【CES 2018】
クアルコム、IoTなど隣接分野への取り組みをカンファレンスにて解説
2018年1月10日 14:12
CES開催前日、クアルコムの新社長に就任したクリスティアーノ・アモン(Cristiano Amon)氏がプレスカンファレンスに登壇した。
2017年12月にSnapdragon 845が発表になったばかり、そして来月後半にはMobile World Congressも控える中、家電ショーであるCESにおけるクアルコムのカンファレンスは、モバイル要素は控えめだ。しかしその分、モバイルに隣りあうさまざまな分野に対する同社の取り組みがわかる機会ともなっている。
アモン氏は、今から2年後、2020年の見通しとして、クアルコムの売り上げの半分が「オートモーティブ(自動車、Automotive)」「IoTとセキュリティ」「モバイルコンピューター」「ネットワーキング」になると語る。コアとなるモバイル分野は全体の4分の1未満との考えだ。
モバイル分野では、引き続き5Gの実現を目指しており、初のマルチモード5G NRモデムや5G NRスマートフォンのリファレンスデザインを提供している。モデム部分までではなく、モデム~アンテナまでのRFフロントエンド(アンテナ~送受信機を含めた回路)部分にもクアルコムの事業分野は拡大中で、グーグルやHTC、LG、ソニー、サムスンにクアルコムのRFフロントエンドデザインが採用されたことも明らかにした。
モバイルに近いところとして、まずモバイルコンピュータ分野では、LenovoがSnapdragon 835を搭載するWindows PCの「Lenovo Miix 630」が同日発表されたことを紹介。
つづいてIoTの主要分野となるスマートホーム向けには、メッシュネットワークプラットフォームとリファレンスデザインの拡張も発表している。Wi-Fiのメッシュネットワークにより、家庭内のIoT機器がより接続しやすくなる。
スマートスピーカーも手軽に開発
スマートスピーカー分野では、Qualcomm Smart Audio PlatformがCortana、Amazon Alexa、Googleアシスタントをそれぞれサポートし、メーカーはクアルコムのリファレンスデザインを使い、簡単にスマートスピーカーなどを開発できるようになる。このうちGoogleアシスタントについては、このCESで発表となったLGの「ThinQ Speaker」がクアルコムのプラットフォームをベースとしているという。
ウェアラブル向けのSoC新製品、自動車分野での提携も
ウェアラブル分野でもBluetoothヘッドセット向けSoCの新製品「QCC5100」が発表された。こちらは左右分離型のBluetoothヘッドセットにも使えるもので、非常に低消費電力なことも特徴とし、最大65%の電力消費を削減するという。また、音声アシスタント向けにウェイクワード(Hey SiriやOK Googleのようなもの)の待機が低電力化している。
自動車分野ではジャガーランドローバー、ホンダ、BYDとそれぞれ提携し、オートモーティブ向けソリューションなどが採用されたことも発表している。
Snapdragonを採用するVRゴーグル「Oculus Go」
最後に隣接分野の新しいユースケースとして、アモン氏はAR/VR分野についても言及し、Snapdragon採用VRゴーグルとして「Oculus Go」を紹介し、FacebookのVR(Oculus)担当Vice Presidentのヒューゴ・バッラ(Hugo Barra)氏を壇上に招く。
Oculus Goはスマートフォンを用いるタイプのVRデバイスと、パソコンを用いるVRデバイスの中間にあたる新たなカテゴリーを狙うVRゴーグル。Snapdragon 821を採用している。Oculusプラットフォームで、PC向けのOculus Rift、サムスンのGalaxyシリーズを使うGear VRといった製品向けにコンテンツなどの開発者がそのまま参入できるのも特徴だ。
Barra氏はOculus Goの製造でシャオミ(小米、Xiaomi)と協力することも紹介し、シャオミのエコシステム担当Vice PresidentのThomas Tang氏を壇上に招く。Tang氏はOculus Goとハードウェアを共通とする「Mi VR Standalone」をシャオミが中国独占で展開することも明らかにした。