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シャープ、AIとIoTを活用した猫用ペットケアモニターを発表
2018年6月11日 14:47
シャープは6月11日、AIとIoTを活用したペット向けサービス「COCORO PET」を発表した。同サービスの第1弾として、猫用のトイレ型ペットケアモニター「HN-PC001」を2018年7月30日に発売する。また、ペット関連の事業を行う企業や研究機関を対象とした「犬向けバイタル計測サービス」も同時に発表された。
猫用トイレ型「ペットケアモニター HN-PC001」
「ペットケアモニター HN-PC001」は、飼い猫の尿の量や回数、体重などを計測する機能を備えた、トイレ型のペットケアモニター。計測したデータはクラウド上に保存され、飼い主のスマートフォンから専用アプリ「COCORO PET」を使って確認できる。専用アプリは、Android 5.0以降およびiOS 10以降に対応する。
AIを活用した独自の異変検知アルゴリズムにより、計測したデータは自動で解析される。例えば、猫の尿量が普段よりも多い/少ない、あるいはトイレへの滞在時間が長いといった異変を検知した場合には、飼い主のスマートフォンに通知する。飼い猫の不調の早期発見に繋がり、健康管理をサポートするIoTデバイスとなっている。
猫用トイレとしての機能は、チップ(猫砂)とペットシートを併用するシステムトイレと呼ばれるタイプで、消耗品も専用オプションとして同時に発売する。また、複数の猫を飼育しているケースを想定し、別売りの「個体識別バッジ HN-PM001」を利用すれば、最大3頭までのデータを個別に記録できる仕様となっている。
ペットケアモニターの異変検知アルゴリズムは産学連携で開発された。共同開発者である鳥取大学の岡本芳晴教授によれば、ペットとして飼育される猫の平均寿命は、室内飼いの増加などによって1990年代以降伸びつつあり、近年の猫の死亡原因としては、ガンと並んで腎不全などの泌尿器系の疾患が占める割合が増加しているという。また、動物病院嫌いの猫も多く来院しても聴診や触診ができない場合も多いとして、排泄行動を通して飼い主が負担なく猫の状態を把握できるこのようなペットケアモニターによる定点観測の重要性を獣医師の視点から語った。
HN-PC001の価格は2万4800円(税別、以下同)で、7月30日からシャープのECサイト「COCORO STORE」で販売する。利用には、月額300円のサービス利用料が別途かかる。月産台数としては2500台程度を見込む。
専用オプションの価格は、個体識別バッジが3980円、チップ(2.5L)が600円、シート(20枚)が800円、交換用上部ユニットが5980円。
法人・研究機関向け「犬向けバイタル計測サービス」
「犬向けバイタル計測サービス」は、ウェアラブルセンサーによる犬の呼吸数や心拍数、体表温といったデータの計測、および解析を行うサービス。
計測には独自構造のハーネス型ウェアラブルセンサーを用いて、抵抗を示す飼い主も多いという犬の剃毛を必要とせず、多くの犬種での計測を可能とした。また、犬の緊張状態/リラックス状態との相関性が学術的に認められているという自律神経バランスの数値化を、大阪府立大学と共同開発した独自のアルゴリズムによって実現した。
同サービスは当初、ペット関連商品やサービスを開発する企業や、研究機関向けに展開される。サービス形態は企業向けと研究機関向けで異なり、企業向けサービスではバイタル計測に加えてデータ解析も含めたサービスを提供。研究機関向けサービスでは、ウェアラブルセンサーや専用データ解析PCなどから構成される計測システムのレンタルを行う。
将来的には、同社の培ってきたセンシング技術やクラウドサービスを導入しAIとIoTを結びつけた「AIoT」製品の1つとして、一般消費者向けのサービスとしての展開も検討する。
犬向けバイタル計測サービスは7月1日から試験提供を開始する。費用は受託内容に応じて設定される。