DATAで見るケータイ業界
早くも百花繚乱状態となっているシェアリングサイクル市場の動向
2018年2月2日 07:00
このところ自転車のシェアリングサービスが各社より登場してきている。今回は、自転車シェア事業について取り上げていきたい。
国内において最も先行しているのがNTTドコモである。同社は2010年頃より実証実験を開始し、2015年2月にNTTグループ各社とともに株式会社ドコモ・バイクシェアを設立。自治体から委託を受けて運営する枠組みで江東区や千代田区、港区などの都内(計290カ所のポート、4210台の自転車が設置)、そして横浜や仙台などで提供しているが、東京五輪・パラリンピックが開催される2020年までには都内の自転車導入台数を現行比約5倍の2万台に引き上げるとしている。また、最近ではNTTドコモの法人部隊が企業向けにも販売を強化しており、既に約400社が法人契約をしているという。同社の電動自転車には通信モジュールが内蔵されており、NTTドコモの通信回線増に一役買っている。
同じ携帯大手ということでは、ソフトバンクグループのソフトバンク コマース&サービス(C&S)が世界で2億人以上が使うOfo(オッフォ)と協業し参入を発表した。また、同じグループ内のOpenStreetはセブン-イレブン・ジャパンと協業し、自転車シェアリングサービス「HELLO CYCLING」の全国展開を順次行っていく計画で、まずは埼玉県さいたま市で設置を開始し、2018年度中には1000店舗で設置する予定だとしている。
なお、コンビニ各社は、自転車のシェアリングサービスに関して積極的で、セブン-イレブン・ジャパンは、2017年2月にドコモ・バイクシェアとも協業することを明らかにしているほか、ドコモ・バイクシェアは2016年8月にローソンとの提携を発表済みだ。
ネット系の企業の動きも活発だ。LINEは2017年12月、Ofoと並ぶ中国大手の「Mobike(モバイク)」の国内展開を行うモバイク・ジャパンと資本業務提携して2018年上半期を目標に「LINE」アプリ内からMobikeの利用ができるサービス提供を目指すことを明らかにしている。中国系の2社は携帯会社のそれと異なり、決まった駐輪スペースを必ずしも利用しなくても自転車を使えるサービスモデルを検討している。
また、フリマアプリを展開するメルカリも2018年より自転車シェアリング事業「メルチャリ」の検討を行っていることを明らかにしている。2018年初めから都心部での展開を開始し、順次展開エリアを広げていく予定だという。2018年1月に米国ラスベガスで開催中の家電見本市CES 2018で初めてメルチャリで使う自転車の実物が公開され、話題になった。
一方、こうした盛り上がりに当初は参入を表明していたものの、一転して撤退したのがDMMだ。乗り捨てできる事業モデルを検討していたものの、放置自転車のつながり、企業イメージに影響を及ぼすことを懸念しての決断だったとされる。
早くも百花繚乱状態となりつつあるシェアリングサイクルの行方は、出自が違うもの同士の戦いという点からも興味を集めていきそうだ。