ううう薄いっ!! そして軽いッ!! 「ソニー VAIO X」

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


VAIO X……ううう薄いっ!! そして軽いッ!!

 VAIO Xの正式発表と同時に気絶した数分後。俺の机上には超カッコ良い角度でその薄さを強調しつつVAIO Xが置かれていたので即座に手に持ってみたら軽っ!! あー発表直後のサンプル品だからモックアップかニャ? と思ったら実動のサンプル機であり、その上でWindows 7が動作する様子を見た途端また気絶した拙者なり。

ソニーの超薄/超軽量VAIOことVAIO X。2009年10月22日発売予定で、標準仕様(店頭販売)モデルが約11万円から、CTO対応のVAIO OWNER MADEモデルが8万9800円からとなっている。サイズは、幅278×高さ13.9×奥行185mmで、Sバッテリー装着時の質量は約655g

 気絶しているウチに第二の俺が勝手にVAIO XのOWNER MADEモデルを注文してくれニャいかニャ~とか思ったわけだが、そんなことよりも皆さん、VAIO X、スゴ過ぎですよスゴ過ぎッ!! そして欲し過ぎ!! 拙者愛用のVAIO typeT(VGN-TZ90NS)より遙かに薄く軽く携帯性が高いのであり、コレ触ったら一連のノートPCやネットブックのサイズ&質量に脱力かも!!

 てなわけで今回は発売前の試作機的VAIO Xをイジっての印象を書いてみたい。ただ、まだサンプル機段階であり、各種アプリをインストールして長時間使ったわけでもないので、パフォーマンスのインプレッションはそこそこに。主に“携帯するコンピュータとしてのVAIO X”についてアレコレ書いていきたい。

ウソみたいに薄いが、剛性面の不安は少ない

 前述のように、VAIO Xの厚みは約13.9mm。約1.4cmってわけですな。厚みだけ考えればPDAやスマートフォンのソレですよええ。

 VAIO Xを持ってみると「あれ? この携帯感って!?」と心当たりがある気がしたんだが、敢えて言えば、コレ、回覧板みたいな携帯感。小型回覧板って感じか。あるいはリーガルパッドが入った革製のカバー、みたいな。この薄さなら戸惑うことなくバッグに入れられる。むしろ、カバンから雑誌1冊出して、その代わりにVAIO X入れれば、携行感的にはトレードオフでいつもと変わらず、的な。

これまでのノートPCの常識をさらに覆す薄さ。サイズ的には雑誌一冊分って感じの携行感である13.9mmって拙者の指より薄いんですな。この薄さのなかにディスプレイとキーボードとマザーボードとバッテリーと……が入ってるって、若干信じがたいドコモのBlackBerry Boldと比べても同じよーな厚み。さすがにiPhone 3Gよりは厚いが、ノートPCらしからぬ薄さである
俺の最強に薄くて携帯感も抜群だと思っていたVAIO typeT VGN-TZ90NS(写真左)と比べると……typeTってこんなに厚ぼったかったの!? みたいなDELLのネットブック、Inspiron mini 9と比べるとこんな感じ富士通の超小型マシンFMV-BIBLO LOOX U/B50Nと比べたところ
Call of Dutyのパッケージっていうか一般的なDVDのパッケージと比べたところフットプリントはDVDパッケージほぼ2枚分って感じロディアのNo.16(メモ帳)が入った革製カバーと比べたところ

 何と比べてもその薄さがわかるんだが、一見、その薄さ=華奢さに見えたりする。壊れちゃわない? ミシッていいそう。だが、見かけによらず、案外と堅牢性があるのだ。

 例えばキーボード付近のパームレスト部あたりを持って、そのまま持ち上げても不安感はない。さすがに液晶パネル部を持って持ち上げるのはヤバそうだが、液晶パネル自体は指先でクイッと開閉しても問題ナイという印象だ。

こんなふうに持ち上げても壊れるとか撓むといった不安は少ない超薄の液晶パネルのエッジは凹んでいるパームレスト部のエッジも同様に凹んでいる。これにより、超薄ボディの剛性を高めているそうだ

 VAIO Xのボディは、LCDハウジング側がカーボンとカーボンの間に特殊フィルムを挟んだハイブリッドカーボンを採用している。これにより軽くても強度を確保できるLCDハウジングとなったそうだ。また、キーボード面のパームレストにはアルミを採用し、ここでも強度を確保しているとのこと。

 加えて、LCDハウジングとパームレストのエッジに窪みを持たせている。この小さな工夫は、デザイン的にもイイ感じで、液晶パネルを開きやすかったりするが、実は液晶面とキーボード面の強度をさらにUPさせる技術的な要素が大きいそうだ。

 あと、重さなんですけど、貸出サンプル機にはLタイプと思われるバッテリーが付属していた。Lバッテリーを使うと10時間程度稼働するらしいが、この状態で約765g。十分軽いっス。

VAIO Xの底面バッテリーを外したところパームレスト部裏面は超激薄。どこまでも薄いマシンですな

 ちなみに、VAIO X用バッテリーには、S、L、Xの3種類がある。各バッテリー使用時の駆動時間は、Sバッテリーで約5時間、Lバッテリーで約10時間、Xバッテリーで約20.5時間となっている。また、Xバッテリー以外を装着した場合、VAIO Xの厚みはフルフラットのままの13.9mmとなる。

快適に見られるし、スムーズに書ける

 試用したVAIO Xのスペックは、プロセッサーがAtomのZ540(1.86GHz)、メモリ2GB、64GB SSDにWindows 7 Home Premium入り、という構成だ。標準仕様(店頭販売)モデルのサンプル品のようですな。

 で、これを少々使ってみて感じたパフォーマンスだが、ぶっちゃけ、速いって感じではない。遅くもナイんだが、今時的Core2DuoとかのノートPCと比べちゃうと、アタリマエだがマッタリした動作って感じ。特にグラフィックがマッタリしちゃってるようで、一応Aeroでも使えるものの、表示設定をアレコレとイジってみても、ウィンドウのビルドに時間がプチかかるという印象がある。

 が、実質、こういったモバイルマシンに描画速度を求めたり、サクサクサクッてな快適な動作を求めても、そーんなに大きな意味があるとも思えない。拙者はむしろ、VAIO Xの表示クオリティとキーボード使用感に目を見張った。

 まずディスプレイ。サイズは11.1型ワイド(16:9)で、解像度はWXGA(1366×768ドット)。パネルはTFTカラー液晶で、そのバックライトはLED。パネル表面にはアンチグレア処理が施されている。

 VAIOの名を冠するだけあって非常に美しい表示がなされるディスプレイで、しかもWeb見たりテキスト書いたり表を閲覧したりするのに十分な解像度があるってのがイケてる。プロセッサー的にはネットブック+αな感じだが、表示品位はネットブックのそれと比べられない実力を持っていると言えそうだ。

11.1型ワイドでWXGA(1366×768ドット)のディスプレイ。小型/超薄/超軽量マシンなのに表示はゴージャスだ一般的なWebサイトも余裕で閲覧できる表示自体もクリアで色鮮やか

 キーボードの使用感も上々。VAIOではおなじみのアイソレーションキーボード(各キーが隣接せずやや離れて独立したもの)を採用し、キーピッチは17mmで、キーストロークは1.2mm。

 フルキーボードから移行しても間もなくタッチタイピングできる感じ。拙者的には「も~少しキーストロークが深いと快適だニャ」と思うが、そのあたりは超薄ボディとのトレードオフでしょうな。

素直な配列の日本語キーボード。端のキーがやや狭いが、使用上、そーんなに気にならない感じ。押下感もまずまず良好。電源ボタンはキーボード右上に。キーボード上部にはワイヤレス機能をオンオフするスライドスイッチもあるアイソレーションキーボードを採用。フルキーボードと比べると2キー分ほど狭いキーボードだが、ミスタイプしにくい少し慣れればこのキーボードで長い原稿でも書けちゃうと思う。VAIO OWNER MADEモデルでは英語キーボードも選べるようだ

 てか、Lバッテリーで10時間使える(そのときの質量は約765g)でしょ、超薄で携行感抜群でしょ、でも表示は広くてキレイだし、キーボードも実用的。常に持ち歩けますな。そして思ったときに即、快適に使える。思ったときに即使うために、嵩張りや重み、あるいは貧相な表示やキーボードを我慢する必要がナイってのは非常に大きな魅力だ。

インターフェース類は必要最小限系

 キーボードやディスプレイ以外のインターフェイスも見てみよう。表面に出ているのは、Webカメラ(MOTION EYE)×1、USB×2、VGA×1、1000/100/10BASE-T×1、ヘッドホンジャック(ステレオ/ミニ)×1、メモリースティックデュオ(メモリースティックPRO-HG対応/マジックゲート対応)スロット×1、SDメモリーカード(SDHC対応/CPRM対応)スロット×1。

 また、無線LANアダプタ(IEEE 802.11b/gおよびIEEE 802.11nドラフト準拠)を内蔵し、モデルによってはBluetoothアダプタ(2.1+EDR準拠)やFOMAカードを挿入できるUIMスロットも搭載する。

本体左側にはACアダプタジャックとケンジントンロック穴、USBポート×2、ステレオヘッドホンジャックがある本体前面にはメモリースティックデュオ用とSDカード用のそれぞれのスロットがある本体右側にはVGA端子と有線LAN端子が。有線LAN端子はパカッと開いて使う
液晶面上部にはMOTION EYEが本体裏面には折りたたみ式の脚がある。フルフラットのままでも使えるが、この脚を立てるとキーボード面に角度が付いて打ちやすくなる本体後部の液晶ヒンジ部にも、本体を若干傾けるためと思われる脚(固定)がある。細かいトコロまで凝って作られてますな

 インターフェイス類はさすがに最小限という印象だが、必要なものは一通り揃っている。前述のWXGAという解像度があり、VGA出力端子もあり、携帯性抜群であり、Sバッテリーでも十分長時間駆動と言えるVAIO Xなので、ビジネス用プレゼンマシンとしても魅力があったりする。

 てな感じで駆け足で見てきたVAIO Xだが、俺とかカナ~リ超激コレ欲しい状態。買うならCTOだニャ~と考え中だ。

 ちなみに、CTOすなわちVAIO OWNER MADEモデルの選択肢だが、OS、ボディカラー、CPUなどいろいろ組合せ可能。

 具体的には、OSがWindows 7のProfessional、Home Premiumから。ボディカラーは、プレミアムカーボン、ゴールド、ブラックから。プロセッサはAtomのZ550(2.0GHz)、Z540(1.86GHz)、Z530(1.6GHz)から。ストレージは全てSSDで、256GB、128GB、64GBから。Bluetoothの搭載/非搭載、WWANの搭載/非搭載、WiMAXの搭載/非搭載など通信アダプタも選択できる。また、VAIO OWNER MADEモデルだとキーボードを日本語配列か英字配列かも選べる。

 ん~む。ヤバいですな。VAIO X、最小構成の価格がけっこー安いじゃないスか。メモリは全機種2GBってコトもあり、必要な要素だけ盛り込んだCTOにすれば購入価格を抑えられそう。こういう怒濤的携行性能を持ったマシンじゃなければ「typeTが現役だし、まだいいや」とか考えちゃう俺なんですけど、もはやVAIO Xをビシバシと酷使してモバイルしたくなってきているッ!! きているッ!! いるッ!!

2009/10/8 12:00