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ウィルコムは、総務省に対し、同社が商用サービスに向けて研究・開発を行なっている次世代PHS事業の進捗状況を報告した。報告内容は同社のWebサイトで確認できる。
次世代PHSは、従来よりも高速な無線通信サービス(BWA)の導入に向けた取り組みとして、ウィルコムが認定を受けたモバイルブロードバンドサービス。ウィルコムでは、新たに割り当てられた2.5GHz帯でPHSサービスを展開する方針。
■ 2009年4月に試行サービス開始
次世代PHSのサービス開始時期については、当初の開設計画に変更なく2009年4月にサービスインとされた。4月から試行サービスとして東京山手線の内側からサービスを展開し、2009年10月までに東名阪までエリアを拡大、商用サービスとして本格スタートする。
エリア展開についても当初の予定通りの計画とし、トラフィックの高い都市部からエリアを広げて、2012年度までに国内の都市全てをカバーする予定。現在、基地局数やエリア展開計画を前倒しして拡大することが検討されているという。
また、屋内のエリアについては、小型基地局を開発して、2012年までに約7,000局の設置を想定しているとのこと。先般、総務省が公開したフェムトセルの取扱方針案を受けて、次世代PHSにおいてもフェムトセルタイプの基地局を利用した屋内対策を検討するという。
なお、次世代PHSの基地局は現行PHSの基地局に併設される予定。現行PHSのトラフィックが高いエリアなどに併設する方針で、今回の報告によれば、2008年3月時点ですでに約8,000カ所の候補地が選定されているという。次世代PHS基地局のバックボーンは光回線となるため、メタル回線から光回線への切替工事は候補地が優先される。次世代基地局は京セラが開発を行なっている。
このほか、電波干渉については、隣接するN-STAR、衛星モバイル放送、固定系地域バンド、他社全国系BWA事業者との混信を回避するため、フィルタの設置や基地局間のサイトエンジニアリングの実施により対応する。また、事業者間でも調整を行なう方針。
■ 資金調達
ウィルコムでは、設備投資額について、2012年までの累計で1,113億円と試算している。現在、基地局の設置場所の選定や、基地局開発は順調に進んでおり、端末や基地局などの一部開発は、既に発注を行なったとしている。
また、資金調達については、開設計画通り現行PHSサービスの資金によって、次世代サービスを展開するとされた。今回の報告では、2007年度に8.8万件の純増を確保していると記載されたが、下半期に限って言えば約3万件の純減とふるわない。商戦期の3月は純増を記録したものの、他社の大幅純増と比較すると水をあけられた印象だ。ウィルコム広報部に資金調達について再度確認したが、現行PHSサービスの利益からまかなうとし、新たな資金調達先などの予定はないという。
■ 現行PHSとのデュアル端末
今回の総務省への報告は、2.5GHz帯を特定基地局開設指針に基づいて実施されたもの。今後四半期ごとに事業の進捗状況が総務省に伝えられる。なお、今回の報告に伴って、次世代PHSを事業展開していく上での課題を確認したところ、「順調に進んでいるため特にない」とのコメントを得た。
ウィルコムでは、次世代PHSを月額3,000~4,000円の定額制でサービス提供する予定。現行サービスと同様に、スマートフォンやPDA端末、W-SIMのようなモジュールを提供するとしている。また、1.9GHz帯の現行PHSサービスと、2.5GHz帯の次世代PHSサービスの双方に対応したデュアル端末の可能性について、現時点では未定ながら「前向きに準備していきたい」(広報部)と話している。同社は2012年度末までに約240万加入、売上高1,488億円を見込む。
■ URL
ニュースリリース
http://www.willcom-inc.com/ja/corporate/press/2008/04/18/index.html
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(津田 啓夢)
2008/04/18 17:37
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