本日の一品
登場時からいろいろ使っていたスマートタグ。最後に選んだのは「Tile」
2020年3月23日 06:00
スマートタグ(スマートトラッカー)の登場当初から、様々なメーカーの新製品を数多く使ってきた。今まではテクノロジーやガジェットに関して極めて浮気性の筆者だったが、最近になって、数多くのスマートトラッカーの中から使用機種をほぼ「Tile」一本に統一した。
理由はいくつかあるが、内蔵ボタン電池の交換をユーザーが出来るようになったモデルが発売されたこと。バッテリーの交換時期が近いことをスマホアプリ上で知らせてくれること。トラッカーのバリエーションが豊富なこと、そのサービスモデルの他商品へのインテグレーションを積極的にやっていること。スマートスピーカーに対応していること。そして最近新たに始まった有料サービスの「Tile Premium」などがその理由だ。
スマートトラッカーは、Tileに限らず、まずはユーザーの所有物にコンパクトかつ様々な形状をしたスマートトラッカーを張り付けたりぶら下げたりするものだ。そしてBluetooth無線でユーザー所有のスマホとペアリング(紐付け)し、置き忘れアラートや置き忘れの事後トラッキングをサポートし、ユーザの不便や損失をミニマイズするツールだ。
筆者は現在、ブリーフケースとカギ(キーホルダー)財布の3つに2種類のTileスマートトラッカーを取り付けている。全てのTileスマートトラッカーを管理しているスマホ上のTileアプリを起動すると、スマホは設定済みの全てのTileスマートトラッカーと通信して、存在を確認して現在のステータスを画面表示する。
関係性からはスマホがセンターポジションだと思えるが、実はスマホが見当たらなくなった時には、Tileスマートトラッカー側からボタンをダブルクリックして逆検索することもできる。なので、スマホも同じネットワーク内に存在する複数のTileスマートトラッカーと同格のクライアントだという見方が正しいだろう。
多少のコンセプトの差はあっても、この手のスマートトラッカーのウリは、クラウドサーチとかコミュニティサーチと呼ばれる“遺失物のお仲間他力本願サーチ”だ。具体的には紐(Bluetoothの接続範囲)が切れて遠くに置き忘れてしまった財布が、すぐそばを通りかかった別のTileスマートトラッカーユーザである人のスマホアプリを踏み台(Tileアクセスポイント)にして、在処をTileサーバー経由で紛失者に知らせる仕組みだ。もちろん踏み台にされる善意の他人のスマホのセキュリティは担保されている。
残念ながら筆者は数学者や統計学、確率計算のプロでもないので、東京の山手線の内側くらいの広大な面積に約1万人のTileスマートトラッカーユーザーが居たとして、Bluetooth無線の到達距離が45m~60mくらいだとしても、運よく、通りかかった他人のスマホ内のTileアプリを踏み台にしてサーバーに「俺はここに居るぞ!」と言って悲鳴をあげられるのかそれほど期待はしていない。
しかし、Tileスマートトラッカーは理論から導き出されたコミュニティサーチの手法を補強する目的で、タクシーアプリでは先行する最大手であるJapan Taxi社の約2万台のタクシー後部座席に搭載したタブレットをTileアクセスポイントとして活用し始めた。
タクシー内のTileアクセスポイントとTileスマートトラッカーとの自動接続と、持ち主への位置情報の送信を行う仕組みを実現したことは、現状のコミュニティサーチの枠をさらに超えた可能性の拡大だと考えている。
もちろん、置き忘れて何処かにある遺失物と、そのそばをTileアクセスポイントを搭載してそこそこのスピードで通り過ぎるタクシーのBluetooth無線による接触可能性の評価にもよる。今後は、既に他のスマートトラッカーが実施しているような鉄道駅のお忘れ物承り所への設置やカフェへの設置などもメッシュを強化する有効な手段となるだろう。
名前の通り、Tileスマートトラッカーは遺失物をトラッキングすることは得意でも、単にTileスマートトラッカーを買って取り付けただけの無料サービスだけだと、自宅に帰って財布が無いことに気づいても、過去のロケーションは自宅に辿り着く前のたったの一つしか見られない。それもスマホとTileスマートトラッカーのBluetooth連携が常時確実に動作していたことが条件となる。
そんなTileスマートトラッカーだが、今回始まったサブスクリプション有料サービスである「Tile Premium」に加入すると、タイムライン上も地図上も30日間のロケーション履歴を見ることが出来るので、無くしたモノの場所の特定には従来の無料サービスよりはるかに有利になるだろう。
また、Tile Premiumサービスに加入すれば、従来はサポートされていなかった新しいスマートアラートサービスが可能となる。このサービスは従来の「無くしてからトラッキング支援をする事後サービス」では無く、簡単に言うなら「事前策の置き忘れ防止サービス」だ。
ユーザーが5分~10分くらい一箇所に留まった後、その場所にTileスマートトラッカーを取り付けた所持品を置き忘れた場合、スマホにアラート通知される。例えば、ユーザーがTileスマートトラッカーを付けた鍵と財布、ノートパソコンを携帯してカフェに入り、10分後以降に鍵と財布のみを携帯してうっかりコーヒーショップを出てしまうと、ノートパソコンを置き忘れていることを知らせる通知がスマホに飛んでくる。
スマートアラートは、レストランの前をスマホを持って通過するとクーポンが送られてきたり、自宅付近まで帰ってくると、自動的に玄関先の電気が点いたり、スマートロックが開いたりするのと同じジオフェンス(仮想地理的領域)を応用した仕組みだ。そのため、移動先では最低でも5分間くらいは滞在していないと有効に使えない。
実際に、筆者がワンコの散歩に鍵と財布の2つだけを持って自宅を出てしばらくすると、「ブリーフケースを忘れていませんか?」というアラートがスマホに飛んできた。
Tile Premiumは、家族や友人でTileスマートトラッカーの共有を行う人数制限を無くしたり、スマートアラートの追加、30日間のロケーション履歴、Tileスマートアラート本体の延長保証など、数多くのメリットがある。同じTileを使うなら見るより試すが得策だ。
商品名 | 価格 |
---|---|
Tile Mate(電池交換版) | 2015円(税込) |
Tile Slim | 3731円(税込) |