世界のケータイ事情
スマートフォンを活用できなかった日
(2014/3/5 09:00)
東京では何十年ぶりと評された大雪の翌日。米国シリコンバレーへの出張のため、筆者が成田空港へ向かおうとしたところ、朝から電車は全て運休し、道路も通行止めや大渋滞となっていました。スマートフォンから鉄道会社の運行状況を確認しようとしても、サイトはダウンし、たまに繋がっても運休の2文字以上の情報は得られず、いたずらにバッテリーを消耗するばかり。
こんなときにはスマートフォンからもたらされる情報よりも、駅構内のアナウンスや航空会社のコールセンター、そしてそれらを基に自ら予測して行動することが重要です。電車は鉄道会社の懸命な努力によって1駅間ごとに復旧し、都内から成田空港へ辿り着くまでには約8時間を要しましたが、何とか予定していた飛行機に乗ることができました。
シリコンバレーに到着すると、そこに日本のような冬はなく、雨季の曇り空が広がっていました。現地では、急きょ電話会議を行う場面がありました。スマートフォンでレンタル会議室やカフェを探しましたが、近くに適当な場所を見つけることができず、EV(電気自動車)の中で行うことになりました。
シリコンバレーはEVの普及が進んでいる地域の一つです。EV Obsessionのレポートによれば、2013年のハイブリッド車を除くEVの全世界販売台数は約11万台。そのうち約40%はアメリカで販売されています。まだ少ないという印象を受ける数字ですが、シリコンバレーで企業の駐車場を見渡せば、必ずと言ってよいほどEVが駐車されていますし、街中では充電ステーションも容易に見つけることができます。現地の方のお話では、シリコンバレー内の移動に用いるセカンドカーとして需要があるということでした。
停車した車内で、スマートフォンをBluetoothでEVに接続し、ハンズフリー機能と車載スピーカーによって即席会議室のできあがりです。車載モニターには通話時間も表示され、タイムキープをしながら、無事対応することができました。
今回のような場面では、大雪の予報から空港までのルートがなくなることを予測し、前もって空港周辺に宿泊した人もいたでしょう。また、目的地までに少し遠回りする道沿いに打ち合わせに適したカフェがあることを、SNSに投稿していた人がいたかもしれません。
スマートフォンによってどこでも容易に情報を得ることができるようになりましたが、今はまだ、それを上手く活用できるかどうかは利用者の経験や考える力次第です。スマートフォン(またはその上のサービス)自体がより一層賢くなって、使う人を選ばず、状況に応じた提案をしてくれるようになる日が来ることを期待してやみません。