DATAで見るケータイ業界

モバイル向け投資の大幅縮小が際立つKDDI(au)

 KDDIの会計基準が2015年度から国際会計基準に変更された。それに伴い、日本基準であった2014年度との前年度比較が困難になっている。特に今回は設備投資に注目し、その傾向をみてみたい。

 KDDIは2015年度(IFRS基準)に固定他が2200億円、モバイルは3150億円で、合計5350億円の設備投資を計画している。単純比較では、2014年度(日本基準)に比べ、固定他が増加、モバイルと合計が減少となり、2015年度は若干の投資縮小にみえる。

KDDIにおける設備投資額推移と計画(単位:億円)/MCA推定

 しかし、2014年度をIFRS基準に置き換えて、比較を行うと、違った面がみえてくる。固定他は2014年度に2209億円と、2015年度は前年度比0.4%減となっているが、モバイルは4466億円から同29.5%減と大幅な縮小が目立つ。モバイルの大幅縮小に伴い、全体の投資額も同19.9%減となっている。日本とIFRS基準を比較したIR資料では、やや投資縮小といったイメージであるが、実際にはモバイルと全体投資額の大幅縮小が際立つ形になる。

 KDDIとしては、2014年度までにLTEエリアにおけるカバー拡大向け投資が終了したと判断しており、投資抑制は致し方のないシナリオといえる。しかし、KDDI(au)向けに供給を行っている無線機や附帯設備ベンダー、エンジニアリング会社にとって、2015年度は試練の1年といえそうだ。

MCA

IT専門の調査・コンサルティング会社として、1993年に設立。「個別プロジェクトの受託」「調査レポート」「コンサルティング」などクオリティの高いサービス提供を行う。