【CES 2017】

ASUS、12倍ズームの2カメラ搭載「ZenFone 3 Zoom」とTango/Daydream両対応の「ZenFone AR」を発表

 ASUSは、1月4日(現地時間)に記者会見を開催。背面に2つのカメラを搭載した「ZenFone 3 Zoom」と、グーグルのAR技術「Tango」とVR技術「Daydream」に両対応した「ZenFone AR」の2機種を発表した。イベントには、ASUSの会長、ジョニー・シー氏が登壇。両機種に搭載された機能の革新性を力説した。

2つのカメラを切り替えることで、光学ズームのような効果を得られる「ZenFone 3 Zoom」
TangoとDaydreamに両対応した「ZenFone AR」

ツインカメラで疑似的に光学ズームを実現した「ZenFone 3 Zoom」

 シー会長が「距離の壁を打ち破るドリームマシーン」と評するのが、ZenFone 3 Zoomだ。同機種の背面にはメインカメラとズームカメラの2つが搭載されており、両者を切り替えることで光学ズームのような効果を得られる。メインカメラは広角25mm、ズームカメラは広角56mmで、ズームカメラを利用した際は、メインカメラの約2.3倍まで被写体に近寄ることが可能だ。

「ZenFone 3 Zoom」の外観
ワンタッチで2.3倍ズームに切り替えられる

 1倍より上から2.3倍未満まではメインカメラのデジタルズームを、2.3倍より上はズームカメラのデジタルズームを活用。最大で12倍までのズームが可能になる。技術的にはiPhone 7 Plusに搭載されたツインカメラに近く、HOYAのレンズによって機械的な光学ズームを実現した初代ZenFone Zoomとは異なるアプローチと言える。

 ZenFone 3などに採用された「Tri-Techオートフォーカス」は「Tri-tech+オートフォーカス」に進化。レーザーオートフォーカス、追尾フォーカスに加え、サムスンの「Galaxy S7 edge」にも採用されている「デュアルピクセル位相差オートフォーカス」にも対応する。これによって、暗所でのフォーカス速度が上がり、被写体にピントを合わせやすくなった。メインカメラのF値は1.7、ズームカメラのF値は非公開となっている。

デジタルズームを併用して、最大12倍までズームできる
オートフォーカスも高速化した

 「美しいセルフィーが撮れる(自撮りができる)」(同氏)というように、フロントカメラも強化。13メガピクセル、F値2.0のカメラを搭載し、肌を明るくしたり、輪郭を補正したりといった処理ができる、ビューティーモード(Beautification)も搭載する。

ビューティーモードは輪郭や目の大きさなどの調整に対応
それぞれのパラメーターを最大化して撮影した筆者

 カメラ以外の特徴としては、5000mAhの大容量バッテリーを搭載。これによって、「スマートフォンでは世界でもっとも長く4K動画を撮ることができる」(同氏)。シー会長によると、4K動画の記録時間は、最大6.4時間にものぼるという。チップセットには、クアルコムの「Snapdragon 625」を採用。最大4GBのメモリ(RAM)、128GBのストレージ(ROM)を内蔵する。ディスプレイはAMOLED(有機EL)で、サイズは5.5インチのフルHD。OSはAndroid 6.0となる。

5000mAhのバッテリーを搭載しているため、長時間の動画撮影にも耐える
ZenFone 3 Zoomの主な特徴

 ASUSの記者会見では、シー会長が声を張り上げ、価格を発表するのが最大の“見せ場”になっているが、今回はそれが見送られた。代わりに、2017年2月という発売日を力強くアピール。「こうご期待(Stay tuned)」と叫び、ZenFone 3 Zoomの発表を締めくくった。

発売は2017年2月の予定

「Tango」と「Daydream」に両対応した「ZenFone AR」

 「イマジネーションは、創造のための基本的な要素だ」と語りながらシー会長が紹介したもう1つのスマートフォンが、ZenFone ARだ。「没入感のあるARとVRの両方を経験できる」(同氏)とういのが、この端末最大の特徴で、「世界初のTangoとDaydreamに両対応したデバイス」(同氏)となる。

「ZenFone AR」の外観

 どちらもグーグルが開発した技術、プラットフォームで、前者がAR(拡張現実)、後者がVR(仮想現実)を実現するためのもの。Tangoについてはレノボが「Phab 2 Pro」に搭載し、日本でもすでに発売されている。

 一方のDaydreamはグーグルのモバイルVRのプラットフォームで、要件をクリアした端末が対応できる。対象となるOSはAndroid 7.0以上。グーグル製スマートフォンのPixelなどで利用でき、日本では、ZTEがSIMフリースマートフォンとして発売した「AXON 7」もDaydreamに対応する予定だ。

グーグルのVRプラットフォーム「Daydream」に対応

チップセットには、「Tangoに最適化したSnapdragon 821を搭載しており、蒸気冷却システムで発熱を防ぐ」(同氏)仕組みも採用されているという。高いパフォーマンスを要求されるモバイルVRは、利用時の発熱がボトルネックになりがちだが、その対策も施されているというわけだ。メモリ(RAM)は最大8GBと、6GBのメモリを搭載した「ZenFone 3 Deluxe」を上回る性能を誇る。

Snapdragon 821や8GBのメモリを搭載するなど、まさに性能怪獣と呼ぶにふさわしい1台
第2四半期の発売を予定
グーグルのTango担当、ジョニー・リー氏

 シー会長によると、ZenFone ARは2017年第2四半期の発売を予定しているという。記者会見にはグーグルのTango担当ジョニー・リー氏が駆けつけ、Tangoのデモを行った。リー氏が紹介したのは、アパレル会社GAPのアプリ。画面に映し出した人型のボディにGAPの服を着せることができ、「服がどうフィットするのかを示すことができる」(リー氏)のが特徴。あたかも目の前に服を着た人がいるかのように画面に映像が表示され、サイズ感やディテールを確認できる。リー氏によると、このアプリは1月にGoogle Playでの配信が開始されるという。

服のサイズ感やディテールをARでチェックできるGAPのTango対応アプリ