使うほど便利なiPhone+ATOK Pad+Bluetoothキーボード

2011年5月13日 06:00
(白根雅彦)

 わたしは仕事柄、出先でメモを取る機会が多い。しかし、紙のメモ帳を使うことはほとんどなく、必ずデジタル機器でメモを取っている。キーボードの方が記録も速いし、保存性や検索性に優れているからだ。とくにインタビューや講演などの取材時は、高速なタッチタイピングができるフルサイズのキーボードが必須だ。

 テキストメモ記録環境は、いろいろなものがあるが、わたしは半年前からiPhoneとiPhoneアプリの「ATOK Pad」、Bluetoothキーボードの組み合わせを鉄板ツールとして実用している。普通にノートパソコンを使えヨ、と突っ込みたい人もいるかもしれない。わたしもそう思っていた。しかし実際にさまざまな場面でiPhone+ATOK Pad+Bluetoothキーボードを使うようになってから、この組み合わせにしかない便利さに気がつき、iPhoneがメインのメモ記録ツールとなってしまった。もうノートパソコンは一部の仕事でしか持ち歩かなくなっている。

 まずポイントとなるのは省スペース性だ。聴講者がびっちり詰まり、机の広さに制限のある講演会などでは、A4サイズの資料とノートパソコンを同時に拡げることはけっこう難しい。しかしiPhoneとBluetoothキーボードの場合、資料の横にiPhoneを置くなど工夫すれば、たいていの場合、A4サイズはもちろん、A3サイズの資料と一緒に置くことができる。

 卓上三脚を立て、プレゼンテーションスクリーンを撮影することがあるが、そういった場合も、三脚の足の間にA4書類とiPhone、キーボードを置くことができる。これもノートパソコンには難しいことだろう。三脚とリモコンを使えば、画面が変わるたびにカメラを構える必要がないので、結果的にテキストメモの入力効率も高くなる。

 バッテリー消費の少なさも大きなポイントだ。70g(1000mAh)くらいの外付けバッテリを併用すれば、5時間以上テキスト入力を続けても、バッテリー残量は100%を保っていられる。ATOK Padは上下逆表示にも対応しているので、Dockコネクタを上にしてスタンドに固定すれば、外付けバッテリーを使いながら延々とテキストを入力できる。

 もちろん軽量・コンパクトであることも重要だ。折りたたみのBluetoothキーボードならば、重さは200gほどで、大きさも文庫本程度だからカバンを選ばない。外付けバッテリーや簡易スタンドを加えても300gを切る。ノートパソコンを持ち出すのとは大違いだ。

 iPhoneがこれだけ便利なのだから、ほかのスマートフォンやタブレットも便利なのかも、と試したことはある。

 たとえばAndroidスマートフォンの中にも、外付けキーボードを接続できるモデルが何機種かある(REGZA PhoneやGALAXY Tabなど)。しかし日本語入力システムやエディタアプリが外付けキーボードを使用をあまり想定していなかったりして、たとえばソフトウェアキーボードを消せなかったり、キーボードでの操作に制限があるなど、ちょっとした不便さがあり、iPhoneほどの使い勝手に至っていない。

 iPadは画面が大きく、ソフトウェアキーボードはほぼフルサイズでタッチタイピングすら可能だ。しかしiOS標準の日本語入力システムは、ライターとしては満足できるものではない。変換精度にも不満はあるが、推測変換が強制され、それにより誤入力してしまうことがあるのも痛い。iPadはビューアとしては優れているが、エディタとして使うならば今のところiPhoneの方が圧倒的に有利だ。

 Android 3.0(Honeycomb)を搭載したタブレットも登場している。Bluetoothキーボードが接続できたりするが、しかしほとんどのアプリもタブレットのディスプレイサイズに最適化されていないので、まだ実用レベルにはないと言わざるを得ない。

 わたしはこれまでも、この手の非ノートパソコンのテキスト入力環境を、いろいろと試してきた。おそらく今後も、ほかの便利なツールが見つかれば、そちらに移行するだろう。しかしiPhoneは、比較的完成度が高く、長くメインツールとして使い続けられそうだ。