法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」

縦長ディスプレイでデザインを一新したXperia XZ2 SO-03K

 2016年からXperia Xシリーズを展開するソニーモバイル。そのXperia Xシリーズの2018年のフラッグシップモデルに位置付けられる「Xperia XZ2」がNTTドコモ、au、ソフトバンクの3社から発売された。今回は「Xperia XZ2 SO-03K」を試用することができたので、そのレポートをお送りしよう。

NTTドコモ/ソニーモバイル「Xperia XZ2 SO-03K」、約153mm(高さ)×72mm(幅)×11.1mm(厚さ)、約198g(重量)、ディープグリーン(写真)、リキッドシルバー、アッシュピンク、リキッドブラックをラインナップ

大きな変化が求められてきたXperia

 優れたデザインや高いカメラ性能、ブランド力などを武器に、国内外の市場で高い人気を獲得し続けてきたソニーモバイルのスマートフォン「Xperia」シリーズ。元々、Android以外のプラットフォームのモデルとして名付けられた「Xperia」のネーミングだが、今やソニーを代表するブランドのひとつとして認識され、市場にもしっかりと定着している。

 そんなXperiaシリーズだが、正直なところ、ここ数年はソニーとしての主力事業に据えられながら、やや苦戦が続いてきた印象は否めない。たとえば、筆者も本連載や発表会の記事などで触れてきたが、Xperia Zシリーズ後期では従来機種との外見上の差異があまり大きくないモデルチェンジが続き、ユーザーの買い換えサイクルを悩ませた。

 Xperia Zシリーズの後継として、2016年にスタートしたXperia Xシリーズも、ラインアップの構成がユーザーに理解されにくく、ユーザーからは不満の声が聞かれた。昨年発売されたXperia XZシリーズはカメラ機能が高評価を得たものの、ライバル製品が一気に縦横比18:9の縦長ディスプレイを採用したり、デュアルカメラを搭載したりするなど、新しい時代へ動き出した製品を展開できたのに対し、Xperiaらしい堅実なデザインのモデルをリリースしたことで、かつてのような斬新さを失ってしまったという指摘が相次いだ。国内向けを重点としつつ、欧米やアジア各国などにもラインアップを展開し、人気を得ているシリーズとしての難しさもあるが、昨年あたりからは既存のXperiaユーザーも含め、「変化」や「新しさ」を求める声を耳にするようになってきた。

 こうした状況に対し、ソニーモバイルは今年2月に開催されたMWC 2018において、新モデル「Xperia XZ2」や「Xperia XZ2 Compact」を発表した。両機種とも従来の「Xperia XZ」や「Xperia XZ1」、「Xperia XZ Compact」、「Xperia XZ1 Compact」からデザインを一新し、縦横比18:9の縦長ディスプレイを立体的なアーチ形状のボディに搭載するなど、まったくの新しいモデルとして開発されている。国内向けには「Xperia XZ2」がNTTドコモ、au、ソフトバンク、「Xperia XZ2 Compact」がNTTドコモからそれぞれ発表され、すでに販売が開始されている。

 ちなみに、MWC 2018の発表では、同時に開発中のデュアルカメラモジュールも発表されたが、こちらはMWCで発表された新機種には搭載されず、その後の今年4月にグローバル市場向けに発表された「Xperia XZ2 Premium」に搭載された。「Xperia XZ2 Premium」については、国内向けモデルは今夏にauとNTTドコモから発売が予定されている。

 今回はNTTドコモ向けのXperia XZ2 SO-03Kを試用したが、前面や背面の携帯電話事業者のロゴ、プリインストールされている各携帯電話事業者のアプリ、対応周波数帯(バンド)及び通信方式などを除けば、au向けもソフトバンク向けも基本的に同じ仕様となっている。価格については各事業者ごとに異なるが、各社のオンラインショップを確認した限り、割引を反映した後の実質負担額を含め、ソフトバンクが8000円ほど、割高となっている。

Xperia XZ2の価格
キャリア本体一括価格
NTTドコモ9万4608円
au9万5040円
ソフトバンク10万2720円

Xperia初の縦横比18:9の縦長ディスプレイを搭載

 まず、外観から確認してみよう。XperiaシリーズはXperia Zシリーズの時代からスクウェアで背面がフラットなスレート状(板状)のボディでデザインされてきた。ボディ周囲の4つの角や背面の仕上げなど、細かい部分での違いはあったが、スレート状のボディという基本的なデザインは一貫してきた印象だった。

 今回のXperia XZ2はこの「Xperiaらしいデザイン」をベースにしながら、背面をラウンドさせた新しいボディ形状でデザインされており、イメージを一新した仕上がりとなっている。手にフィットする形状の背面は、曲面ガラスを採用することで、Xperiaシリーズらしいガラス素材による高級感と透明感のある仕上げとなっている。

 ただし、ボディの質感がなめらかなうえ、ボディ形状もラウンドしているため、非常に滑りやすい印象だ。重量も約198gと、スマートフォンとしてはヘビー級だ。手に持つときは本体が滑りやすいため、落としてしまいそうで、机などに置いたときもちょっとしたタッチで動いてしまったり、置いた場所の傾きなどで、滑り落ちそうになることがある。できれば、アクセサリーで販売されているカバーなどを装着して、滑りやすさを抑えたり、本体を保護した方が安心だろう。

「Xperia XZ SO-01J」(左)と「Xperia XZ2 SO-03K」を並べてみると、ディスプレイは大きくなったが、ボディサイズはあまり変わらないことがわかる
背面を比較すると、「Xperia XZ SO-01J」(左)のスレート状のボディから、「Xperia XZ2 SO-03K」のラウンドした形状に変更されたことがよくわかる

 前面にはXperiaシリーズ初となる縦横比18:9で2160×1080ドット(フルHD+)の表示が可能な5.7インチTFTカラー液晶ディスプレイを搭載する。従来モデルのXperia XZ1の5.2インチからグッと大きくなった印象だが、縦長ディスプレイということもあり、ボディは縦方向に約5mmほど長くなり、ボディの幅は狭額縁設計のおかげで約1mm狭くなっている。実際に手にしたときの印象としては、ボディが縦長になったというより、画面が縦方向に伸び、広くなったという印象の方が強い。

 ボディ右側面には上部側に電源キーと音量キー、下部側にシャッターキーを備える。シャッターキーは長押しすることで、画面オフの状態からカメラを起動することができる。上部にはmicroSDメモリーカードも装着可能なSIMカードトレイ、下部にはUSB Type-C外部接続端子を備える。3.5mmステレオイヤホンマイク端子はないため、一般的な有線のイヤホンやヘッド本を利用するときは、同梱の「3.5mmイヤホン変換・テレビアンテナケーブルSO01」を接続する。ソニーモバイルから販売されている「USB Type-C 2-in-1ケーブル(EC270)」を利用すれば、USBで充電しながら、有線のイヤホンで音楽を聴くことができる。もちろん、Bluetoothヘッドセットを組み合わせても構わない。

右側面に音量キー、電源キー、シャッターの3つが並ぶ。このレイアウトも従来のXperiaシリーズから変更されている
下部にはUSB Type-C外部接続端子を備える。3.5mmイヤホンマイク端子はないため、同梱の変換アダプタで接続する

 従来モデルと比べて、ボディ周りでもうひとつ大きく変更されたのは、指紋センサーの位置だ。従来モデルでは側面の電源キーに指紋センサーが内蔵されていたが、Xperia XZ2では背面中央に移動している。ボディ形状が丸みを帯びた仕上がりに変更されたこととも関係あるのだろうが、従来モデルのユーザーはちょっと操作に戸惑いそうだ。背面の指紋センサーの位置も他機種と比較して、少し中央寄りにレイアウトされていて、はじめて触ったときは指紋センサーもカメラ部も丸い形状となっているため、指紋センサーの上にあるカメラのレンズをタッチして、「なかなか認識しないな」と勘違いしてしまった。覚えてしまえば、不自由はないだろうが、もう少しレイアウトや形状などに配慮が欲しかったところだ。

背面は従来のXperiaシリーズから大きく変わり、丸みを帯びた形状に仕上げられている。本体中央部分の丸い部分は指紋センサー。もう少し上にレイアウトした方がタッチしやすいのではないか
上部にはnanoSIMカードと最大400GBのmicroSDカードが装着可能なSIMカードトレイを備える。取り出しにピンなどは不要で、爪を引っかけて取り出せる。ちなみに、昨年のモデルからドコモnanoUIMカードは水色のタイプに変更されている。従来タイプでも通話や通信ができるが、おサイフケータイの利用などに制限がある
指紋センサーの登録画面。数回、タッチすれば、登録は完了する
ホーム画面はおなじみの「Xperiaホーム」。NTTドコモが販売する「Xperia XZ2 SO-03K」にはNTTドコモの「docomo LIVE UX」がプリインストールされる
ホーム画面を含めた一括設定ができるほか、テーマの変更やグリッドサイズ、画面切替など、自由にカスタマイズができる
アプリ一覧画面は最上段でアプリ名を入力して検索したり、右上のメニューから並べ替えやカスタマイズが可能

 バッテリーは本体に3060mAhの大容量バッテリーを内蔵しており、従来モデルに引き続き、Xperia独自のいたわり充電などにより、2年間使っても劣化しにくい仕様となっている。具体的には満充電になる前に充電を一時ストップして、バッテリーへの負荷を軽減し、ユーザーの利用環境を学習した結果に基づき、満充電になるように作り込まれているという。仕組みとしては理解できる機能だが、筆者のように、仕事柄、生活パターンにあまり規則性がないユーザーにとっては、逆にいつも満充電にならないような印象をもってしまいそうだ。画面内のガイドによれば、習慣を見つけられない場合や習慣から外れた充電のときは、いたわり充電を行なわないとしている。

 バッテリー関連ではこれもXperiaシリーズでおなじみの「STAMINAモード」に対応し、機器の動作と一部の機能を制限することで、長時間の利用を可能にする。STAMINAモードに切り替えない場合でも現在の使い方で、いつ頃、電池残量がなくなるのかを画面内で確認できたるため、安心して使うことができる。次の充電まで、十分な電池残量がないと予想されたときに通知する「スマートSTAMINA通知」も用意されるが、これもいたわり充電同様、生活パターンが一定ではないユーザーには、今ひとつピンと来ないかもしれない。

 ちなみに、ボディ形状にも影響していると推測されるが、Qi準拠のワイヤレス充電に対応する。主要3社からワイヤレス充電器が販売されているが、筆者が持つ市販のワイヤレス充電器でも問題なく充電できている。ただし、前述のように、背面が非常に滑りやすい構造となっているため、カバーなどを装着しない状態でワイヤレス充電器に置くときは、置き場所の材質なども少し気にした方が良さそうだ。置いている間の着信で、バイブレーターが振動し、机から滑り落ちてしまうケースも考えられる。

「いたわり充電」に対応。生活パターンがある程度、決まっているユーザーにとっては便利な機能のひとつ
バッテリー残量から、残りどれくらい利用できるのかを知ることができる。STAMINAモードでは機能を制限することで、さらに稼働時間を延ばせる

 ディスプレイについてはXperiaシリーズでおなじみの「トリルミナスディスプレイ for mobile」により、色鮮やかな再現が可能で、HDRにも対応することで、dTVやYouTubeなどで配信されるHDR対応コンテンツも再生できる。従来のSD画質のコンテンツをHDR相当にアップコンバートする機能も備える。

 ディスプレイサイズが大きくなり、特に縦方向が長くなったことで、片手で持ったとき、通知パネルの表示など、画面上部に指が届きにくくなるが、画面最下部を左右いずれかにスワイプして、画面を縮小表示できる「片手モード」も用意される。実用系機能としては、画面オフの状態から端末を持ち上げたとき、通知を表示する機能をはじめ、自動的にストレージやメモリーを最適化するスマートクリーナーなどが搭載される。

画面最上部から表示した通知パネル。並べ替えなどのカスタマイズも可能
設定画面内から利用できる「Xperiaアクション」はさまざまなシチュエーションに応じた設定ができる
曜日と時間を選び、通知などで起こされないように設定できる
チャット形式でいろいろな機能の説明が受けられる「Xperiaアシスト」。ただし、ユーザー側が自然文を入力するのではなく、入力項目を選択して、それに対する答えを読む形式

 少し変わった機能としては、楽曲やゲーム、映像コンテンツに合わせて、本体を振動させる「ダイナミックバイブレーションシステム」が挙げられる。一般的なスマートフォンに搭載されている振動素子よりも強力なものを搭載し、独自にコンテンツ解析を組み合わせることで、楽曲や映像コンテンツ、ゲームの再生に合わせて、振動するようにしている。たとえば、ロックなどの激しい楽曲、アクション映画などには適していて、今までのスマートフォンとは違ったテイストが楽しめるが、逆に静かな楽曲などにはあまり合っていない印象で、再生するコンテンツ次第という印象だ。

 チップセットはQualcomm製SDM845を採用し、4GBのRAMと64GBのROMを搭載する。各社のハイエンドクラスと同じレベルのスペックであり、今回試用した限り、動作もストレスなく、動画の連続再生でも発熱などの問題はなかった。IPX5/IP8Xの防水・防塵にも対応しており、画面が濡れた状態でのタッチ操作もできるように仕上げられている。

動画コンテンツも縦長ディスプレイによるワイド画面で美しく再生できる
動画コンテンツによっては、視聴時に画質を個別に設定し、視聴する

Motion Eyeカメラ搭載

 Xperiaシリーズで注目される機能と言えば、やはり、カメラが挙げられるだろう。ソニーのデジタルカメラで培われたノウハウに加え、イメージセンサーを自社グループで開発する強みなども活かし、スマートフォンのカメラのトップクラスを目指して開発されてきた。

 ただ、正直なところを書いてしまうと、ここ数年、ライバル各社のカメラ性能もかなり向上し、Xperiaシリーズにかつてのようなアドバンテージはなくなりつつという指摘も多い(筆者自身の指摘も含め)。たとえば、暗いところでの撮影時に人間の見た目以上に明るく撮影できたり、人物を意図的に美しく撮影できるビューティーモードなどが挙げられる。これに加え、昨年あたりからは2つ以上のカメラを搭載するマルチカメラ(デュアルカメラやトリプルレンズカメラ)のモデルが一気に増え、話題性の面でのやや遅れを取っている感は否めない。

 とは言うものの、複数のイメージセンサーで構成するカメラだから必ず高画質というわけでもなく、イメージセンサーやレンズ、画像処理エンジンなども含めた総合的なもので画質は決まるはずだ。ただ、ライバルメーカーのマルチカメラはポートレートモードやビューティーモードなどのように、“スマートフォンとしてのカメラの楽しさ”を重視しているのに対し、XperiaシリーズはソニーのCyber-shotやαシリーズと同じような“デジタルカメラをスマートフォンで追求している”ようで、カメラとしての方向性が違ってきているというのが率直な感想だ。少し話が脱線してしまったが、Xperia XZ2が「デュアルカメラではないから……」という短絡的な判断で、カメラ性能を評価をすべきではないということをご理解いただきたい。

 まず、背面に搭載されたMotion Eyeカメラは、1920万画素の裏面照射積層型CMOSイメージセンサー、Exmor RS for mobileに、F2.0のソニー製Gレンズ、画像処理エンジンのBIONZ for mobile、電子式手ぶれ補正を組み合わせている。基本的な構成は従来のXperia XZ1と変わらないが、画像処理エンジンなども含め、新たに構成されているという。

背面上部に内蔵された「Motion Eyeカメラ」。すぐ上にはフォトライトやセンサー類が内蔵される。手の大きさによっては、指紋センサーと間違えてタッチしてしまう

 撮影機能については被写体の笑顔や動きを検知したときにシャッターを押すと、一時保存した写真を表示し、最大4枚の写真を保存できる「先読み撮影」をはじめ、動きのある被写体を連写するとき、連続的にオートフォーカスを合わせる「オートフォーカス連写」などが搭載される。暗いところでの撮影についても作例を見てもわかるように、明るく撮影できており、建物での撮影でもレンズの大きな歪みなどもない仕上がりとなっている。

カメラの設定画面。静止画で撮影するとき、レンズ補正も設定が可能
マニュアルモードではホワイトバランスやISO感度、SS(シャッター速度)などを細かく設定することもできる
建物を含めた広い風景を撮影。大きな歪みもなく、青空も自然な仕上がり
いつもの薄暗いバーで撮影。人間の眼で見ている状態よりも明るく撮影できている印象。従来のXperiaシリーズに比べると、暗いところにもかなり強くなった

 また、動画撮影については、新たに4K HDRの動画撮影にも対応する。日常生活の撮影にはあまり必要性を感じないかもしれないが、旅先などでの美しい光景を撮影するときには威力を発揮するもので、そういったシチュエーションでの撮影を重視したいユーザーにとってはおすすめだ。ただし、4K HDRで動画を撮影してもXperia XZ2のディスプレイはフルHD+までの対応のため、撮影した本来の動画を視聴するには、別途、4K HDR動画再生に対応した家庭用テレビなどが必要になる。

 従来モデルから搭載されていた960fpsのスーパースローモーションは、スーパースローで撮る部分を短くすることで、フルHDでの撮影にも対応した。ただ、撮影時にはスーパースローにしたい瞬間に画面をタップする必要があり、タイミングを計るのがかなり難しい。たとえば、水面に水滴が落ちる瞬間を撮ろうとしてもタイミングよく画面をタップしなければ、決定的な瞬間を撮ることができない。継続的に動いている被写体なら、いつでもスーパースローに切り替えられるが、ある特定のタイミングの撮影するような被写体には適していない。他機種のように、特定のフレーム内で動きを検知すれば、自動的にスーパースローで撮影できるようなしくみが欲しいところだ。

ビデオ撮影のスローモーションの設定画面。ビデオ解像度はフルHDが選択できる
スーパースローの撮影に対応。チュートリアルで基本的な流れが確認できる
スーパースローモーションの動画を撮影し、端末内で編集したもの。やはり、決定的瞬間を撮影するのは難しい

 また、動画撮影については、いずれの撮影モードでも気になったのだが、画角が非常にタイト(被写体に寄りすぎている)で、近くの被写体を撮るときは少し引いて撮らないと、収まらないケースが多い。特に、スーパースロー撮影ではさらに画角が変わるため、撮影には少し慣れが必要な印象だ。撮る人の好みにもよるのだろうが、個人的にはもう少しワイドに撮れる画角の方がスマートフォンには合っているのではないかと考えている。

 インカメラについては、従来のXperia XZ1が1320万画素だったのに対し、Xperia XZ2では500万画素の裏面照射型CMOSイメージセンサー Exmor R for mobileが採用され、F2.2のレンズと組み合わせられている。仕様上はスペックダウンしたことになるが、従来モデルに搭載されていた3Dクリエイターがインカメラでも撮影できるようにしている。自分のアバターなども作れる3Dクリエイターは非常にユニークな機能であり、技術的にも優れているという印象だが、ユーザーによって、少し好みが分かれるところかもしれない。

新しい世代へ動き出したXperia XZ2

 Xperiaシリーズは国内外の市場において、常にユーザーの高い関心を集めてきた人気シリーズだ。各社の市場調査の結果なども見てもわかるように、ここのところ、ライバルメーカーにやや押され気味だった印象は否めないが、今回のXperia XZ2はその流れを断ち切り、もう一度、新しいXperiaシリーズへと踏み出そうとするモデルと言えそうだ。

 スペック的には従来モデルと変わらない部分もあるが、縦横比18:9の縦長ディスプレイを搭載し、ボディデザインを一新する一方、機能面ではQi対応のワイヤレス充電やダイナミックバイブレーションシステムなどの新機能を搭載し、4K HDR動画撮影という世界初の機能も搭載するなど、意欲的なモデルに仕上げられている。本稿でも指摘したように、ユーザビリティや機能の実用面で、まだまだ改良を期待したい部分はあるが、これまでのXperiaシリーズで培ってきたものを継承しつつ、新しい方向性を見出そうと進化を遂げていることは確かだ。なかでも「映像を撮る」「映像コンテンツを見る」「音楽を楽しむ」「ゲームをプレイする」といったエンターテインメント機能については充実しており、これらを重視するユーザーにはおすすめのモデルと言えそうだ。

法林 岳之

1963年神奈川県出身。携帯電話・スマートフォンをはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。「できるゼロからはじめるiPhone X/8/8 Plus超入門」、「できるゼロからはじめるAndroidタブレット超入門」、「できるゼロからはじめるAndroidスマートフォン超入門 改訂2版」、「できるポケット HUAWEI P10 Plus/P10/P10 lite 基本&活用ワザ完全ガイド」、「できるWindows 10 改訂3版」(インプレス)など、著書も多数。ホームページはこちらImpress Watch Videoで「法林岳之のケータイしようぜ!!」も配信中。