進化し続けるiPhone
iPhoneのソフトウェアのバージョンが2.2となった。日本で販売されているiPhone 3Gはバージョン2.0からのスタートだから、中規模アップデートは2.1に続き2回目となる。
iPhoneのアップデートでは、不具合修正だけでなく、機能追加も行われる。今回のアップデートでは、各種不具合の修正に加え、マップには新機能が追加され、SMSとソフトバンクのメールが絵文字に対応した。とくに絵文字への対応は、2.1の連文節変換対応に続き、日本市場を意識したアップデートと言えるだろう。
さて、今回のアップデートで個人的に気になったのは、マップ機能の強化、とくに「公共交通機関および徒歩による経路情報」という新機能だ。これは歩行者向けのナビゲーション、既存のサービスで言うと、NAVITIME社のサービスに近い。地図検索機能で調べた2点の最寄り駅間の乗り換え案内をしてくれて、GPSを使えば地図上に自分の位置を表示させながら目的地を目指せる。
良くできたサービスだと思うが、まだまだと感じる部分も多い。日本ローカルにおける経路探索のきめ細やかさで言えば、NAVITIMEの方が数段上だ。たとえばiPhoneのマップ機能では、徒歩の詳細なルートは検索されない。どこを歩くかは、ユーザーが決めなければいけないのだ。また、公共交通機関といっておきながら、路線バスには対応していないようだ。
しかし、iPhone/iPod touch版のNAVITIMEも、残念ながら現状では良いとはいえない。カーソルキーによる操作を前提とした普通のケータイと同じUIデザインで、操作性も動作の快適さも、iPhone標準のマップ機能に比べると快適とは言い難い。さらに現在、iPhone/iPod touch向けのNAVITIMEは有料会員の登録を一時停止していたりする。iPhoneの標準マップ機能強化とNAVITIMEの登録停止が重なったのは、いろいろ勘ぐりたくなる展開だが、個人的にはNAVITIMEには日本ローカルとiPhoneの両方に最適化したナビを開発して欲しいなぁ、とも感じるところだ。Mac OS Xにおける「ことえり」と「ATOK」の関係のように、標準機能とサードパーティの製品がうまく共存できると良いのだが。
このほかにも今回のアップデートではさまざまな新機能が追加されている。アップデート時のアナウンスに表記されていない部分も地味に変わっていたりするのも面白い。たとえばiPhone上のApp Storeからの複数アプリ一斉アップデートなどは、地味ながら良い改善だ。
いまのところ、iPhoneのアップデータは旧機種でも無償で提供されている。余談だが、1年前に発売された2G版のiPhoneでも、今回のアップデートでほぼ同じ新機能が追加される(さすがに海外のiPhoneでソフトバンクの絵文字は対応しないようだが)。旧機種でも、ちょっと不満に感じていたところが改善されていたり、思わぬ新機能が追加されたりというのは、なかなか嬉しいことだ。アップデートは、iPhoneの魅力であり、iPhoneユーザーの楽しみの1つといって過言ではないだろう。
iPhone 3Gの発売日は7月11日。前回のバージョン2.1は9月12日で、今回のバージョン2.2は11月21日だった。何の根拠もなくこれまでのペースが維持されると仮定するなら、次のアップデートは来年1月中、と大雑把に予想できる。1月といえば、アップル最大のイベント、Macworldがサンフランシスコで開催される(1月5日~9日)。来年のことを語ると鬼が大爆笑と言うが、アップルファンとしては、不毛な妄想が暴走してしまうところだ。あぁ、早く来年にならないかなぁ。