルの「ARCore」を用いており、現実の空間にあわせて配置。さらに人の視線を認識して、キャラクターが被写体のほうを向いたり、撮影する瞬間に笑顔になることを認識してキャラクターがポーズを取る、といった効果をもたらしてくれる。

火星撮影の技術を活かす

 ズームで撮影する際には、いわゆるデジタルズームとなるが、写真が粗くならないように、超解像でより美しい写真を記録する。

 この超解像の元になったのは、火星の表面を撮影する際に開発された技術。長距離から鮮明な写真を記録する技術として、天文学で活用される技術が一般ユーザーも普段使いできるというわけだ。

夜景撮影

 今後、Pixel 3/3 XLに取り入れられる夜景撮影モードは、フラッシュを使わずとも、美しい写真を記録できるという。

 10日の発表会では、同じ場面を、iPhone XSで撮った場合と比べて披露された。Pixel 3/3 XLでは、暗くなる被写体を明るく記録するだけではなく、機械学習により正しい色に補正し、より自然な写真にしてくれる。

「Googleレンズ」ついに日本でも

 約1年前に米国でリリースされた「Pixel 2」で初めて搭載された「Googleレンズ」が、今回、日本語に対応して、Pixel 3/3 XLへ搭載されることになった。

 簡単な文字認識程度であれば、リアルタイムで翻訳やテキスト化してくれる。たとえば名刺をかざすだけで連絡先に追加したり、海外旅行中の飲食店のメニューをカメラで捉えてそのまま翻訳したりできる。洋服や家具などを撮影すると、タップすれば、関連情報をWebで検索することもできる。

音楽認識

 AIのちょっとした活用として用意される「Now Playing」は、Pixel 3/3 XLを置いておくと、周囲の音楽を聴き取って、その楽曲名を表示してくれるというもの。

 カフェなどを訪れた際、気になる音楽が何か、教えてくれるアプリはこれまでもあったが、ユーザー自らそうしたアプリを起動する必要がある。一方、「Now Playing」はいつの間にかユーザーへ楽曲名を知らせる形となり、受け身のまま、AIによる恩恵を享受できる。

デュアルピクセルカメラでボケ効果

 ニューラルネットワークが被写体の人物を判定し、被写界深度を編集し、好みのボケ効果を背景や被写体に反映できる――それがPixel 3/3 XLのポートレートモードだ。

 同様の仕組みは既に1年前の「Pixel 2」でも搭載されていたが、日本でも今回利用できるようになる。

 Pixel 3/3 XLは、一見するとシングルカメラのように見えるが、グーグルでは「デュアルピクセルカメラ」としている。これは、レンズこそ1枚だが、いわば中のカメラセンサーは2つあるというもので、人間の目と同じように深度マップを作成し、被写体のシルエットを測定できる。ハードウェアだけではなく、AIによる判定が組み合わさることで、Pixelならではのポートレードモードが実現されている。

 ハードウェア単体で見れば、ハイエンドモデルながら、他社のスマートフォンと大きな違いは見えづらい「Pixel 3/3 XL」。しかしAIとAndroid 9などのソフトウェアを組み合わせることで、カメラを中心に、日々の生活のなかでユーザーの体験を少しずつ向上させようとしている。2016年にAIファーストを打ち出し、初代「Pixel」を発表したグーグルが、今回ようやく「Pixel 3/3 XL」を日本市場へ投入。今後の展開には、さらに注目が集まりそうだ。

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