三井公一の「スマホカメラでブラブラ」

グーグル「Pixel 9 Pro Fold」は8インチ大画面で編集も快適! Pixel WatchやPixel Budsとの組み合わせも

 グーグルから2世代目となる折りたたみ式のAndroidスマートフォン「Pixel 9 Pro Fold」が発売された。カメラ性能機能も向上し、端末としての使い勝手もよくなっている。

 今回はグーグルから登場した新しいアクセサリー「Pixel Watch 3」、「Pixel Buds Pro 2」とともに撮影や写真編集を楽しんでみた。端末のスペックや機能、価格など詳細は本誌別記事を参照していただきたい。

「Pro」シリーズになった「Fold」

 端末シェアを勢いよく伸ばしているグーグル「Pixel」シリーズ。前モデルでは「Pro」の名を冠さない「Pixel Fold」だったが、最新の「Google Tensor G4」を搭載してチップセットが同等になり、ようやく「Pro」端末の一員となった形である。

 デザインも直線基調となり、高級感とホールド感、使いやすさがアップしている。何といっても薄さが魅力である。たたんだ状態での最薄部は5.1mmで重量も257gと携行性が抜群で、スマホとタブレットが1台にまとめられるイメージなので機動性が高まる。

 ディスプレイサイズは、開いて8インチのSuper Actua Flex インナー ディスプレイ(解像度は2076×2152)、閉じて 6.3インチのActua アウター ディスプレイ(解像度は2424×1080)となっており、明るさ、発色ともに十分で、撮影時はもちろん写真編集時にも視認性が高くなっている。そしてフルフラットにオープンできるようになったのが何よりもうれしい。大迫力である。画面比率も1:1に近くなった。

「Pixel 9 Pro Fold」に搭載されるアウトカメラは?

 チップセットが最新の「Google Tensor G4」になり「Pro」シリーズ入りを果たした「Fold」だが、カメラは完全な「Pro」シリーズとはならなかった。折りたたみ式で薄さを追求したためか、「Pixel 9 Pro」、「Pixel 9 Pro XL」と同等にはできなかった模様だ。薄いボディにカメラユニットの搭載が難しかったのではないかと考えられる。とはいえ写りは良好だ。安定感のある「Pixel」画質を大画面で堪能できるのがいい。

 アウトカメラは3つ搭載されている。

  • 48MP広角カメラ(F/1.7)
  • 10.8MP望遠カメラ(F/3.1 光学5倍ズーム対応)
  • 10.5MP超広角カメラ(F2.2)

 他に自撮り用のインカメラとカバーカメラを備えており、合計5つのカメラが搭載されているわけだ。

 他端末と同様に「プロ」モードによるRAWとJPEG同時撮影や、マニュアルモードライクな撮影設定ももちろん可能である。AIを活用した新機能「ズームエンハンス」(ズーム画質向上)、「オートフレーム」、「イマジネーション」、「一緒に写る」もちゃんと使えるようになっている。

 新しいUIの「パノラマ」、簡単に呼び出せるようになった「天体写真」モードもしっかり搭載されている。折りたたみというスタイルを活用した、子ども撮影時に有効な「こっちを見て」撮影機能も面白い。

画角比較カット

 「Pixel 9 Pro Fold」は0.5倍の超広角から最大20倍までのデジタルズーム撮影が可能だ。

0.5x
1x
2x
5x
10x
20x

 どの画角もメリハリが効いていてシャープな描写になっている。

 フルオープンにしての撮影は、画面の隅々まで被写体を詳細に確認してのシャッターレリーズが可能で、大判カメラを使っているような撮影体験でなかなか面白いものだ。

「Pixel 9 Pro Fold」でブラブラ実写スナップ

世田谷にある「七人の侍」撮影現場周辺を撮り歩いた。薄曇りの日だったが、的確なホワイトバランスで鳥居と湧水の微妙な色合いが再現できた
Pixelシリーズは夜景と望遠に強い。この「Pixel 9 ProFold」も最大デジタル20倍までの撮影が可能だ。堰に集まるサギの群れをデジタルズームで撮ったが、羽毛の様子から玉砂利までディテールを保っている様子が分かる
「Pixel 9 Pro Fold」は通常のスマホのように閉じて撮影してもいいが、オススメはオープンスタイルでの撮影だ。両手でしっかりと端末を構え、フレーミングに注力してシャッターを切るのが面白い。これは上野駅ガード下でラインを意識したカットだ
こちらも上野でのカット。不忍池で太陽をフレームに入れて撮ったが、この程度なら不快なフレアやゴーストの発生はないようだ。HDRが適度に効いており肉眼が見た印象に近い仕上がりである
前回記事で紹介したようにパノラマ撮影のUIが一新された。「Pixel 9 Pro Fold」も同様で撮影がとてもやりやすい。山上にあるダム湖でワイド感を簡単かつスムーズに表現できた
丹沢の山中から横浜みなとみらい地区を望遠カメラで。大気中の水蒸気による影響で像がやや霞んでいるが、ランドマークタワーなど知っている建物をしっかりと判別可能なほど確実に写しとってくれた
打ち合わせ時にランチに注文したパエリアを撮った。暗い室内だったが、的確な色再現と素材のシズル感が見事である
撮影後にビールを飲んだ。設定で「マクロフォーカス」をオンにしておけば被写体に気軽にググッと接近できる。色合いとグラスについた泡の雰囲気がいい感じ
東京都庁でプロジェクションマッピングを見た。前に座る外国人観光客を入れて都庁舎と正対してシャッターを切った。8インチのSuper Actua Flex インナー ディスプレイはフレーミングがしやすくて楽しい
大分県杵築市の夕暮れ。自然で優しい感じの日没をイメージ通りに撮れた。「Pixel 9 ProFold」は「プロ」設定もあるので好みに応じて絵作りを追い込むことができる
グーグル日本法人が入るビルと渋谷川。「Pixel 9 Pro Fold」も夜景に強い。シャドウ部からハイライト部まで美しくナイトシーンを写し出してくれた

グーグル「Pixel 9 Pro Fold」まとめ

 閉じてスマホ、開いてタブレットという使い方ができる「Pixel 9 Pro Fold」。2代目とあって薄く軽く、ディスプレイも大きく開くようになって使い勝手が向上した。最新のチップセットも搭載して、AIも活用できるし処理速度も向上したのがいい。

 カメラは他の「Pro」シリーズと同等というわけにはいかなかったが必要十分な性能を有している。超広角から超望遠まで、ナイトシーンやポートレートモード、AIを駆使した生成系まで楽しめる仕様になっている。

 同時に発表されたグーグルのアクセサリー、「Pixel Watch 3」、「Pixel Buds Pro 2」と一緒に使うとよりスマホライフが充実する。

 今回は飛行機内で撮影カットのセレクトとレタッチを行った。2つの画面に「Snapseed」(グーグル製の高機能無料写真アプリ)と「Googleフォト」をそれぞれ表示させて、写真の選択と現像処理を行った。ポケットに入るこの端末だけで手軽かつ快適に作業できるのがうれしい。「Pixel Buds Pro 2」はノイズキャンセル機能が向上し、飛行中の機内でもとてもクワイエット! 作業に集中できてよかった。

 「Pixel 9 Pro Fold」は折りたたみ式というスタイルを活かしての「テントスタイル」、「PCスタイル」などで作業ができる。そんなときに心強いのがグーグル純正のケースだ。

 「天体写真」モードで「Pixel 9 Pro Fold」を地面に置くときや、「Pixel Watch 3」をカメラのリモコンにして「Pixel 9 Pro Fold」を立てて自撮りをするときなど、傷から端末を守ることができるからだ。

 動画を撮影する際に設置するときも安心である。

 「Pixel Watch 3」を装着して自転車で撮影に行ったが、そのデータや行程を「Fitbit」で確認する際も「Pixel 9 Pro Fold」の大画面がとても有効であった。

 カメラが優秀なのはもちろん、グーグルのアクサセリーとの使用や、作品をストレージしてタブレット級の大画面でプレゼンテーションにも使えるので、フォトグラファーにとってとても使いがいのあるフォールディング端末だと感じた。

三井 公一

有限会社サスラウ 代表。 新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。 雑誌、広告、ウェブ、ストックフォト、ムービー撮影や、執筆、セミナーなども行っている。Twitter:@sasurau、Instagram:sasurau