ニュース

戸籍の人名にも対応、漢字約6万文字のISO文字コード化が完了

 IPA(独立行政法人情報処理推進機構) 国際標準推進センターは、「文字情報基盤」として整備してきた日本語の漢字約6万文字について、ISOによる国際規格化が完了したと発表した。

 IPAでは、ISO(国際標準化機構)より文字コード国際規格の最新版である「ISO/IEC 10646」(UCS:Universal Coded Character Set)の第5版「ISO/IEC 10646:2017」が12月22日に発行されたことを受け、IPAが「文字情報基盤」として推進してきた漢字5万8861文字に、ISOの統一的な文字コードが割り当てられたことを明らかにした。

 人名などにはさまざまな漢字が用いられており、IPAでは、コンピューター上での戸籍の表示・取り扱いに必要な「戸籍統一文字」の漢字を5万5271文字としている。これを含め、IPAでは「文字情報基盤」として漢字5万8861文字の国際規格化(ISO文字コードの発行)を2010年から推進してきた。

 これまでは、「JIS X0213:2012」で選定された漢字1万50文字以外の漢字は、特別なソフトウェア・システムを導入するか、自治体などが独自に「外字」としてコンピューターシステムに作成・登録する必要があり、自治体間で「外字」の文字コードに互換性がないなどの課題があった。

 戸籍統一文字を含めた文字に国際規格として文字コードが割り当てられたことで、今後は、行政機関のデータの相互利用が促進され、外字作成コストが解消されるとする。また政府調達なども一層開かれるとし、電子行政用システムの構築や運用の効率、利便性が大きく向上すると見込む。IPAでは今後、文字フォントのIPAmj明朝フォントもバージョンアップを行い、漢字5万8861文字に対応させる予定。

 IPAではまた、「変体仮名」の国際規格化も進めており、「ISO/IEC 10646」第5判の追補版として、2018年3月末までに発行される見込み。これをもって、IPAが延べ15年に渡って整備・提案してきた漢字と変体仮名の全ての国際規格化が完了するとしている。

 なお、業界規格のUnicodeでは、6月に策定した文字コードの「Unicode 10.0」でこれら戸籍統一文字や変体仮名への対応を完了している。