本日の一品

エアギターにもなる「Rock'n Rule」

小学校の頃から慣れ親しんだ30cm定規も時代とともにバリエーションが増えた

 モノの長さを測定するには、いろいろな道具や手段があるが、古くは、身近な人の歩幅や両腕や手の指を広げたサイズなどが基準だった。できる限り個体差を省いて、測定結果に一般的なコンセンサスを得るために登場してきたのが巻き尺や定規だ。

 登場した頃は貴重な道具の1つとしてもてはやされ高価だったという定規も、大量生産により普及は加速し、“一家に1つ”などという時代はアッという間に過ぎ去った。適度な長さで収納も簡単、使いやすさもベストの30cm定規が1本100円で買える時代、文房具の中でも定規は利益率の悪い商材となり、人件費の安い海外での生産がメインとなった。

 シンプルで使用目的の明確なモノほど、その価格下落が繰り返されると、供給企業は撤退か付加価値化による差別化の択一を迫られるのは世の常だ。定規も例外ではなく、古くからペンケースと一体化したハイブリッドモノや、孫の手とくっついたおちゃらけモノ等が登場した歴史を持っている。

 定規の付加価値戦略も、もはやこれまでと思われた昨今、今度は一時ブームだったエアギターの真似ごともできるという「Rock'n Rule」などというダジャレ型の定規が遂に登場した。エレキギターのネックに刻まれた目盛で実際に測定できる長さは20cmまで。フレットの代わりにインチとセンチの目盛が並行して記されたなんちゃって高付加価値商品だ。

 実際にエアギターの小道具として使った効果は読者諸兄のセンスにお任せするとして、このRock'n Rule、高級木材なのか、安物の合板なのか定かではないが、きわめて軽く、取り扱いは楽だ。“エレキギター型20cm定規”と言えども、実際に測定される対象のそばに接して寸法を測ることができるのは、ネック部分の18フレットくらい(15cm)まで。測りにくいハイポジションは勘に頼るのみだ。

市場の原理で、単機能から多機能に変化した定規
かなり安易な発想から生まれたRock'n Ruleは英国のステーショナリーだ
小振りなサイズはブリーフケースにも楽に収まってどこにでも持って行ける

 Rock'n Ruleは面白いチャレンジ商品だが、1つ残念なのは、ギターの裏側が何にも活用されていないことだ。マイルやヤード、ポンドやオンスなどの換算テーブルなどが記されていたらもう少し便利でセンス良くなったと思われるのに残念だ。

 Rock'n Ruleは、全体的にゆる~い感じの作りなので、目盛の正確性が少し心配になり、筆者の自宅に持っている一番正確な金属定規とミリ単位の寸法比較を行ってみたが、外観や雰囲気のラフさとは異なり、センチもインチも極めて正確な目盛が刻まれていた。

 しかし、机の上に置いたRock'n Ruleは、なぜかボディとネックのジョイント部分が机上から3mmほど浮いてしまう。残念ながらこれは某社が開発したフラットで正確な定規を、指先で摘んで持ち上げやすくするために敢えて無理矢理湾曲させた構造とはちょっと違うようだ。クオリティのいい加減さと、卓越した便利なアイデア機能は、時としてユーザーに同じように写ってしまうことがあるので注意が必要だ。(^_^;)V

Rock'n Ruleの裏側の活用が商品をより便利な方向や楽しい方向に向けるだろう
一見した印象とは違って、計測のための目盛は完璧に正確だった
フラットな机の上に置いても中間部分が浮いてしまう……(T_T)
製品名販売場所価格
Rock'n Ruleヴィレッジヴァンガード御茶ノ水1575円

ゼロ・ハリ