|
|
|
AirH"にも対応したCFサイズのPHSカード「CFE-02」
|
|
|
|
着実に浸透するAirH"
今夏よりサービスが開始されているDDIポケットの「AirH"」は、定額及び準定額で利用できる料金プランを提供したことにより、モバイルユーザーを中心に着実に支持を拡げている。すでに、セイコーインスツルメンツ、TDKから対応端末が販売されているが、CF Type2に準拠した「CFE-02」がNECインフロンティアから発売された。実機を試用することができたので、レポートをお送りしよう。
第三のAirH"
|
NECインフロンティア/DDIポケット「AirH" Card petit CFE-02」。サイズ:約51.0(W)×5.0(H)×42.8(D)mm、16g。CF TypeII準拠。PIAFS2.2対応。
|
「ワイヤレスなのに使い放題」のキャッチコピーでスタートしたDDIポケットのAirH"。32kbpsパケット通信で無制限に利用できる「つなぎ放題コース」、32kbpsパケット通信とPIAFS 2.1/64kbps通信を動的に切り替えるフレックスチェンジ方式を採用し、最大25時間まで定額で利用できる「ネット25」という2つの料金プランが提供されている。固定網の世界ではADSLやフレッツ・ISDN、CATVインターネットなどの常時接続環境が整いつつあるが、AirH"はモバイルでもこれに近い環境を実現することが可能だ。ちょっとヘビーに活用したいモバイルユーザーはもちろん、企業ユースなどでも注目を集めており、すでにAirH"を利用した新しいソリューションの提供も始まりつつある。
今回発売されたNECインフロンティア製端末「AirH" Card petit CFE-02」(以下、CFE-02)は、今年発売された同社製「C@rdH"64 petit CFE-01」(以下、CFE-01)をAirH"にも対応させたものだ。CFスロットに装着できるAirH"対応データ通信カード一体型PHSは、すでにTDKから「AirH" Card petit RH2000P」(以下、RH2000P)が販売されているが、インターフェイスやボディサイズ、契約可能なコースなどに若干の違いを見せている。また、AirH"対応のデータ通信カード一体型PHSとしては、セイコーインスツルメンツのMC-P300(PCMCIA Type2)、TDKのRH2000P(CF Type1)に続く、第三のAirH"ということになる。従来製品との違いはあまり多くないが、その出来映えを見てみよう。
デザインや仕様はCFE-01とまったく同じ
くり返しになるが、今回発売されたCFE-02は同社が販売中のCFE-01をAirH"向けにしたもので、対応するサービスに違いはあるものの、形状などはまったく同じだ。LEDの位置なども変わりなく、動作も基本的には同じだ。
ただ、カード本体のカラーリングは、白とブルーの組み合わせから黒に変更されている。データ通信カード一体型端末は白やシルバー、ブルー、グリーンなどの色がよく使われているが、昨今のPDAやミニ/サブノートPCには黒やシルバーのボディカラーを採用した製品が増えてきている。そういう意味から考えれば、黒いボディの方が似合うのではないだろうか(元々、黒は何色にも合うんだけど)。カードを挿していて、あまり目立たないというのもうれしい。
|
|
サイズやデザインは従来のCFE-01(左)とまったく共通。
|
パッケージにはPCカードアダプタが付属。本体とデザインを統一している。
|
インターフェイスは従来製品同様、CF Type2に準拠し、各社のPDAやノートPCのCF Type2スロットに装着することが可能だ。パッケージに同梱されているPCカードアダプタを利用すれば、ノートPCなどのPCカードスロットにも装着できる。
|
|
ノートPCに装着。やや深めのPCカードスロットではLEDが見えにくいこともある。
|
ザウルス MI-E21に装着。突出部分は非常に小さい。
|
対応するOSはWindows 95/98/98SE/ME/2000/XPだが、Windows CE搭載のPocket PCやハンドヘルドPCでも動作する。各PC及びPDAの動作確認情報は同社のホームページで公開されているので、購入時には確認するようにしたい。ザウルスについては、すでにSharp Space TownでZAURUS MI-E21/E1/L1対応のドライバ及びユーティリティが配布されており、インストーラを実行すれば、ユーティリティとドライバが組み込まれる。
|
|
ザウルス MI-E21/E1/L1にはシャープからユーティリティとドライバが提供されている。
|
ドライバをインストールすれば、[接続機器]でCFE-02が選択可能。
|
Windows環境に用意されるユーティリティは、CFE-01のときと基本的に同じだ。機能的には必要十分条件を満たしているが、画面を見てもわかるように、内容は非常にシンプルなものだ。CFE-01の後発となるRH2000Pでは、DDIポケット向けのインターネット接続サービス「PRIN」への接続設定を簡単に作成できる機能など、モバイルに慣れたユーザーにも便利な機能が用意されているが、これに比べると、CFE-02のユーティリティはかなり見劣りがする。また、Windows CE環境については、CFE-01のとき同様、何のユーティリティも提供されていない。
|
|
Windows用ユーティリティ。設定項目は必要最小限。
|
元々、機能は限定されているが、もう少し使い勝手を考慮した工夫も欲しいところ。
|
データ通信はPIAFS 2.2/64kbps、PIAFS 1.0/32kbps、そしてAirH"で利用可能な32kbpsパケット通信に対応している。自営標準第三版にも対応しており、事業所コードレスシステムやワイヤレスTAなどの子機として利用することも可能だ。
AirH"は「つなぎ放題コース」のみに対応
ご存知のように、AirH"には2つの料金コースが設定されており、それぞれに接続するデータ通信モードが異なる。「つなぎ放題コース」は32kbpsパケット通信であり、「ネット25」は32kbpsパケット通信とPIAFS 2.1/64kbpsを動的に切り替えるフレックスチェンジ方式を採用している。この2つのデータ通信モードの内、CFE-02は32kbpsパケット通信のみに対応している。つまり、AirH"の契約としては「つなぎ放題コース」でしか利用できないわけだ。もちろん、その他の「データパック」などの通常契約もできるが、これはすでにCFE-01でもできることであり、ハードウェア的なスペックに違いがないので、その場合は敢えてCFE-02を選択する理由はない(カラーリングが違うというのはあるが)。
実際のデータ通信は、通常のPHSのデータ通信接続と大きな違いがない。AirH"の32kbpsパケット通信で接続するときは、電話番号の末尾に「##61」を付加するだけだ。ただし、プロバイダーによっては、32kbpsパケット通信のアクセスポイントの電話番号が異なることがあるので、忘れずに確認したい。ちなみに、DDIポケットが提供するPRINもアクセスポイントの電話番号が異なる。
気になるパフォーマンスについてだが、全体的に見て、今ひとつという結果になってしまった。CFE-02そのもののパフォーマンスを計測するため、PIAFS 2.1/64kbpsで接続し、FTPでファイル転送を試みたが、他のデータ通信カード一体型PHSで接続したときに比べ、数値的なバラツキが多い上、パフォーマンスも10%近く遅い結果になってしまった。AirH"の32kbpsパケット通信についても同様の結果だった。CFE-01をレビューしたときにも触れたことだが、CFE-02は小型化とのトレードオフで、データ通信カード部分の処理速度が遅くなってしまっているようだ。
ところで、AirH"の32kbpsパケット通信については、一部で「十分なパフォーマンスが得られていない」ということが話題になっている。この件について、DDIポケットでは、パフォーマンス不足の原因が主にバックボーン側にあることを明らかにしている。つまり、端末と基地局間でやり取りをする電波の部分については問題ないが、基地局からDDIポケットのネットワークまでのパケット中継網部分がトラフィックの増加により、フォーマンス不足になるケースが出ているとのことだ。そこで、同社ではパケット中継網の増強を前倒しし、十分なパフォーマンスが得られるように改善措置を取っているという。
長時間利用するユーザーなら「買い」
|
各社のCFサイズのデータ通信カード一体型PHS。カラーリングに黒を採用するのは珍しいが、装着時に目立たないのはうれしい。
|
さて、最後に「買い」の診断をしてみよう。AirH"はモバイル環境でもつなぎ放題が実現できるため、ヘビーなモバイルユーザーから企業ユースまで、幅広い層に注目を集めている。CFE-02はこのAirH"に対応した第三のデータ通信カード一体型端末として登場した。契約できる料金コースがつなぎ放題コースに限られるものの、世界最軽量というコンパクトサイズは魅力的であり、Windowsが動作するノートPCからPDAに至るまで、1枚で何通りも使えるというメリットを持ち合わせている。
ただ、辛口のコメントを書かせてもらえれば、データ通信は「いかに安定して使えるか」「十分なパフォーマンスが得られるか」も見逃せないポイントだ。その点、CFE-02は他製品に比べ、パフォーマンスが不足しており、使い勝手の面でもユーティリティが貧弱だ。特に、Pocket PCは今が旬のPDAであり、この環境に対して何もユーティリティを提供しないという姿勢は非常に気になる。これらの点は従来モデルでも指摘されていたことであり、今後の改善を期待したい。
これらの点を総合すると、CFE-02を購入対象として考えられるのは、ある程度、モバイル環境に慣れたヘビーユーザーであり、パフォーマンスよりも「長時間使えること」を優先したいユーザー向けということになる。
しかし、CFカード+αというカードサイズとつなぎ放題という環境は、いろいろな可能性を秘めている。RH2000Pのレビューでも触れたが、CFサイズのデータ通信カード一体型PHSを他の機器に内蔵して、今までにはなかった新しい機器を生み出すこともできるからだ。
・ AirH" Card petit CFE-02製品情報(DDIポケット)
http://www.ddipocket.co.jp/syohin/cfe-02.html
・ AirH" Card petit CFE-02製品情報(NECインフロンティア)
http://www.necinfrontia.co.jp/products/cf/cfe_02.htm
・ AirH" Card petit CFE-02動作確認機種(NECインフロンティア)
http://www.necinfrontia.co.jp/products/cf/pc_list.htm
・ AirH"Card petit[CFE-02]インストーラー(シャープスペースタウン)
http://zaurus.spacetown.ne.jp/kyotsu/update/airh/cfe-02.asp
・ AirH"サービス内容(DDIポケット)
http://www.ddipocket.co.jp/data/air.html
・ CF Type2対応で出っ張りが小さい「AirH" Card petit CFE-02」
・ NECインフロンティア製AirH" Card petitが11月2日発売
・ 幅広いモバイル環境に対応する「AirH" Card petit」
・ 「AirH" Card」か「C@rdH"64 petit」か、それが問題だ
(法林岳之)
2001/11/20 10:00
|
|
|
|
|