【Optimus Vu L-06D】

使うたびにイライラしてしまう電子書籍アプリ

2012年9月28日 06:00
(村元正剛)

 Optimus Vu L-06Dを購入したら、ぜひ楽しんでみたいと思っていたことが2つある。1つは、ペンを使ったお絵描き。もう1つは電子書籍だ。

 電子書籍は、本屋や図書館に行かなくても、読みたい本を探して読めるので、非常に便利なサービスだと思っている。もっと正確に言えば「便利であるべきサービス」だと思っている。しかし、筆者がこれまでにスマートフォンやiPadで試した範囲では、その便利さを実感できることは少なく、むしろストレスを感じることのほうが多かった。

 画面サイズが3.5インチ~4インチ程度のスマートフォンでは、初期設定では文字が読みづらく、文字サイズを大きくすると1ページに表示される文字数が減ってしまうというジレンマを感じた。iPadは画面サイズとしては十分なのだが、持ち歩くには重く、家にいるときは、わざわざ電子書籍を読まなくても、本棚に未読の本がたくさんあるしなぁ、という本末転倒に直面した。現在、iPadでは、日本の書店では購入しにくい海外の雑誌のアプリ版などを読んでいる。

 5インチの大画面を搭載したOptimus Vuは、文庫本よりもひと回り小さいサイズ。通勤途中や、ちょっとした空き時間などに活用できるのでは……と思ったわけである。防水仕様だから、風呂に浸かりながらも読めるぞ! なんてことも考えていた。

 しかし、結論を先に言えば、Optimus Vuでの読書も、どうもしっくりときていない。便利さを実感できない。むしろストレスを感じることのほうが多い。というのが実情だ。

Optimus Vuに表示させているのは「BOOKストア」で購入した電子書籍を130%に拡大表示させたもの

 まず、画面サイズだが、当然、一般的なスマートフォンよりは大きくて読みやすいのだが、それでも、文庫本に比べると、まだまだ小さい。文庫本の文字サイズと同等の文字サイズに設定すると、1ページあたりの文字数は半減する印象だ。パラパラとページをめくる手間さえ、やっかいに感じてしまうのだ。

 電子書籍のサービスやアプリも、まだまだ発展途上で、ユーザーが「使いやすい」と思えるレベルには達していないと思う。筆者がOptimus Vuで試してみたのは、NTTドコモの「dマーケット」で提供されている「BOOKストア」、シャープの「
GALAPAGOS STORE」、LGのユーザー向けサイト「SmartWorld」からダウンロードできるようになっていた「BookLive!」の3つ。そもそも、いくつも電子書籍ストアが乱立していて、どんな本があるのかと、あちこち探しに行かなければならないのが面倒だ。

 「BOOKストア」は、使い始めるまでの準備が非常に面倒だった。「dマーケット」から「BOOKストア」に行くと、docomo IDでの認証を求められ、本を購入する段になると、再びdocomo IDが必要になり、さらにspモードパスワードも必要になり……。ようやく、ダウンロードできるかと思いきや、ビューアーアプリ「BOOKSストア マイ本棚」のアップデートを求められ……といった次第。2回目以降は、spモードパスワードの入力だけで購入できたが、本を選んで決済を完了するまでに画面をタッチする回数が多く、「読みたいときにすぐ読める」とは言い難い。また、ビューアーアプリの起動時にも待たされる感があり、選んだ電子書籍を開くときもやや時間がかかるのだ。

「BOOKストア」の画面例。読みたい本を探すのにやや時間がかかり、決済までにはさらに手間を要する購入した本を管理する「マイ本棚」アプリはシンプルだが、使う楽しさには乏しい

 「GALAPAGOS STORE」は、以前から利用していて、わかりやすいインターフェイスは気に入っている。ただし、機種変更をすると、前に使っていた端末で登録していたはずのクレジットカード情報が解除されていて、再度の登録が必要となり、少々イラッとしてしまった。ドコモケータイ払いにもできるのだが、購入手続きの際に、spモードパスワードの認証画面に飛び、再び「GALAPAGOS STORE」に戻って、さらにビューアーを起動して……というのが手間に感じている。

「GALAPAGOS STORE」は、アプリからおすすめの本を選んで、ストアの購入ページにジャンプできるなど、使い勝手は悪くない同じアカウントで購入した本は「ネット書庫」に保存され、端末にダウンロードして読める仕組み
「BookLive!」は直感的に操作しやすいインターフェイスになっているので、配信作数がもっと増えたら、また試してみたいと思っている

 「BookLive!」は、すっきりとした画面デザインで、使いやすそうな印象を受けたのだが、個人的に相性が悪いのか、利用登録時に何度もエラーが発生し、ストアへのアクセスにものすごく時間がかかったり……。また、文字フォントがあまり好きではないこともあり、ほとんどアクセスしなくなってしまった。

 というわけで、いまだ筆者は、快適に使える電子書籍サービス&アプリに出会えずにいる。Amazon.co.jpで本を買ったり、Google Playストアでアプリを買ったりする時と同じようにワンタップで決済でき、iOS向けの「iBooks」のように、PCから取り込んだPDFファイルなども一括管理できるような便利なビューアーアプリがあればいいのになぁ、と思うのだが……。もし、ご存知の方がいらっしゃれば、教えていただきたい。また、電子書籍に最適なのは、これから続々と発売されるであろう7インチ端末なのかなぁ、とも感じている。

 ちなみに、青空文庫を読める「i文庫 for Android」というアプリだけは、かなり気に入っている。iPadでも同じアプリを愛用しているのだが、紙の本に近いイメージで表示されるので、目に馴染みやすく、決済不要なので書籍データのダウンロードもあっという間。有料の電子書籍サービスも、まだまだ配信点数が少なく、読みたい本が見つかるとは限らない。タダで読める本だけを気軽に楽しむほうが、精神衛生上もいいように感じている。

青空文庫を読める「i文庫 for Android」は、有料(7.99ドル)だが、サクサクと操作できるのが心地よい紙の本と同じようなデザインで表示され、任意で行える設定メニューも充実している