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真の2画面スマホ「G8X ThinQ」5つの魅力+アルファ

 前回(※関連記事)の最後に触れた通り、15年近く長期契約していたドコモ回線からソフトバンクへMNP、手持ちのメイン端末をLGの「G8X ThinQ」へ切り替えました。

G8X ThinQ

 普段から本誌をご覧いただいている方はよくご存じかもしれませんが、G8X ThinQは、付属のディスプレイ搭載ケースに装着することで2画面スマホとして利用できる、一風変わったスマートフォンです。なお、「ThinQ」というのはLGが開発したAIプラットフォームの総称であり、端末を識別するための製品名としては「G8X」となります。

 製品発表時からなんとなく気になってはいたものの、発売直前のリリースでその興味がさらに高まり、店舗を巡って発売日に入手。実際に手にしてみると事前の期待を超えるほどに魅力的で楽しい端末でした。

 今回からしばらくこの愛すべき2画面スマホについて語っていく予定ですが、記念すべき第1回目は、G8X ThinQのどこが魅力的なのかを5つの視点プラスアルファでご紹介します。

ハイエンドのスペックと全部入りの機能

 2画面スマホのように特殊なタイプのスマートフォンは往々にして機能が抑えられていることが多いのですが、G8X ThinQはプロセッサがSnapdragon 855、メモリが6GB、ストレージが64GBとハイエンドクラスのスペックです。

 防水やフルセグ、無接点充電も備え、海外端末では省略されがちなFeliCaもしっかりサポートし、カメラはiPhone 11の登場でトレンドになりつつある超広角も対応。さらに最近では省略されることが多いイヤホンジャックも備えています。

イヤフォンジャック搭載。充電端子はもちろんUSB Type-C

 ストレージに関しては128GBあるとより嬉しいなとは思いつつ、外部ストレージとしてmicroSDが使えるので総容量としては十分。普段使っていて機能面ではほとんど文句がなく、動作もサクサクで快適。2画面という特徴のために隠れがちですが、スマートフォンとしての基本性能がしっかり高いのがG8X ThinQの良さです。

普通のスマホにもなる

 前述の通り、G8X ThinQの2画面は外付けのケースで実現しているため、ケースから外せば1台のスマートフォンとしても使えます。

ケースからはずせばふつうのスマートフォン

 G8Xの2画面はとても便利なのですが、時と場所によっては1画面で十分なことも。また、ケースを装着している時の充電はUSB Type-Cではなく専用アダプタを装着する必要があるため、ケースから外したほうが充電しやすいということもあります。

 筆者の場合、2画面を使いたいのはすぐにPCを取り出せない外出時のことが多いため、自宅ではケースから外して1画面で使い、出かける時にケースを付けるという運用にしています。ケースも取り外しやすい形状になっているため、家に帰ってきてさっと外すのもさほど苦ではありません。

 また、ケースを装着したままでもケースを反対側に折り返すことで、1画面のスマートフォン感覚で使うことができます。ケース付きのため本体は厚みがあり、折りたたんだ状態では背面のカメラやFeliCaが使えないという課題もありますが、ケースを外す手間はないけれど片手で操作したい、という時に便利です。

ケースを反対側に折りたためる

端末が安価

 2画面という特徴に加えて、ディスプレイケースを含む本体価格が55,000円程度という価格も注目のポイント。というより、発売直前に発表されたこの価格を見て一気に興味が高まった、というのが正直なところです。

 また、ソフトバンクはPayPayを使ったキャッシュバックキャンペーンを積極的に展開しており、キャンペーンによっては3万5000円近くキャッシュバックを受けられるため、実質2万円程度で入手することもできてしまいます。

 参考までにキャンペーンでは、オンライン契約で3万円相当、さらに端末購入で5,000円相当のPayPayが入手可能です。

ちゃんと2画面

 2画面というだけならG8X ThinQはそれほど新しいわけではなく、過去にも2画面スマホはありました。しかしG8X ThinQが新しいのは、2画面がおまけレベルではなくちゃんと2つの画面として動作するところです。

 筆者が以前愛用していた、国内における2画面スマホの元祖とも言える「MEDIAS W」は、本体こそ2画面なものの、2画面に表示できるのは一部のアプリに限られました。その後登場した「M Z-01K」も、2画面で表示できるのはAndroid標準の「マルチウィンドウ」対応アプリのみでした。

 2つの画面が対等の存在ではなく、あくまでメイン画面のサブ的な位置付け、それが今までの2画面スマホです。

 しかしG8X ThinQは2画面それぞれで表示するアプリにほぼ制限がありません。重いアプリを2つ起動して動作が重くなる、映像・音楽アプリは2つ同時に起動できないといった制限こそあるものの、一般的な使い方をするぶんにはほとんど制限を感じないで使うことができます。

 2画面が便利なシーンはそれほど珍しいものではなく、日常的に使っていると頻繁に遭遇します。片方の画面で位置情報ゲームを動作させっぱなしにさせておく、というわかりやすい例はもちろん、筆者が使っていて便利に感じたのはこのようなシーンです。

  • 待ち合わせ場所への地図アプリを見ながらSNSアプリで連絡を取る
  • カレンダーアプリでスケジュールを見ながらメールやチャットで日程を調整
  • 動画を見ながら届いたメールやSNSの通知はもう1つのディスプレイで内容を確認
地図アプリを開きながらブラウジング

 これらのことはアプリのマルチタスクを使えばできないこともないのですが、常時表示の便利さに比べると圧倒的に手間です。また、常に見ていたいゲームや動画はマルチタスクで切り替えると途中で止まってしまいますが、2画面を使って別画面で内容を表示すれば動画を止める必要もありません。

 端的に言うならG8X ThinQの2画面はパソコンの外付けディスプレイのようなもの。パソコンの場合は1画面にたくさんのアプリを表示できますが、基本的には1画面1つのアプリであるスマートフォンにとって、2つのアプリを同時表示して動かせるメリットはパソコン以上と言えます。

いじり甲斐がある

 日本初のAndroidスマートフォンである「HT-03A」を手にしてから10年以上が経過し、数十台のAndroidスマートフォンを使ってきた筆者にとって、最近のスマートフォンは生活必需品ではあるもののガジェットとしての魅力は薄れています。新しく買ったスマートフォンも初期設定が終わればいつも通り使うだけで、新しいガジェットを買ったわくわく感や新鮮さを感じることはほとんどありませんでした。

 しかし2画面で2つのアプリを組み合わせられるG8X ThinQは、使い方の組み合わせパターンも膨大。また、標準機能も2画面に向けて作り込まれた物が多く、「こんな使い方できないかな」と考えるのが久々に楽しいガジェットです。

 G8X ThinQを使いやすくするための個人開発アプリとして、2画面を1つの大画面として強制表示するアプリ、右画面のリンクを左画面で開くアプリなど、細かいながら使い勝手が改善するアプリも登場。こうやって個人開発アプリで便利になるという雰囲気は、往年の名機「W-ZERO3」や、HT-03Aが発売された頃のAndroid黎明期を彷彿とさせます。

本来1画面表示できないはずのGoogle マップをアプリ「G8X WideMode」で強制1画面表示

 こういう情報収集やカスタマイズはややマニアックではあるもののガジェット好きとしてはついつい楽しくなってしまうポイント。G8X ThinQに関する話題をネットで調べては「なるほどこう使うのか!」と新しいアイディアやアプリを知って楽しんでいます。

Galaxy Foldとは似て非なるもの

 G8X ThinQを使っているとよく比較されるのが、サムスンの折りたたみスマホ「Galaxy Fold」。スマートフォン2つ分の画面が使えるという点で似てはいるものの、実際に使ってみるとGalaxy FoldとG8X ThinQは似て非なる全くの別物です。

 端末を開くと画面がタブレットのように大きくなるGalaxy Foldは動画や電子書籍といったコンテンツ、地図アプリなどを楽しむのに魅力的です。一方で複数アプリの同時表示はアプリ側がマルチウィンドウに対応する必要があり、挙動としては1画面のスマートフォンと違いがありません。

 G8X ThinQの場合、マルチウィンドウ非対応アプリも2画面で表示が可能です。筆者の使っているNAVITIME、Messenger、BookLive!といったマルチウィンドウ非対応アプリも、G8X ThinQなら難なく2画面で表示できます。

マルチウィンドウ非対応のNAVITIMEとBookLive!もらくらく同時表示

一方で1つのアプリを大画面で表示するという点では、画面の真ん中に物理的な線が入るため、電子書籍などを除けば実用的ではありませんし、1画面で表示する機能も標準ではブラウザなど一部機能のみにしか提供されていません。

真ん中が物理的に分かれているため動画などの1画面表示には不向き

 価格差が大きいこともあり、G8X ThinQがGalaxy Foldの廉価版のように言われることもあるのですが、価格は別にしても2つの端末はまったくの別物。大画面を手軽に持ち歩きたいか、2画面を活用したいかが2つの端末を選ぶときのポイントでしょう。

 2画面という個性的なギミックを持ちながらスペックとしてはハイエンド相当で普通のスマホとしても使え、価格としてはミドルレンジ並み。そして2画面はおまけ程度ではなく2つのアプリを同時に表示して動作できるという点で、真の2画面スマホとも言えるG8X ThinQ。細かな機能やカスタマイズなどまだまだ語りきれない2画面の魅力を、今後もこのコーナーでお伝えしていきたいと思います。