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クアルコム、“通常サイズ”の5G NRスマートフォンを披露
5G対応の商用スマートフォンは2019年に登場予定
2017年10月24日 12:09
クアルコムは10月17日~19日にかけ、メーカーおよびパートナー向けのイベント「2017 Qualcomm 4G/5G Summit」を香港で開催し、5Gモデムチップセット「Snapdragon X50」の概要と、X50を搭載し5Gの新周波数帯(5G New Radio/5G NR)に加え、2G/3G/4Gにも対応したリファレンスモデルのスマートフォンを披露した。5Gに対応するスマートフォン製品は2019年中の登場を予告している。
Sub-6GHz帯で5Gのメリットを広範囲に
初日のキーノートには、Qualcomm Technologies エグゼクティブ・バイス・プレジデントのクリスティアーノ・アモン氏が登壇した。同氏は、あらゆる産業において世界的にデータ通信のニーズが高まっており、モバイル通信のトラフィックは2020年、2014年比で30倍になるとの予測を紹介。消費者が望む「制限のない超高速なデータ通信」を実現する新しい技術として5Gが期待されており、その周辺産業は2035年までに12兆ドルのビジネス規模に達すると述べた。
クアルコムがそれに対して用意するソリューションの1つとして、アモン氏は世界初の5Gデータ通信が可能な5G NR対応チップセット「Snapdragon X50」モデムファミリーを紹介。X50モデムファミリーについては2016年の時点ですでに発表されており、2017年2月の「Mobile World Congress」では実験機も展示していたが、この日はX50による5Gデータ接続に成功したことを新たに明らかにした。
X50モデムファミリーでは、28GHzという高周波数帯のミリ波を用い、1Gbpsをはるかに超える超高速ワイヤレス通信を通常2ミリ秒以下という低レイテンシーで実現する。ただし、24GHz以上として定義されるミリ波による通信は、主に基地局からの距離によって通信速度の安定性が大きく左右される。
したがって、ミリ波は基地局同士を近づけてメッシュ状に配置できる主に都心部で有効な周波数ではあるものの、そうではない郊外では十分なパフォーマンスを発揮できない。それを解決する1つの手段として、X50モデムファミリーではSub-6GHz(6GHz以下)の周波数帯にも対応する。
また、5Gの商用サービス開始後も、既存のスマートフォンや基地局を置き換えることにはならないため、当然ながら従来の2G/3G/4Gネットワークを即、廃止することはできない。世代の異なるネットワークが混在する地域でも利用できるよう、X50モデムファミリーではさらにそれら2G/3G/4Gネットワークのサポートをワンチップに統合した「マルチモード」も実現する。
同氏は、このX50モデムファミリーを搭載し、5G NRに対応するスマートフォンのリファレンスモデルの実物を披露した。5Gの基幹要素であるMIMO、ビームフォーミングのほか、従来の2G/3G/4Gにも対応するため、アンテナモジュールをはじめとする多数の部品が必要となってくるが、今回、披露された試作機は幅76×高さ157.25×厚さ9.7mmという、近年のハイエンドスマートフォンとさほど変わらないサイズ感を達成している。
2017年後半にはX50モデムファミリーのサンプル出荷を開始。日本のNTTドコモのほか、AT&T、Sprint、China Mobile(中国移動)、SK telecom、Vodafone、Ericssonなどにより、2019年前半まで5Gの技術や製品の検証が行われるとともに、3GPPによる5G NRの仕様策定が完了する予定。実際に5G NRに対応したスマートフォン製品は、2019年後半以降にリリースされる見込みだ。