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総務省、KDDI系とウィルコムに2.5GHz帯免許割当

羽鳥氏
 21日、総務省で電波監理審議会(電監審)の会合が開催された。終了直後に会長の羽鳥光俊氏による会見が行なわれた。会見では、「2.5GHz帯の免許はワイヤレスブロードバンド企画とウィルコムに付与」と答申したことが明らかにされた。

 一時は12月12日に開催された電監審で、2.5GHz帯の免許割当に関する答申が出されるとの予測もあったが、約10日ずれて、21日10時から会合が開催された。当初は2時間ほどで審議が終了すると見られていたが、最終的には約4時間半の審議を経て、KDDI系のワイヤレスブロードバンド企画とウィルコムの「特定基地局開設計画」を認可するのが適当とする答申が出された。

 会見冒頭、羽鳥氏は「2つの枠に4社申請し、客観的で公平、慎重な審査を心がけた。4回のヒアリングの機会を設け、さらに公開カンファレンスも行なわれた」と述べ、審査の公平性をアピールした。


長時間の審議、まずはOpenWinからの要望を検討

 羽鳥氏によれば、4時間半に及んだ審議は、総務省に寄せられた要望書を検討することからスタートしたという。この要望書は、前日の12月20日にオープンワイヤレスネットワーク(OpenWin)とイー・アクセス、ソフトバンクの3社が共同で提出したもの。羽鳥氏は、1つ1つの要望項目に対し、どのような判断を行なったのか丁寧に解説した。

 まず「電波監理審議会における諮問内容の関係者への公開と、意見聴取の機会」については、申請各社の権利や利益、あるいは公共の利益を害する可能性があるとして審議会そのものは非公開とした。また、既にヒアリングや公開カンファレンスを行なったことから、意見聴取は行なわず、21日中の答申を決定した。さらに、公平公正な審査をするために、会社名を伏せた状態で審議に入った。

 諮問内容の公開については、各社の利益を害さない範囲で、積極的に公開したいと総務省側が発言。そのため、会見開始時に報道関係者へ配られた資料は審議に用いられた物と全く同じとなっており、申請者名は「A社」「B社」「C社」「D社」と記載。資料では他社より優れているのは「A社」と「C社」であることがわかったが、A社がウィルコム、C社がワイヤレスブロードバンド企画であると確認できたのは、会見も半ばまで進んだ頃となった。

 要望項目のうち「認定後5年ではなく業務開始から5年の財務計画を比較」については、各社の計画内容は電波法の制度内で審査すべきとされ、当初の予定通りとされた。MVNOに関する要望は、電監審から総務省に対して、MVNO促進に向けた取り組みが充実するよう配慮すべきという内容を答申に付け加えることになった。

 申請者の株式に関する要望では、電波法の制度上、株式売却などを禁止するのは困難であると判断された。その一方で、「業務を確実に遂行すべき」という要望は当然のこととして、こちらも総務省に配慮するよう答申に付け加えられた。

 そして、アイピーモバイルが返上した2GHz帯の帯域については、そもそも今回の2.5GHz帯割当の方針を出したときには、返上されるかどうかわからなかったものであり、別々に切り離して審査すべきとされた。

 「競争力という点でWiMAX2社を選ぶべき」という主張については、2.5GHz帯の割当方針が定まった時点で、WiMAXや次世代PHSなど4つの方式の計画を受け付けることになっていたこと、またサービス競争はどのような技術でも可能であると判断されたことから、審査する上で考慮しなくて良いと判断された。


比較審査の項目は11種類

羽鳥氏からは、評価ポイントなどがあらためて説明された

羽鳥氏からは、評価ポイントなどがあらためて説明された
 今回の電監審は、総務省から「A社とC社に免許を与えることは適当かどうか」という諮問を受けて行なわれたという。申請した4社はいずれも割当方針で掲げられたポイントは満たしたことから、ポイントごとにどの企業が優れた計画なのか、比較する審議が行なわれた。

 比較審査する点として上げられたのは、全部で11種類の項目となる。比較によって、他社と比べて優位となれば「A」、やや優位な方向で差があると判定されれば「B+」、同等であれば「B」、他社にやや劣る方向で差があるとされれば「B-」、他社よりも劣るとされれば「C」と判定された。

 11項目のうち、技術的能力や管理体制、業務推進体制、混信防止対策といった5つの点では、各社いずれも「B」判定となり、横並びとなった。

 差が付いたのは、それ以外の6項目だ。まず、基地局配置計画でA判定を受けたのはワイヤレスブロードバンド企画。そしてウィルコムがB+判定とされた。このほか、電波の利用効率向上に向けた技術導入の計画や財務的基盤において、ワイヤレスブロードバンド企画とウィルコムが優位と評価され、最終的には、ワイヤレスブロードバンド企画が1位、ウィルコムが2位となった。

 羽鳥氏は各社ごとの評価について、「A社(ウィルコム)は、基地局開設計画や財務的基盤、技術開発と導入計画、そしてMVNO促進といった点で審査基準に適合する度合いが高い。一方で事業参入の新規性については適合の度合いが低い。B社(OpenWin)はネットワーク提供のみ行なう体制で、MVNO促進については他社よりも優れているが、他の審査項目では特に優位とは認められなかった。C社(ワイヤレスブロードバンド企画)は基地局開設計画や基地局整備計画、財務的基盤、技術開発と導入計画、技術導入に向けた過去の積極的な貢献が評価され、いずれも審査基準に適合する度合いが高い。そしてD社(アッカ・ワイヤレス)は、ドコモのノウハウを活用しつつ、アッカ主体となったことで新規性は他社よりも評価できたが、基地局配置計画は他社におとり、他の項目も特に優位とは認められない」と述べた。


設備投資とエリアカバーを重視

 質疑応答で、4時間半も審議したことについて尋ねられると、羽鳥氏は「慎重に審査したいと考えたこと、そして資料の細かな点まで詳細に総務省側から説明を受け、その上で委員から質問や意見を述べたため」と説明した。

 PHSが国産技術であることが審議に影響したかどうか、羽鳥氏は「そもそも割当方針を出した時点で、WiMAXや次世代PHSなど4方式を選んでいるのだから、そのあたりは関係ない」としながらも、「頭の中ではいろいろ考えたが」とも語っていた。

 4社を相対的に比べて、差を付ける形となったが、会見に同席した総務省側のスタッフは「設備投資やエリアカバーの計画を見ると、ウィルコムとワイヤレスブロードバンド企画は投資を抑えながら、より早くエリアカバーする形だった。単に安い物を買うのではなく、複数ベンダーとの取引で安くするといった方針が示されていた」などと説明。エリアカバーと投資額、財務的基盤の充実度が重要な比較項目になったとの認識を示し、資金難で事業を断念したアイピーモバイルの事例が多少なりとも影響したことを窺わせた。

 総務省では、電監審からの答申を受け、ワイヤレスブロードバンド企画とウィルコムの計画を認定し、免許を付与する方針を明らかにした。早ければ21日中にも認定式が行なわれる見込みだ。



URL
  総務省
  http://www.soumu.go.jp/


(関口 聖)
2007/12/21 14:53

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