本日の一品

手書きに特化した電子ペーパー「QUADERNO」

 仕事でもプライベートでも、書くという行為をキーボードの上で済ませるようになって久しいです。一方、考えを整理したり、人に物事を説明するときには、紙の上にサインペンを走らせることがまだまだ多いように思います。

 「紙に手書き」には表示が早い・閲覧性が高い・書式の自由が高いなど、デジタル機器にはないメリットがあると思っています。反面、保存性や検索性が低いというデメリットもあります。

 筆者は何とかして「紙に手書き」をデジタル化できないかと、ペン付きデバイスを試しては捨ての試行錯誤を長年、繰り返してきました。

 そんな中で、これはかなり「紙に手書き」に近い! と思えるデバイスを編集部からお借りする機会に恵まれたので、是非ご紹介させていただきたいと思います。富士通の「電子ペーパー QUADERNO(クアデルノ)」です。

富士通の「電子ペーパー」。A4サイズ・A5サイズの2機種があり、こちらはA5サイズの「P02」

 「QUADERNO」は、KindleなどでおなじみのE Inkを用いた電子ペーパー上に、専用のスタイラスペンを走らせ手書きできるというデバイスです。

 ペンを走らせたときの感触は紙にボールペンを走らせたときのカリカリ感に近く、またペン先から描いた線の追従性が高いため、かなり「紙に書いている」と似た感覚を得られます。

 そして驚きの本体の軽さ! 大学ノート1冊と同程度の重さしかないため、ふだんiPad Pro 12.9インチをカバンに入れて持ち歩いている筆者にとっては、感覚的にはゼロと言っても過言ではありません。

iPad Pro 12.9インチと比較するとこのサイズ
薄さも重さもノート1冊分程度。充電はmicroUSBで行います

 ただメモを取るだけのデバイスなら他にもありますが、本製品は通信・同期用にWi-FiとBluetoothに対応しており、ペアリングしたPCにいつでもメモの内容を転送できます。ストレージの容量や応答速度の点で電子ブックリーダーに一歩譲るものの、表示しているPDFファイルに直接メモを書き込めます。また、パソコンの印刷メニューから出力先として本製品を指定できるので、わざわざPDFに変換してから転送しなくても良い点は便利に感じました。

PDFの書類上に、直接メモを書き込んでいくことができます
ペンのハイライトモードを使えば、文章にマーキングすることもします

 また、E Inkは表示を書き換えるときにしか電力を消費しないという特性があるため、タブレットなどと比べて段違いに電池が持ちます。このデバイスの場合は通信機能を使ったり、書き込みを頻繁に行ったりするため、リーダー専用機ほどには持たないようですが、それでも満充電から1週間程度なら問題なく利用できました。

ペンを装着するくぼみが左右にあります。磁石でカッチリくっつくので、ペンを無くしたり忘れたりの心配がありません
ペンもmicroUSBで充電する必要があります

 あえて難点を挙げるなら、本体がきわめて薄く軽いため、ちょっとしたことで押し曲げたり壊したりしてしまうのではないかと不安になりました。筆者はクリアファイルに入れて持ち歩いていましたが、それこそ市販のノートカバーなどがフィットするのではないかと思います。

筆者は本を読みながらメモを取る癖があるのですが、メモ帳を持ち歩いたり、ページ数を気にする必要がないのは便利です

 本製品は本来、業務用なのだと思います。例えばチェックシートなどをPDFで保持しておき、点検や検品などを行い、別名で保存してPCに転送するなどといった使い方をするものなのでしょう。

 大きさも軽さも手持ちにちょうど良いですし、筆者のように手書きのデジタル化を推し進めたい個人用としても、十分有能だと思います。タブレットとも紙とも異なる第三の選択肢としてオススメの一品です。

製品名販売元価格
電子ペーパー「QUADERNO」 P02富士通4万9800円(税込)