ケータイ用語の基礎知識
第606回:PRL とは
(2013/3/26 12:26)
「PRL」とは、直訳すると“好ましいローミングリスト”を意味する英語「Preferred Roaming List」の略です。ローミングエリア情報とも呼ばれます。
「PRL」は、通信業界の団体「3GPP2」によって標準化された、CDMA2000系の携帯電話端末が使用するデータベースです。どの周波数帯や、どの事業者のIDを利用するのか、優先順位付きで登録されています。つまりPRLを使うことで、携帯電話は、どのネットワークに接続するか、決めているわけです。
日本国内ですと、KDDI(au)の携帯電話がこのタイプにあたります。海外渡航時でも利用できるauの携帯電話には、PRLが設定されていて現地でローミングサービスを利用できるようになっているのです。
ちなみに、R-UIM(SIMカード)を使用するCDMA端末の場合、「PRL」はR-UIMに格納されます。つまり、auの携帯電話でau ICカードを使用する機種の場合、au ICカードにデータが登録されるわけです。
PRLのデータは書き換えられるようになっており、通信事業者(キャリア)が新しいバージョンを提供すれば、携帯電話上でPRLの更新手続きを行うことで、更新することも可能です。
その名前のとおり、国内の事業者だけでなく、ローミングで使用できる海外キャリアのデータも含まれています。auの場合、KDDIと国際ローミング契約を締結している海外の提携事業者のサービスエリアに関する情報も含まれるわけです。
海外でauの携帯電話を使用する場合、パケット定額サービス「海外ダブル定額」などもありますから、同一国内に複数の提携事業者が存在する場合でも、どちらへ先に繋げてみるべきか、という優先順位が存在します。こうした「どの事業者へ優先的に繋ぐのか」という内容も、PRLによって決めることができます。
提携事業者の増加や、エリアの拡大などで、PRLの新バージョンが登場すれば、端末側も最新版へ更新する必要があります。
携帯電話の購入時にPRLは自動で更新されるように設定されていますが、特に海外渡航時には事前にPRLを手動で更新しておくことが推奨されています。
auのiPhone 5、「○」問題の解決に
auのiPhone5には、アンテナマークの右が「KDDI ○」(丸い印)と表示されたままになることがあります。KDDIでは、こうした状況への対策として、「PRLの手動更新を行う」という解決方法を示しています。
アンテナマークの右にでる丸い印は、最大転送速度144kbpsの通信サービス「CDMA 1x」のネットワークに接続された状態を示しています。
KDDIの「au Q&A プラス」bで示されているように、この問題の原因は、3G、4G LTEにうまく切り替わってないと想定され、「PRL」のバージョンが「5」未満の場合はPRL情報の更新で、改善されることがあると案内されています。
iPhone 5では、以下の手順で「PRL」を更新できます。
- 日本国内から「*5050」宛に電話をかけます。
- ガイダンスが流れ始めたら、電話を切って待ちます。
- 画面上に「au ICカードのデータ更新が完了しました」という案内が表示されます。「了解」をタップし、一度電源をOFFします。
- あらためてiPhone 5の電源を入れます。
ちなみに、iPhone 5では、「設定」→「一般」→「情報」→「キャリア」から、PRLのバージョンを確認できます。