本日の一品

登場時からいろいろ使っていたスマートタグ。最後に選んだのは「Tile」

数年前から数種類のスマートトラッカーを使ってきたが、最近は普段持ち歩く全てのアイテムに、一番先進的だと思えるTileを取り付けて使うことにした

 スマートタグ(スマートトラッカー)の登場当初から、様々なメーカーの新製品を数多く使ってきた。今まではテクノロジーやガジェットに関して極めて浮気性の筆者だったが、最近になって、数多くのスマートトラッカーの中から使用機種をほぼ「Tile」一本に統一した。

 理由はいくつかあるが、内蔵ボタン電池の交換をユーザーが出来るようになったモデルが発売されたこと。バッテリーの交換時期が近いことをスマホアプリ上で知らせてくれること。トラッカーのバリエーションが豊富なこと、そのサービスモデルの他商品へのインテグレーションを積極的にやっていること。スマートスピーカーに対応していること。そして最近新たに始まった有料サービスの「Tile Premium」などがその理由だ。

スマートトラッカーはメーカーは違っても概ね似た雰囲気のスマホアプリを使う。トラッカーを取り付けた所有物の現在ステータスやバッテリー交換のアラートなどを教えてくれる
1年ほど筆者がブリーフケースに取り付けていたTileトラッカーはバッテリー交換タイプでは無かったので……アプリがバッテリーLOWをチェックして、新しいTileの購入を促された。しかし次は既に購入済みのバッテリー交換タイプだ

 スマートトラッカーは、Tileに限らず、まずはユーザーの所有物にコンパクトかつ様々な形状をしたスマートトラッカーを張り付けたりぶら下げたりするものだ。そしてBluetooth無線でユーザー所有のスマホとペアリング(紐付け)し、置き忘れアラートや置き忘れの事後トラッキングをサポートし、ユーザの不便や損失をミニマイズするツールだ。

今回、筆者が追加購入したのはTile Mate(バッテリー交換対応)と薄いTile Slim(バッテリー交換不可)の2種類。

 筆者は現在、ブリーフケースとカギ(キーホルダー)財布の3つに2種類のTileスマートトラッカーを取り付けている。全てのTileスマートトラッカーを管理しているスマホ上のTileアプリを起動すると、スマホは設定済みの全てのTileスマートトラッカーと通信して、存在を確認して現在のステータスを画面表示する。

 関係性からはスマホがセンターポジションだと思えるが、実はスマホが見当たらなくなった時には、Tileスマートトラッカー側からボタンをダブルクリックして逆検索することもできる。なので、スマホも同じネットワーク内に存在する複数のTileスマートトラッカーと同格のクライアントだという見方が正しいだろう。

外観は以前使っていたTyle Pro Style(左)を気に入っていたが、今回はバッテリー(ボタン電池)のユーザー交換のできるTile Mate(右)にした
Tile Mate(右)の交換バッテリーはCR1632
さすがによく売れているTileだけあって周辺アクセサリーもいろいろあって楽しい。今回買ったTile Mateにもピッタリのイラスト入り革製のカバー
ブリーフケースにぶら下げる程度なら問題ないが、キーホルダーに取り付けたりするとけっこう傷だらけになるのでそのプロテクションだ
もう一つのTile Slimはクレジットカードサイズで薄さ2.7㎜
当初はThinkPad X390の裏面に両面テープで貼り付ける予定だった……
最終的にはクレジットカードや各種メンバーカードと一緒に財布に収納することにした

 多少のコンセプトの差はあっても、この手のスマートトラッカーのウリは、クラウドサーチとかコミュニティサーチと呼ばれる“遺失物のお仲間他力本願サーチ”だ。具体的には紐(Bluetoothの接続範囲)が切れて遠くに置き忘れてしまった財布が、すぐそばを通りかかった別のTileスマートトラッカーユーザである人のスマホアプリを踏み台(Tileアクセスポイント)にして、在処をTileサーバー経由で紛失者に知らせる仕組みだ。もちろん踏み台にされる善意の他人のスマホのセキュリティは担保されている。

 残念ながら筆者は数学者や統計学、確率計算のプロでもないので、東京の山手線の内側くらいの広大な面積に約1万人のTileスマートトラッカーユーザーが居たとして、Bluetooth無線の到達距離が45m~60mくらいだとしても、運よく、通りかかった他人のスマホ内のTileアプリを踏み台にしてサーバーに「俺はここに居るぞ!」と言って悲鳴をあげられるのかそれほど期待はしていない。

Tileは自社製品だけではなく、自社テクノロジーの他社製品へのエンベッド&インテグレートビジネスにも熱心で実績も多い。HPのパソコンやゼンハイザー、Boseなどのヘッドフォンの遺失トラッキングが目的だ
筆者はAmazon EchoでTileスキルを選択して音声でキーホルダーを探せるようにもしている。実用度はTileアプリのトップページで“カギ”アイコンをタップする方がスムースかもしれない
自宅内で何処に置いたか分からないキーホルダー(カギ)を見つけるには“カギ”アイコンをタップする
続いて“探す”をタップすれば、引き出しに入っていても、何か別の物に下敷きになっていても音を発して在処が特定できる

 しかし、Tileスマートトラッカーは理論から導き出されたコミュニティサーチの手法を補強する目的で、タクシーアプリでは先行する最大手であるJapan Taxi社の約2万台のタクシー後部座席に搭載したタブレットをTileアクセスポイントとして活用し始めた。

 タクシー内のTileアクセスポイントとTileスマートトラッカーとの自動接続と、持ち主への位置情報の送信を行う仕組みを実現したことは、現状のコミュニティサーチの枠をさらに超えた可能性の拡大だと考えている。

 もちろん、置き忘れて何処かにある遺失物と、そのそばをTileアクセスポイントを搭載してそこそこのスピードで通り過ぎるタクシーのBluetooth無線による接触可能性の評価にもよる。今後は、既に他のスマートトラッカーが実施しているような鉄道駅のお忘れ物承り所への設置やカフェへの設置などもメッシュを強化する有効な手段となるだろう。

コミュニティサーチと呼ばれる遺失物の検索では、同じアプリを入れてるTileユーザーを活用して探す仕組みが採用されている。ただ山手線の内側サイズの広大なエリアに1万人程度のユーザが居てもそれほどの期待は持てないのが普通だ
コミュニティサーチを補完する意味で開始したジャパンタクシー2万台のアクセスポイントも動きまくるタクシーという乗り物を利用した検索メッシュのカバー率向上を狙ったものだ。こういう検索手法が増えることで、最終的な遺失物発見率の向上は徐々に期待できるだろう
Tileの無料サービスでは、遺失物が最後にスマホ上のTileアプリと交信した場所の最新の場所一箇所だけが表示される。移動スピードの速い鉄道等の場合、この次の交信場所が自宅などになってしまうので遺失物の発見はけっこうタフだ

 名前の通り、Tileスマートトラッカーは遺失物をトラッキングすることは得意でも、単にTileスマートトラッカーを買って取り付けただけの無料サービスだけだと、自宅に帰って財布が無いことに気づいても、過去のロケーションは自宅に辿り着く前のたったの一つしか見られない。それもスマホとTileスマートトラッカーのBluetooth連携が常時確実に動作していたことが条件となる。

 そんなTileスマートトラッカーだが、今回始まったサブスクリプション有料サービスである「Tile Premium」に加入すると、タイムライン上も地図上も30日間のロケーション履歴を見ることが出来るので、無くしたモノの場所の特定には従来の無料サービスよりはるかに有利になるだろう。

現在トライアル期間中である「Tile Premium」を契約することで、ロケーション履歴は30日間とログ取りの期間は長くなり、従来サポートされていなかった置き忘れ防止事前チェック機能である「スマートアラート」もサポートされる

 また、Tile Premiumサービスに加入すれば、従来はサポートされていなかった新しいスマートアラートサービスが可能となる。このサービスは従来の「無くしてからトラッキング支援をする事後サービス」では無く、簡単に言うなら「事前策の置き忘れ防止サービス」だ。

 ユーザーが5分~10分くらい一箇所に留まった後、その場所にTileスマートトラッカーを取り付けた所持品を置き忘れた場合、スマホにアラート通知される。例えば、ユーザーがTileスマートトラッカーを付けた鍵と財布、ノートパソコンを携帯してカフェに入り、10分後以降に鍵と財布のみを携帯してうっかりコーヒーショップを出てしまうと、ノートパソコンを置き忘れていることを知らせる通知がスマホに飛んでくる。

ロケーション履歴はより細かくロギングされる。所有物が見つからなくなった場合、このロケーションログを分析して、どこで失くしたかをチェックすることが出来る
任意のログをタップすることで、場所の特定を地図上に展開することも出来る
Tile Premiumの会員になると、「スマートアラート」機能に対応したことが明示的に表示される
現在、Tile PremiumはTileユーザならだれでも1ヶ月のトライアル参加が出来る。意義を感じたら継続し、不要だと思えば30日以内ならいつでもGoogle Playの定期購読のページからキャンセル可能だ。この機会に最新のスマートトラッカーのフル機能を体感するグッドチャンスだ

 スマートアラートは、レストランの前をスマホを持って通過するとクーポンが送られてきたり、自宅付近まで帰ってくると、自動的に玄関先の電気が点いたり、スマートロックが開いたりするのと同じジオフェンス(仮想地理的領域)を応用した仕組みだ。そのため、移動先では最低でも5分間くらいは滞在していないと有効に使えない。

 実際に、筆者がワンコの散歩に鍵と財布の2つだけを持って自宅を出てしばらくすると、「ブリーフケースを忘れていませんか?」というアラートがスマホに飛んできた。

 Tile Premiumは、家族や友人でTileスマートトラッカーの共有を行う人数制限を無くしたり、スマートアラートの追加、30日間のロケーション履歴、Tileスマートアラート本体の延長保証など、数多くのメリットがある。同じTileを使うなら見るより試すが得策だ。

筆者も、ブリーフケースに約1年取り付けていたTile Pro Styleから新しいバッテリー交換可能なTile Mateに交換引継ぎを行ったついでにTile Premiumのトライアルを始めたばかりだ
商品名価格
Tile Mate(電池交換版)2015円(税込)
Tile Slim3731円(税込)