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格安スマホと高級スマホのカメラ対決の行方は?――Libre 5G III×AQUOS R7

AQUOS R7とLibero 5G III

 先日、ひょんなことからMNPで「AQUOS R7」を月々1円(24回目まで。25カ月目以降は月々3945円)で、回線なし・端末単体で「Libero 5G III」を月々1円(36回払い)で手に入れた。

 とはいえ、元のキャリアでの販売価格はLibero 5G IIIが2万4480円AQUOS R7が18万9360円と、7.7倍ほどの開きがある端末。センサーサイズ非公表の1300万画素のLibero 5G IIIに対し、4720万画素で1インチセンサーを誇るAQUOS R7。

 はたして、いかほどのカメラ性能に違いがあるのだろうか……? 気になったので、撮り比べてみた。

フリマ出品でも多用する物撮り

 まずは、理想的な環境下での物撮りだ。前提として、どちらのカメラも断りのない限り、通常の「写真」モードで撮影した。基本的にスマホ任せ。本誌に掲載するためのリサイズは行ったが、明るさや色合いなどの編集は行っていない。

AQUOS R7使用。2倍で撮影。F値はf1.94だった(そもそも公表されているF値がf 1.9)
Libero 5G III使用。2倍で撮影。F値はf 2.2だった

 どちらも、Webサイトに掲載する、あるいはスマホで閲覧するには問題ない程度に質感を捉えられていると感じた。ただ、拡大してみると差が現れた。

AQUOS R7で撮影した先ほどの写真を2倍表示したもの。毛糸のふわふわとした質感はそのままだ
Libero 5G IIIで撮影したものを2倍表示したもの。のっぺりとしてしまった

 次に、マクロ撮影もチェックしてみた。マクロといっても、寄れるだけ寄ってみたという程度なのだが。

AQUOS R7使用。1倍でギリギリまで寄ってみたが奥にピントが合ってしまった
Libero 5G III使用。こちらは3cm近くまで寄ることができた

 マクロ撮影に関しては、約200万画素マクロカメラを搭載しているLibero 5G IIIに分があった。小さいものをさっと撮るには便利そうだ。

 次に、物撮りでポートレートモードを使えるかどうかを試してみた。

いい感じに後ろがボケるAQUOS R7のカメラ。雰囲気のある写真を撮りたいときに便利そうだ
Libero 5G IIIは、被写体が人ではないと、ポートレートモードにしてもボケが生まれない

 ZTEの端末を使ってみたは、今回が初めてだったのだが、被写体が人物ではない場合にポートレートモードにならない端末も初めてだったため、少しびっくりした。ただ、Libero 5G IIIは被写界深度測定カメラを搭載しているので、Google Oneサブスクユーザーであれば、Googleフォト内でボケを出すように編集することができる。

屋外で出会う動物や植物を撮影

 次に、晴天のもとで日陰を歩き回る拙宅の猫を撮影した。スマホを両手持ちしたうえで、可能な限り、同じ画角、同じタイミングになるよう注意を払ったが、さすがに右手で持つAQUOS R7と左手で構えるLibero 5G IIIで同じ画角に収められなかった。

AQUOS R7使用。濃い色の猫の柄を見たままに表現している
Libero 5G III使用。毛ヅヤをしっかりと表現しているが、少し明るめだ
AQUOS R7使用。こちらも柄をはっきりと表現している
Libero 5G III使用。全体的に明るく、柔らかい印象で撮れている

 これまでAQUOS R7やiPhone 14で、猫の写真を撮影して楽しんでいたのだが、縞三毛の猫の顔色(?)が悪いのが気になっていた。もともと血色が良くないのだが、毛の色まで青白く撮れているのだ。

 Libero 5G IIIでは、明るさが気になるものの、ほぼ見たとおり、記憶に残っているままの色味で、満足のいく画像を得ることができた。

 2台のスマホを持って出かけたところ、公園にレンギョウが咲き誇っていたので、こちらも撮影してみた。

AQUOS R7使用。F値f 1.94で露出時間は640分の1秒
Libero 5G III使用。F値f 2.2、露出時間は665分の1秒

 Libero 5G IIIのほうが、被写体にぐっと寄れるのだが、美しいボケで主題がくっきりと浮かび上がるのは、やはり1インチセンサーを搭載しているAQUOS R7のほうだと感じた。色も濃い。

 近寄ることのできない頭上の花はどうだろうか。コブシの一種のタムシバと思われる花が咲いていたので撮影した。

AQUOS R7使用
Libero 5G III使用

 色がはっきりしているのはLibero 5G IIIだが、AQUOS R7はボケ味が美しい。また、AIパワーで、撮影者の意図を的確に汲み取って、主題となる花にピントを合わせ続けていたのに対し、Libero 5G IIIでは風で花が揺れるたびに、合焦する対象物も揺れ動いていた。

食欲をそそる写真はどっちだ?

 スマホカメラで食べ物を撮影することも多いだろう。おいしそうに撮れた写真を深夜にアップして飯テロを起こしたつもりが、自分の腹の虫が鳴ってしまうということも多々ある。

 では、AQUOS R7とLibero 5G IIIではどちらのほうがよりおいしそうな写真を撮ることができるだろうか。

AQUOS R7でちらし寿司を撮影
Libero 5G IIIでちらし寿司を撮影
AQUOS R7で天ぷらの盛り合わせを撮影
Libero 5G IIIで天ぷらの盛り合わせを撮影

 どちらもエビの照りや天ぷらのサックリとした質感などをしっかり表現しているが、AQUOS R7のほうが一眼レフで撮ったようなボケがあるため、まるでグルメ雑誌に掲載されている写真のような出来だ(言い過ぎ)。

 とはいえ、Libero 5G IIIの写真も、AQUOS R7で撮影した写真を見せられなければ、それなりにおいしそうに見えるのではなかろうか。

自撮りの実力は?

 最後に、インカメラの写り具合も見てみよう。スペック表では、AQUOS R7のインカメラ(サブカメラ)は1260万画素CMOSセンサーで、Libero 5G IIIは約800万画素と表記されている。今回は、見苦しくないようポートレートモードで撮影した。

AQUOS R7のインカメラ使用。明るさ、彩度、小顔、美肌、ぼかしの全項目を10段階中の「5」に設定
Libero 5G IIIのインカメラ使用。「ミラー」をオフにしたほかはデフォルトのままだ

 AQUOS R7では、かなりごまかしが効いているのがわかる。10段階中5の設定でこれなので、最高レベルで補正をしたらどうなるのか気になるが、試す勇気がなかった。

 一方、Libero 5G IIIは、ボサボサとした毛先をしっかり表現しつつ、背景をぼかし、メリハリをつけていると感じた。ただ、よく見ると、立っている髪の内側の背景をうまく処理しきれていない。

処理が追いついていないような印象の細部。ボサボサの髪の毛の向こう側だけ、背景がくっきりしている

 「ここが価格の差か……っ!」と思わずにはいられないが、むしろ全体を通して、この価格でここまで撮れるのに驚く結果となった。「Libero 5G III、あちこちで投げ売りしているけど、どうしようかな……」と悩んでいる人にとって、この比較が参考になれば幸いだ。

おまけ。どちらがAQUOS R7で撮影した桜でしょうか