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安心して契約できるショップを増やす「あんしんショップ認定制度」スタート

「あんしんショップ認定マーク」

 全国の携帯電話販売店が加盟する全国携帯電話販売代理店協会(全携協)は、キャリアショップへの苦情を減らすための取り組み「あんしんショップ認定制度」を10月に開始する。

 認定されたショップには「あんしんショップ認定マーク」が掲げられ、安心して契約や相談ができるショップの目安になる。店内には「お客様への誓い」と題した認定証書が掲示される。

 「あんしんショップ認定制度」は、全携協に加盟する携帯電話キャリアショップ(全国8500店舗)が対象となる。当初は自主的に申請した全店舗に認定マークが付与される。10月にショップからの申し込みの受付を開始する。認定マークを掲げた最初の店舗は2017年の1月に登場する。当初は2000店舗程度となる見込み。

 制度を申し込む際に、キャリアショップは9項目からなる「誓約書」を提出する。この誓約書は、「関係法令、ガイドライン、自主規制等を遵守すること」と「消費者保護の精神を堅持し、業界の健全な発展に寄与すること」といった9項目が定められている。更新制で、有効期間は1年。不適格と見なされたショップは審査を取り消される。

 制度を運営する「あんしんショップ認定協議会」は、全携協の内部組織。認定基準の策定や認定と取消は、外部の有識者が過半数を占める審査委員会の合議によって行う。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクといった大手キャリアや、その業界団体の電気通信事業者協会(TCA)、総務省の消費者行政担当が、制度運用を担当する運営委員会のオブザーバーとして参加する。

「良貨で悪貨を駆逐する」

協議会の会長を務める竹岡哲郎氏(全携協会長)は、取り組みの経緯を紹介した

 全携協は「ショップへの苦情を減らす」ために、2014年12月に設立された組織。全国のキャリアショップの82%にあたる、販売代理店133社が会員となっている。これまで、加盟店からのクレーム事例の集約など、苦情を減らすための取り組みを行ってきた。

 今回の取り組みは、総務省の「ICTサービス安心・安全研究会」の会合の中で示された「優良ショップ制度の創設を検討するべき」という意見がもとになったもの。大手キャリアが加盟するTCAと全携協で議論を繰り返し、「あんしんショップ認定協議会」の組織化に至ったという。

審査委員を務める野村総研の北俊一氏

 審査委員の1人、野村総研の北俊一氏は、「身に覚えのないSDカードの割賦を組まれていた」「たくさんのオプションサービスを契約させられていた」といった苦情を紹介しつつも、「数千あるショップの一部の不正な取り組みが、携帯電話ショップ全体にネガティブな印象を与えている」と指摘した。

 こうした中で、あんしんショップ認定制度は「良貨をピカピカに磨いて悪貨を駆逐する」取り組みと表現。ショップ同士が向上心を持って競い合う必要があるとする一方で、「消費者の厳しい視点で、“このマークがあるのにこんな(悪い)対応なのか”と声を上げることが、いい制度につながっていく」とした。

あんしんショップ認定協議会 審査委員長の新美育文氏(明治大学法学部教授)

 あんしんショップ認定協議会で審査委員長となった新美育文氏は、審査基準についての考えを披露した。

 申請時に提出する「誓約書」は、審査委員会のメンバーの3人(新美氏、北氏と全国地域婦人団体連絡協議会事務局長の長田三紀氏)の合議によって策定されたもの。具体的な規則ではなく、理念的な内容が中心となっている。

 これは、開始当初は認定や取消に対して具体的な審査基準を設けていないため。新美氏は、開始当初の認定について「性善説に基いて、手を挙げたショップすべてを認定する」と説明。認定店に寄せられた来店客の意見をもとにして、具体的な認定・取消基準の作成や、店員向けの研修プログラムなどを定めていくという。

あんしんショップ認定協議会 副会長 有木節二氏(TCA専務理事)

 同制度には大手キャリアも協力し、運営費用を提供している。TCAの有木氏は、「キャリアがショップに対して実施している研修プログラムは、サービス品質の向上も含めたものだが、あんしんショップ認定制度は法令遵守を主眼としたもの。本来の目的と違いがあるが、趣旨は共有している」とコメントした。