【WIRELESS JAPAN 2009】
ドコモ、今秋提供予定の「フェムトセル」を公開


フェムトセル基地局装置

 NTTドコモは、WIRELESS JAPAN 2009のブースで、今秋にも提供する予定の「フェムトセル基地局装置」を公開した。宅内を模した展示コーナーを設け、プレゼンス機能などともに利用シーンが紹介された。

 「フェムトセル」とは、きわめて狭い携帯電話のサービスエリアや、そのサービスエリアを実現するための小型基地局を示す用語。主に個人の宅内など、ごく小さなエリアが想定されている。

 ドコモが7月7日に発表したフェムトセル基地局装置は、今年秋口にも一般住居に設置できるような形での導入が検討されている。今回のデモ展示では、実際の利用シーンに近づけた内容となっていた。

 具体的な機能の1つとして紹介されていたのが「在宅プレゼンス機能」だ。フェムトセル基地局装置には、あらかじめユーザーや家族の携帯電話番号を登録するようになっており、それらの携帯電話がフェムトセルに接続すると家族に「自宅に子供が帰ってきた」と通知してくれる。なお、今後登場するドコモの携帯電話には、フェムトセルへ優先的に接続する機能が搭載される見込みという。

専用アプリで確認できる在宅プレゼンス機能の概要

 続いて紹介されたのは、ストリーミングでの音楽再生だ。これは、小型ながら基地局1つをまるまる使って通信できることを利用したもの。通常、携帯電話の基地局は複数のユーザーと繋がり、電波環境の影響を受けて、理論値通りの通信速度になりにくい。だが、フェムトセルでは接続ユーザー数が限られ、同じ部屋の中で遮蔽するものがないなど比較的良好な電波環境が見込めるとあって、大容量ファイルも高速にダウンロードできると期待されている。ストリーミングデモは、フェムトセルの特性をアピールするもので、今後の展開としては、家庭内の家電管理装置としての役割を果たしたり、店舗に設置されればクーポン配信のプラットフォームとして活用したりできることなども紹介されていた。

 ドコモのフェムトセル基地局装置は、今回のもので2代目となるが、新たに搭載された「Plug&Play機能」では周辺基地局の情報を取得し、干渉などが発生しないよう電波出力の管理などが行われる。また周囲にある基地局/フェムトセルも把握しており、最適なパラメーターになる機能も用意されている。これらの機能を実現するためには、フェムトセル基地局だけではなく、バックボーンとなるドコモのネットワークも調整することになるが、既に完了しているとのこと。今後、個人ユーザーが導入できる時期が来れば、全国一斉にスタートできるという。

音楽ストリーミングのデモフェムトセルの背面

 



(関口 聖)

2009/7/22/ 18:25