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Google Pixel Budsを日本未発売の第1世代と比べてみた

【Google Pixel 4】

 筆者は英語が苦手。ですが、勉強も苦手な面倒くさがり屋なので、ドラえもんのひみつ道具に出てくる「ほんやくコンニャク」のように、テクノロジーの力でどうにか言葉の壁を越えたいという、他力本願な野望を抱いています。ここ数年はクラウドファンディングなどで、様々な翻訳デバイスを購入しては試しているのですが、残念ながら今のところまだ「これなら言葉の壁が越えられる!」と思える製品には出会えていません。

 そんな中、先日Googleから「Google Pixel Buds」が発売されました。最近よく見かけるるようになった完全ワイヤレスのBluetoothイヤホンですが、ペアリングが簡単、音が良いというほかに、スマホのGoogleアシスタントとの連携や、Google翻訳を使ったリアルタイム翻訳ができることがウリのひとつになっています。

2017年に米国で発売された第1世代の「Google Pixel Buds」(左)と、最新の「Google Pixel Buds」。ケースからも充電できるのは同じだがかなりコンパクトになった

 実はGoogle翻訳との連携をうたう「Google Pixel Buds」は、これが初めてのモデルではありません。日本では未発売ですが、米国では2017年秋に第1世代の「Google Pixel Buds」が発売されています。筆者は3年前、Googleのイベント中継でそのデモを見て、大変興奮しました。というのもGoogle翻訳はその1年ほど前、機械学習にニューラルネットワークを導入して翻訳精度を劇的に進化させていたからです。ワイヤレスイヤホンとGoogle翻訳の組み合わせは「ついに、『ほんやくコンニャク』の登場か!」と思わせるには十分で、ちょうど米国出張が重なったこともあり、そのままの勢いで購入しました。ただ当時、「Google Pixel Buds」でGoogle翻訳を使うには「Google Pixel」シリーズが必須で、他のAndroidスマートフォンは非対応。やむを得ず「Google Pixel」も一緒に購入したので、予想外に大きな出費になってしまいました。

 それでもどうしても「ほんやくコンニャク」、いやリアルタイム翻訳を試してみたかったのですが、第1世代の「Google Pixel Buds」は翻訳以前にワイヤレスイヤホンとして、満足できる製品ではありませんでした。まず耳に入れるパッドの部分が私の耳には大きく、サイズ調整もできないので、使っているうちに浮き上がってしまうという装着感の問題がありました。左右のパッドがケーブルでつながった仕様だったため、外れても落としてなくす心配はありませんでしたが、勝手に外れてしまうことが何度もあり、かなりストレスを感じました。

 リアルタイム翻訳も、当時既に日本語に対応してはいたのですが、日本語の音声認識がまだ全然使い物になりませんでした。日本で発売しなかったのは、この問題が大きかったのではないかと思います。英語から日本語の場合は音声認識率もそれなりに高かったのですが、聞き取った音声を翻訳してから日本語で読み上げるまでに結構な時間がかかり、これなら音声で聞くよりもスマホの画面を見た方が早いという感じでした。

第1世代は左右のパッドがケーブルでつながっていたが、最新の「Google Pixel Buds」は完全ワイヤレスとなり、カナル型になっている
同じ丸型のデザインだが、第1世代に比べて最新モデルは丸い部分がひとまわり小さくなっている。ここをタップして操作するのは同じ

 前置きが長くなってしまいましたが、そんな第1世代から3年を経て、今回発売された最新の「Google Pixel Buds」はどうかというと、まず装着感が劇的に向上しています。カナル型になったので、イヤーチップでサイズの調整ができるのも大きいですが、パッド自体もコンパクトかつ軽くなって耳にしっかり収まる感じで、首を振ってもまったく外れる気配がありません。左右独立の完全ワイヤレスになったので、首にケーブルがかかるストレスもなくなりました。一方でケーブルがない分、落とすリスクは高くなったと言えますが、しっかり装着できる上にパッドの外側が丸く、マスクのひもなどが引っかかる要素もないので、まず大丈夫ではないかと思います。

第1世代は飛び出たケーブルの輪っかの部分を耳に引っかける仕様だったが、収まりが悪く外に丸い部分がかなり飛び出していた。最新モデルは耳の中に収まり、飛び出しが少ない

 これも装着感がアップした効果だと思いますが、ノイズキャンセリング機能は搭載されていないもののある程度の遮音性があり、第1世代に比べて音もクリアに聞こえます。何より音漏れがまったく気になりません。タッチ操作をするパッドの丸い部分は第1世代のそれよりひとまわりほど小さくなっていますが、操作性はまったく損なわれておらず、装着が安定しているためかタッチの感度があがったのか、むしろ使いやすくなったように思います。

 そしてリアルタイム翻訳ですが、「Pixel 4」と組み合わせたので、音声認識がオフラインで可能になったことも影響しているのでしょう。音声認識から翻訳までの速度が向上しています。また日本語の音声認識の精度も、英語には到底及ばないものの、着実に良くなっています。ただ日本語の場合、認識した文章に句読点や句点が入らないので、長く話すと英語訳がおかしくなることがあります。一方英語から日本語への翻訳は、日本語の読み上げ速度は相変わらずゆっくりではあるのの、長い会話でもそこそこ使えそうです。

日本語は句読点や句点がうまく挿入されないため、長文になると翻訳がスムーズにできないケースもある。一方で音声認識技術は、精度、速度とも進化している

 これを使ってスムーズな会話ができるかというと、それはまだ難しいかもしれませんが、「ほんやくコンニャク」の世界が確実に近づいていると、実感ができるレベルにはなってきました。できればGoogle翻訳の画面を表示せずに、スマホはポケットに入れたまま、「Google Pixel Buds」の操作だけで双方向な会話ができるようになれば理想ですが、それもあともう少しのはず。他力本願で大変恐縮ですが、今後のアップデートに大いに期待しております。