【CEATEC JAPAN 2011】
KDDI高橋氏、スマホ時代に向けた「3M戦略」を語る


KDDI高橋氏

 幕張メッセで開催されているエレクトロニクス関連の総合イベント「CEATEC JAPAN 2011」の3日目となる10月6日午後、キーノートトラックの中で、KDDIの代表取締役執行役員専務の高橋誠氏は、「オープンインターネット時代に向けたKDDIの3M戦略」と題した講演を行った。

 高橋氏は講演の冒頭で、米Appleのスティーブ・ジョブズ会長が同日朝(日本時間)に亡くなったことに触れ、「私はジョブズが大好きで、いろいろな文献を読んだりした。謹んで哀悼の意を表したい。昨日、発表されたが、KDDIでiPhone 4Sをラインナップとして取り扱うことも決まった。これで、Android、Windows PhoneにiPhoneが加わることになる。このようなきっかけなので、大切に取り組んでいきたい」と述べた。

 

スマートフォン戦略について

 続いて高橋氏は、この日の講演のテーマについて、「大きく時代が変わった。このオープンインターネットの時代に、何が起きていてKDDIがどう取り組んでいくかをお話しする」と説明し、日本の携帯電話出荷台数と契約数のグラフを示し、スマートフォンの出荷台数が急激に増えている現状を示し、「2015年3月末には契約回線の半分がスマートフォンになるという予測が立てられているが、このくらいのペースでは済まない、というのが実感」との考えを語った。

 また、KDDIのスマートフォンの販売台数やラインナップ構成比を示し、「2010年から比べると、スマートフォンの比率が高くなっている。今年度は400万台のスマートフォン出荷を見込んでいたが、iPhone 4Sを含むと、400万台に留まることなく、さらにスマートフォン市場は大きくなると考えている」との予想も語った。

KDDIのスマートフォン販売数とラインナップ構成比オープンインターネット時代について

 続いてオープンインターネット時代のビジネスモデルについて、概念図を示し、従来のフィーチャーフォンでやってきた垂直統合モデルと、Androidで実現しているビジネスモデルの違いを説明。このようなビジネスモデルの変化において、「フィーチャーフォンではコンテンツ以外をキャリアがやっていたが、スマートフォンでは少し狭まる。さらにPパソコンの世界ではネットワークしか担当しない。このように、ネットワークの土管屋だけにならないように、土管にしても他社に比べて圧倒的にすばらしい品質を提供できるように、という思いがあり、3M戦略(マルチユース、マルチネットワーク、マルチデバイス)を推進している」と語った。

 さらに高橋氏は「このデータはあまり世の中に出さないのだけど」と前置きしつつ、スマートフォン時代のコンテンツ販売額のグラフを紹介する。その中で高橋氏は、「スマートフォンはオープンなパソコンと同じインターネットの世界だから、コンテンツは無料だよね、となることを心配していたが、私どもが工夫をしていった結果、1ユーザーあたりのコンテンツ利用額は、フィーチャーフォンよりスマートフォンが上回っている。実際のところ、これはスマートフォンユーザーがアーリーアダプタなので、当然の現象だが、しかしまだビジネスを構築できる可能性があるかな、と考えている」と解説した。

 ユーザーとの接点については、10月13日よりスマートフォン向けに提供が開始される、メニューリストを紹介。これはEZweb向けに提供されているコンテンツからAndroidにも対応したサイトを集めたポータルサイトで、約200社/約500サイトが含まれている。これについて高橋氏は、「モバイルのインターネットは、日本がこれまで10年間、世界に先駆けてやっていたモデル。ガラパゴスなどと卑下する必要はない。これらはみんなWebベースだったので、Androidでも見られる。月額サービスもそのまま提供できる。このようなことを1つの試みとして提供する。オープンな世界で、ユーザーとの接点を一時的に皆さんにお預けしているが、私どもとしても、ここはしっかりと作っていきたい」との考えを述べた。

 

「カタログ値に意味はない、つながることを目指す」

「未来は、選べる」
3M戦略

 続いてauのコンセプトである「未来は、選べる」を引用し、その上で、KDDIの3M戦略について話を進めて、それぞれの取り組みを紹介する。

 マルチネットワークについては、3GやLTE、WiMAX、Wi-FIなどさまざまなアクセス手段があることを紹介しつつ、「これらすべてを1社で持っているのはKDDIだけ。このような中で、いちばん安定した最強のネットワークをお届けしたいな、というのがマルチネットワークというコンセプトにつながっている」と説明する。

 マルチデバイスの一つとして、スマートフォンを紹介。とくにiPhoneについては、「カタログスペックで語っても意味がない。争うつもりもない。スループットのカタログスペックは、品質や使い勝手にはほとんど意味がない数字。実際にいろいろなキャリアからiPhoneが登場し、それで試してもらえれば、と思う。また、速度以前につながらないと意味がない。つながることを、iPhoneでもAndroidでも目指す」との考えを述べた。

 さらに秋冬モデルで6機種の+WiMAX対応がラインナップされていることなども紹介し、「スマートフォンの世界でも、Android、Windows Phone、iPhoneと選べる戦略をとることで、選べる未来にしていきたい、と考えている。当然、Androidも引き続きやっていくが、iPhoneも大事にやっていきたい。もちろんWindows Phoneもやる」と語った。

LISMO unlimitedを紹介

 続いてキーワードとして「クラウド+unlimited」を挙げ、「au one Photo Air」や「au one Friends Note」、「LISMO unlimited」といったサービスを紹介。さらにCEATECの同社展示ブースの概要を説明しつつ、LISMO Playerに触れ、「インターネット上では、LISMO(リスモ)は何かを食べて死んじゃった、なんて言われているけど、おとぎ話では眠りについても誰かのキスで目を覚ます」との冗談で講演を締めくくった。

 

(白根 雅彦)

2011/10/6 22:16