【Mobile World Congress Shanghai 2018】

uCloudlink、クラウドSIM内蔵の廉価版スマホ「P2」を出展

FREETELから発売間近の「S1」も披露

 「クラウドSIM」や、それを内蔵した端末の開発を手掛けるuCloudlinkは、Mobile World Congress Shanghaiに最新モデルの「P2」を出展。2月にスペイン・バルセロナで開催されたMobile World Congressに展示されていた「S1」は、FREETELから間もなく発売されることも明かした。

uCloudlinkがMWC上海に出展した「P2」

 クラウドSIMとは、バーチャルSIMの一種で、滞在先の国や地域に合わせて現地の通信事業者の設定を書き込む仕組みのこと。各通信事業者のSIMカードは、uCloudlink側のサーバーに挿されているため、ユーザーは個別に契約を結ぶ必要なく利用できる。料金はuCloudlinkや、同社がソリューションを提供する各社に支払う形になるが、一般的に国際ローミングよりも安価に抑えられている。

端末内にクラウドSIMが内蔵されており、滞在国に合わせたプランを直接購入できる

 日本では、ワイモバイルが同社のWi-Fiルーターを「Pocket WiFi 701UC」として販売中。海外渡航時は、1日90円で月7GBまで高速通信を利用できる「海外データ定額」を提供している。また、FREETELブランドのスマートフォンを手がけるMAYA SYSTEMも、uCloudlinkのWi-Fiルーターを「jetfi」ブランドで展開。一部の海外用Wi-Fiルーターレンタル事業者も、uCloudlinkの製品を採用している。

 新たに展示されたP2は、スマートフォン型の端末に、クラウドSIMを内蔵したモデル。SIMカードスロットも備えており、国内にいるときは現地の通信事業者で、海外に出たときはクラウドSIMで通信するというのがコンセプトだ。2月のMWCに出展された端末との違いは、主にスペックや価格にあるという。

 P2は廉価モデルという位置づけで、筐体は樹脂製。背面カバーを取り外して、バッテリーの交換もできるという。ディスプレイは18:9と縦に長いが、サイズは5.47インチと、S1に比べ、コンパクトになっている。ただし、詳細なスペックは未定。会場に展示されていた端末は操作可能な状態だったが、デザインサンプルとのことで、まだクラウドSIMがインストールされていなかった。数カ月以内に発売したいとのことだが、展開国なども未定だ。

P2のスペック。詳細は未定だが、18:9の縦に長いディスプレイが搭載されている

 uCloudlinkのブースには、MWCで披露されたS1も展示されていた。会場の説明員によると、「日本でも間もなく発売される」予定だという。発売元はFREETELであることを認めた。

FREETELから間もなく発売されるという「S1」。筐体には金属を採用しており、Snapdragon 600シリーズを搭載する

 MAYA SYSTEMは、FREETELブランドをプラスワン・マーケティング(POM)から承継。POM時代から開発していた「REI 2 Dual」や「Priori 5」を発表した際に、eSIMを採用したスマートフォンを投入することを予告していた。新生FREETELの発表会で言及されていたeSIM内蔵のスマートフォンとは、uCloudlinkのS1を指していると見られる。

石野 純也