スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

防水、左右分離、いいかもこのBluetoothイヤホン!

防水、左右分離、いいかもこのBluetoothイヤホン!

 先日AV Watchで見たこのニュース。生活防水で左右分離型のBluetoothイヤホンが発売されるとのこと。モノは3Eの「CHARIOT (チャリオット/3E-BEA3)」(公式ページ)です。良さそうなので予約購入してみました♪

3Eの「CHARIOT (チャリオット/3E-BEA3)」。Bluetooth(4.2)対応の無線式ステレオイヤホンで、イヤホン左右も無結線(完全分離)です。実勢価格は1万2700円くらい。
専用ケースが付属し、ケースはイヤホンの充電器として機能します。イヤホンのカラーバリエーションはスペースグレーとブルーで、付属ケースも同色です。

 左右が分離できるイヤホン、欲しかったんですよ~♪ アップルの例のアレとか買おうかナ~と思ったんですが、いまだに6週間待ちって感じで品薄のようです。また、使っている人の様子を見ると……白い棒が耳から! 的な印象で、何度見ても違和感が。ほかにも左右分離の製品があるようですが、なんだか知らないブランドだったり、もう一押しの要素がなかったりで、結局買いそびれていました。

 今回レビューする「CHARIOT (チャリオット/3E-BEA3)」は左右分離タイプのBluetoothイヤホンで、音源とは無結線ですし、もちろん左右のイヤホンも無結線。線ナシで使えて便利そう。コーデックにAACが含まれているので、iPhoneでより高音質な楽曲を聴けそうです。それと、防水仕様(IPX4;生活防水)なので、これからの季節にも良さげ。ケース兼充電器も使いやすそう。いろいろと惹かれたので購入してみました。

 てなわけで、以下、レビューを。なお、このイヤホンのスペックや機能の詳細については公式ページをご覧ください。説明書もそこからダウンロード可能です。

あンらまァ~! コレは快適っ♪

 このイヤホンの装着感や機能性などは後回しにして、使ってみてまず驚いたのは、予想を遙かに超える快適さ。ケーブルがナイってコトが、これほど爽快っていうか痛快っていうか開放的であるとは!

 単純な話、密着性の高い耳栓を装着しているのに近い感覚。耳の形状や感じ方などにもよりますが、ワタクシの場合はこのイヤホンのフィット感は良好です。ので、耳に装着して時間が経つにつれて、イヤホンによる耳への違和感がなくなっていきます。

 結果、希薄な装着感のみが残ります。でも音楽などがシッカリ聞こえる感じ。物理的にケーブルの引っ掛かりは皆無ですし、当然ですが首をどう動かしても良いという自由があります。なおワタクシの場合、首を激しく動かしてもイヤホンが外れることはありませんでした。ともかく、線ナシ&線を気にする必要ナシって、予想以上の快適さです♪

 左右のイヤホンが結線されているだけのBluetoothイヤホンは、端末ともケーブル接続する一般的な有線式イヤホンと比べるとヒッジョーに快適です。ただ、そのタイプのBluetoothイヤホンでも、顔の向きを変えればケーブルが体などと擦れるノイズが耳に入ってきます。そういうノイズが非常に少ない、ケーブルを耳の上に通すタイプの(SHURE掛けの)イヤホンでも、ケーブルが首などに触れる違和感は少々残りますし、ケーブルの取り回しが悪いと擦れたときのノイズが聞こえてきます。

 この完全無結線のCHARIOTの場合、そういう違和感とかケーブル摩擦由来のノイズが皆無なんです。まるで無し。完全にナイんです。ってシツコク書いちゃうほど、「ケーブルがナイってホントいいわ~」と喜んでいるワタクシなんでした。

 それと、このイヤホンはカナル型なので、しっかり装着すると耳の穴がほぼ完全に塞がれて、外への音漏れも非常に少ないように感じられました。同時に外からの音も入って来にくい。ので、雑音が多い状況下でも音がよく聞こえますし、ボリュームを過剰に大きくせずに済むため周囲の人の迷惑になりにくく、耳にも負担がかかりにくいと思います。

 ちなみに、このイヤホン、装着にちょっとしたコツが要るようです。メーカーの製品情報ページでも動画にて説明されていますが、「耳に装着した後に少しヒネる」とフィットしやすいようです。

イヤホンには3サイズのイヤーピースが付属しています。イヤホンを装着するとき、イヤホン外側の「3E」マークが下に来るように「イヤホンを立てて」持ちます。このまま耳に装着し、装着後に「イヤホン上部を後方に倒すように少しヒネる」とフィットしやすいと思います。
ワタクシの場合のフィット状態。「3Eマークが下にくるようにイヤホンを立てて耳に入れ、入れたらイヤホン上部を後方に少しヒネって倒す」とこの状態になります。

 少し前述しましたが、上の写真の状態で、敢えてかなり激しく首を振ったり走ってみたりしても、まずイヤホンが抜けるような感じはありませんでした。ただ、耳の外側に出る部分は少しボリュームがあり、も~しかするとサイズ的に耳の小さな人や女性にとってはあまりフィットしない可能性もあります。ので、購入を考えるなら、一度試着するのが無難でしょう。

通話にも対応、ケースの使用感も◎

 このイヤホンはもちろん音楽を聴くためにも使えますが、通話にも対応しています。イヤホンは左側が親機で右側が子機となっていて、着信などは親機(左側)のボタンを押すことで受けられます。通話の終了も親機(左側)のボタンで行います。

 iPhone 7 Plusとペアリングし、何度か通話してみましたが、とくに問題なく通話することができました。こちらの声が伝わりにくいとか、相手の声が聞こえにくいということもありませんでした。

 音楽を聴いている状態で着信があると、音楽がミュートされ、親機(左側)のイヤホンからピーッという音や英語での着信通知が流れ、スマートフォンの着信音が聞こえてきます。そこで親機(左側)のボタンを押せば着信を受けて通話できるようになります。なお、相手の声は親機(左側)からのみ聞こえ、こちらの声は親機(左側)のマイクから相手に伝わるようです。つまり通話は親機(左側)のイヤホンとマイクのみを使うようです。

 それから充電器兼ケース。コレ、とても便利です♪ 専用ケースであり、このイヤホンを充電するための充電器ですが、イヤホンをセットして充電ボタンを約2秒間長押しすれば充電されます。充電時間は最長約2時間。ケース側が満充電の状態なら、イヤホンを約3回充電できます。なお、このケースを使わないとイヤホンを充電することはできません。

付属ケースは充電器としても機能します。所定の箇所にイヤホンを置くとマグネットで吸着されます。その状態でボタンを押せばイヤホンへの充電が始まります。
ケース上部は回転式のフタになっています。イヤホン不使用時、イヤホンをケースにセットして充電ボタンを押してフタを閉めて……という手順を踏んでいれば、いつでもだいたい満充電状態でイヤホンを使えるでしょう。ちなみに、ケースはUSB充電式(microSUB)です。

 完全コードレスで、専用ケースが充電器になっていて、なかなかスムーズに活用できるイヤホンです。少々違和感があるとすれば、電源オンの操作が両側イヤホンのボタンを約2秒長押しなのに、電源オフの操作が左右どちらかのイヤホンのボタンを約5秒長押しで、何と言うか統一感がないところ。それから電源投入後の端末との接続時間が少し長めに(10~15秒くらい)かかるとうあたり。ただ、「このイヤホンはこういうもの」と慣れれば違和感もなくなっていくと思います。

「音楽をじっくり鑑賞」には向かない音質

 最後に、「CHARIOT (チャリオット/3E-BEA3)」の音質について。ワタクシ的な印象を言えば「AAC対応Bluetoothイヤホンにしては音の歪みがミョーに目立つ」という感じです。もっと言えば、手持ちのAACコーデック対応のBluetoothイヤホンのなかでは、いちばん歪みが目立つというか、「コレってホントにAACなの?」というレベルで歪んでいると感じられました。

 どういうふうに歪むのかと言えば、たとえばシンセサイザーの高い音が顕著に歪みます。具体例を挙げますと、クラフトワークのアルバム「The Mix」 に収録されている「Pocket Calculator」という曲がわかりやすいと思います。一般的なAACコーデック対応のBluetoothイヤホンとiPhone 7 Plusを組み合わせて聴くと、曲の最初の高音シンセの音がほぼ歪みませんが、「CHARIOT (チャリオット/3E-BEA3)」だと歪みが目立ちます。余談ですが、SBCコーデックのみ対応のイヤホンだと、やはりこの部分の音が歪みがちです。

 という感じだったので、じつは使用開始直後、この歪みについて「もしかしたら、このイヤホン、故障かも?」と思って発売元に調査を依頼しました。ですが結局「仕様上の正常な品質」という調査結果となりました。本体をコンパクト化しているがゆえ多少高音に歪みが出てしまうことがある、ということでした。

 というわけで、AACコーデック対応イヤホンとしては、けっこー高音が歪みがちなイヤホンで、「音楽をじっくり鑑賞するのには向かない」というのがワタクシの正直な印象です。ただ、中・低音はよく出ていて、豊かな厚みがあって聴きやすい音質です。高い音(とくに電子音)が多々使われているような曲だと歪みが気になるかもしれませんが、「どの曲でも歪んで聴きにくい」というわけではありません。

 あるいは、トークが多いネット配信ラジオ放送を聴くとか、何となくBGM的に音楽を聴くというシチュエーションを想定すると、そこそこイケるイヤホンかもしれません。実際に「Radiko」アプリでトーク番組を聴いたりしていますと、わりと聴きやすい音質だと感じられて快適だったりもします。

 まあアレでしょうか、完全無結線イヤホンとしての快適さとか、ケースの利便とか、生活防水とか、そういった機能性とのトレードオフとして納得できれば……みたいな。でも音質については聴く人の感受性により評価が大きく分かれるところで、同じイヤホンでも「うん、いいよコレで」という人もいれば、「何コレ話にならない」という人もいると思います。なので、購入時には試聴をするのが無難でしょう。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。