インタビュー

「OPPO Find X3 Pro」、10億色のディスプレイとカメラに込められた想いとは

 3月11日、OPPOはフラッグシップのAndroidスマートフォン「OPPO Find X3 Pro」を発表した。国内ではauから6月下旬以降に発売される予定で、10億色を表現できるディスプレイとカメラを大きな特徴に打ち出す。

 そのコンセプトや、機能の詳細についてはどういったものか。プロダクトマネージャーのRison Chen(ライソン・チェン)氏、ディスプレイスペシャリストのTan Hao(タン・ハオ)博士、カメラ担当のシニアエンジニアのHuang Jiewen(ファン・ジーウェン)氏が、日本の報道関係者とのグループインタビューに応じた。

素晴らしい景色に出会った感動をそのまま切り取る

 「Find X3 Pro」は最大120Hz駆動で10億色を表現できる6.7インチの有機ELディスプレイを搭載。10億色の彩度を誇るという5000万画素のデュアルカメラを2つ、60倍まで拡大できるマクロレンズを備える。

 ディスプレイ、そしてカメラで「10億色」という特徴が備わったことについて、チェン氏は「これは10bit(10億)がもたらす、詩的な色合い。撮影時の感情や感動を再想起させることをコンセプトにした」と語る。ユーザーが胸を打たれる風景に出会えたとき、その瞬間の空気感や、色合いを忠実に記録し、再現するために「10億色」に今回こだわって開発が進められた。

人生にわずかしかない感動的な場面をそのまま

 たとえば、暖かな夕日のもと、海辺を歩いているときの場面を撮影することを想定し、その空気がもたらす光の屈折なども踏まえてカメラ機能を調整し、感動した場面を記録できることを目指した。Find X3は、「人生に何度も体験できないような場面」を記録できるとして、ほかにそうした表現能力を備えた機種はない、と未踏の分野であることをあらためて紹介した。

 たとえばFind X3のカメラで撮影した10億色の写真を、忠実に再現できるディスプレイは現状、数が限られるとしても、将来的にはそうしたデバイスがより多くの人へ普及する可能性がある。そうした未来に向けて、今から10億色の写真を記録できるようにした。

 ちなみにJPEGでは8bitまでしか記録できないため、10bitの写真を記録する際は、HEIF形式で保存することになる。

色覚異常にも対応

 人口の8%には、何らかの色覚に関し、何らかのハードルを持つ人が存在する。そうした人々でも鮮やかな色を届けられることを「Find X3 Pro」では目指した。

 赤色、あるいは緑色が認識しづらいなど、人によって異なる性質に対して、Find X3 Proで簡単なテストを進めると、そのディスプレイでの色表現が調整され、より適切な色合いになるという。自動的な補正以外にも、手動でパラメーターを調整してカスタマイズすることもできる。

 このほか、ディスプレイ関連の特徴のひとつである「O-Sync Display Hyper Response Engine」により、タッチ操作を遅延なくできる。

滑らかな曲線のカメラ部周辺

 またカメラ周辺の盛り上がった周辺部は、滑らかな曲線で仕上げられている。これは、スペースシャトル、宇宙船のイメージにインスパイアされたもので、技術面での革新性を視覚にも訴えかける形状として採用された。デザイン性や、後述するカメラ機能での先端感の追求が、結果的に他社との差別化にも繋がっているという。

顕微鏡のように使える60倍マクロレンズ

 カメラの特徴のひとつは60倍のマクロレンズ。まるで顕微鏡のように利用できるもので、その周囲にはリングライトが用意され、被写体を明るく照らしながら細部を観察できる。

 60倍という倍率は、デジタル2倍、光学30倍で実現した。マクロカメラのセンサー自体は500万画素だが、周辺がボケることから300万画素相当として用いている。顕微鏡として利用できるようにするためモジュールの小型化がはかられた。

 OPPOでは、Findシリーズの開発では、未来感、科学技術力やイノベーション感を重視しているとのことで、顕微鏡機能はその一環として採用された。

 その活用例として、同社では、子供と一緒に教育、あるいはエンターテイメントとして楽しめるのでは、と語る。身近なものを接写して、ミクロの世界での姿を見る楽しみを、スマートフォンで実現できるという触れ込みだ。たとえば蝶の羽根の観察などを例に挙げ“小宇宙を探索する最も興味深いシーン”とアピールする。

望遠レンズはペリスコープ不採用

 カメラ機能のひとつで用意される望遠レンズだが、11日の発表会ではあまり触れられることがなかった。

 OPPOでは、ユーザーへの調査の結果、多くの人が使う望遠倍率は5倍以下で、2~3倍が多いことを把握。そこで、望遠に関する開発投資を抑制し、別の機能に振り分けた。

コンピュテーショナルフォトグラフィーに注力

 10億色カメラ×2、顕微鏡になるマクロレンズ、そして望遠というクアッドカメラ構成となったFind X3。

 OPPOでは限られたボディサイズのスマートフォンでは、今後のカメラの進化として、「コンピューティングイメージ(コンピュテーショナルフォトグラフィー)」を重視するという。

 たとえば、3月に旅行先を訪れたとして、もっとも美しい季節が9月だった場合、3月に撮った写真であっても9月の美しさを再現できることを目指す。

 この説明は、現在、iPhoneやPixelで実現している「肉眼で見るよりも明るく夜や夕景の場面を描く」「手持ちで星空を記録する」といった現状のコンピュテーショナルフォトグラフィーとは、また異なるかたちでの「写真」を実現しようという意欲が現れたものとも言えそうだ。

au版のスペックはグローバル版と同等

 6月下旬以降にも、auから発売される「Find X3」は、FeliCaには非対応。日本国内ではコード決済の利用が進んでいること、あるいは顕微鏡機能との干渉があるため採用が見送られたという。

 なお、5Gネットワークについては、700MHz帯および3.5GHz帯の転用周波数に対応する一方、ミリ波は非対応となる。

 また日本のユーザーにあわせ、ユーザーインターフェイスのColorOSは若干のカスタマイズが施される。

映画音楽のハンス・ジマー氏とコラボ

 スピーカーは、先代モデルの「Find X2」と同等に仕上げられている。

 Find X3 Proの着信音は、映画音楽の著名な作曲家であるハンス・ジマー氏が手掛ける。「バックドラフト」「レインマン」「ダークナイト」など数多くの作品で曲を手掛け、グラミー賞やアカデミー賞にも輝いた。

 ジマー氏とのコラボレーションは、OPPOが目指す「未来感」など先端的なイメージにマッチするため。今後についてはまだ決まったものはないが、今回は、テクノロジーがもたらす輝かしい未来のイメージを表現できたという。