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ようやく発売された第3の折りたたみ「P503iS」
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噂のモデルがようやく登場
昨年、パナソニック初の折りたたみ式デザインを採用したiモード端末として発売された「P209iS」。そのコンセプトを継承しながら、P50xシリーズとして初めて折りたたみ式デザインを採用した「P503iS」が発売された。3月に開催されたCeBIT 2001などでも参考出品されながら、さまざまな要因で発売が延びていたモデルでもある。早速、機種変更で入手することができたので、いつものようにレポートをお送りしよう。
P503iのもうひとつの形
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NTTドコモ『デジタル・ムーバ P503iS HYPER』。サイズ:50(W)×97(H)×27(D)mm(折りたたみ時)、98g。オーシャンブルー(写真)、ジェットブラック、スターリングシルバーの3色をラインナップ。
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iアプリ対応の503iシリーズはさまざまなトラブルにもめげず、好調な売れ行きを記録している。各社とも個性的なモデルを投入しているが、なかでも折りたたみ式デザインを採用したN503iはやはり高い人気を獲得している。不具合発生により、一時的に販売が中止されてしまったが、SO503iの売れ行きも発売から約2カ月で40万台を超えたという実績を見ても好調なようだ。
今回紹介する松下通信工業製「P503iS」は同社製iモード端末として、昨年発売されたP209iSに次いで、折りたたみ式デザインを採用している。P209iSはiモード登場以降、常に高い支持を得ているNEC製の折りたたみモデルに対抗するべく投入されたもので、シェル型デザインやサブディスプレイなど、今までのPシリーズとはひと味違うテイストを持っていた。ほぼ同時期に発売されたN502itと並び、209i/502iシリーズの世代で最も成功した端末のひとつと言えるだろう。
「P503iS」はP209iSで好評を得た折りたたみ式デザインをベースに、503iシリーズのスペックに合わせて開発されたもので、昨年末のTelecom Asiaで展示されたこともあり、比較的早い時期から登場が噂されていた。当初はP503iの発売から数週間、もしくは1カ月後程度をメドに発売されると噂され、既報の通り、P503iに不具合が発生したため、発売時期が5月にずれ込んでしまったようだ。また、P503iSは503シリーズにおいて、初めて同一メーカーからの2機種目のモデルが登場したことになる。P503iとの違いやライバルとなる他の折りたたみ式デザインの503iシリーズと比較しながら、P503iSを見てみよう。
P209iSとP503iの機能を融合
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昨年発売されたP209iS(右)よりもひと回り大きいボディ。P503iSの方がやや男性に好まれそうなデザインだ。
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細かいスペックなどについては、NTTドコモや松下通信工業の製品情報、すでに掲載されているケータイ新製品SHOW CASEを参考にしていただくとして、ここでは実機を触った印象を中心に紹介しよう。
まず、ボディはP209iS同様の折りたたみ式ボディを採用する。シェル型デザインと呼ばれていたP209iSはかわいい印象のデザインでまとめられていたが、P503iSはサイバーな印象がさらに強く、どちらかと言えば、男性にウケそうなデザインと言えそうだ。ボディサイズはP209iSよりもひと回り大きいが、503iシリーズの中ではN503iに近いサイズで、SO503iよりもスマートに見える。
P503iSの外見で、折りたたみ式を採用した他の503iシリーズ異なるのはアンテナの位置だ。これはP209iSから受け継がれたスタイルだが、蝶つがいの近くからアンテナが伸びる構造になっている。ちなみに、ストラップの穴は蝶つがいの横背面側についているため、ネックストラップで首から下げると、アンテナが上を向くようになる。
アンテナ位置同様、P209iSから継承されたのが液晶ディスプレイの裏側にレイアウトされた「プライベートウインドウ」と呼ばれるサブディスプレイだ。ここには電波状態、メールや着信の有無、時間などが表示され、MEMOボタンを押せば、バックライトも点灯する。プライベートウィンドウとMEMOボタンのすぐ横には、IrMC 1.1準拠の赤外線通信ポートが備えられる。レイアウト的な制約があるのだろうが、取って付けたような位置にあるため、デザイン的にはかなりマイナスだ。また、細かいところだが、底面のデータ通信端子は従来の着脱式からN503iやSO503iなどと同じように、半固定式のものが採用されている。
液晶ディスプレイは最大256色表示が可能なカラー液晶を採用する。サイズは実測値で31.5×41mmとなっており、面積比ではSO503iを抜いて、最大サイズということになる。明るさではSO503iのTFT液晶に一歩譲るが、明るく見やすい印象だ。また、マニュアルには記載がないようだが、P503i同様、JPEG形式の画像の表示にも対応している。
ボタン類では中央のコマンドナビゲーションボタンが従来のPシリーズになかったものに変更されている。ストレート型の歴代P50xシリーズやP209iではスティック式を採用し、折りたたみ式のP209iSでは皿状のボタンを採用していたが、P503iSでは皿状の4方向キーと中央の決定キーを別体化したタイプが採用されている。N209iやN210iでも同様のキーが採用されているが、方向キーの動作が確実な上、決定動作などに割り当てられている中央キーが押しやすいのが特長だ。最近の携帯電話やPHSでは中央キーに各社の工夫が見られるが、スマートさと使いやすさをバランスさせているという点で、このスタイルのキーはひとつの定番になりそうだ。また、SO503iでボタンが液晶ディスプレイに干渉する問題が指摘されていたが、P503iSは本体を閉じた状態で真横から見ると、反対側が少し見えそうなくらいの透き間が空いており、ボタンが干渉するといったトラブルは起きなさそうだ。
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液晶ディスプレイは256色表示の大画面液晶を採用。実測値による面積比ではiモード端末最大。
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分離式のコマンドナビゲーションボタンと米粒のようなテンキーを採用。
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iアプリも若干の高速化
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プライベートウィンドウには日時や電波状態、メールや着信の有無などが表示される。
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P503iと大きく異なる外見に比べ、メニューをはじめとする内部はほとんど同じだ。待受画面でボタンを押すと、アイコン形式のメニュー画面が表示される。メニュー内にはiモード、iアプリ、iワープのアイコンなどが並んでおり、方向キーで選択して、中央ボタンを押せば、次のメニューが表示される。配列なども基本的には同じで、P503iを利用したことがあるユーザーなら、ほとんど違和感なく使えるはずだ。P502iを利用してきたユーザーもそれほど悩むことはないだろう。
機能面もほぼ同じだが、iアプリの実行環境は新製品SHOW CASEでも触れられているように、画面描画を中心にP503iよりも高速化されている。iモード公式メニューで配布されている各コンテンツプロバイダのiアプリもすでにP503iSを対応機種に加えているものがあり、今後、動作確認が取れ次第、対応機種に加えられていくはずだ。
これに対し、非常に不甲斐ないのが松下通信工業の提供によるiモード公式コンテンツー「P-SQUARE」だ。各携帯電話メーカーは自社の端末を購入したユーザーに対し、購入した端末の機能をすぐに試すことができるように、iアプリや着信メロディ、待受画面などを配布している。たとえば、富士通はF503iの発売日に「@Fケータイ応援団」で50本ものiアプリを無償で提供し、NECも「みんなNランド」で20本のiアプリを提供している。ソニーもSO503i対応の着信メロディや待受画面、三菱電機もD503iの発売時期に「D-Style」でiアプリなどを提供している。
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充電台はP209iSに続き、折りたたみ式ながらスタンド型を採用。場所を取らなくて使いやすい。
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しかし、松下通信工業はP503iの発売された時期こそ、P-SQUAREでiアプリなどを提供したものの、最終更新は3月30日で停止しており、原稿を執筆している5月13日現在、P-SQUAREにはP503iSに関する製品情報もなければ、iアプリや着信メロディ、待受画面といったデータはいっさい配信されていない(着信メロディはP503i用がそのまま利用できるが)。ユーザーの視点から見れば、松下通信工業はP503iで発生した不具合によって、多少なりともマイナスイメージを持たれているはずだ。そういった状況だからこそ、P503iSを購入したユーザーに対し、コンテンツを提供して、Pシリーズのアピールをすべきではないのだろうか。パナソニックというブランドはソニーなどと並んで、「製品を作るだけでなく、コンテンツや楽しみも提供してくれる」と解釈していたが、どうもそれは筆者の見込み違いだったようだ。厳しいようだが、NTTドコモの端末ラインアップをリードしてきたメーカーだからこそ、もう一度、ユーザーとの関係について考え直してもらいたい。
完成度は高いが、好き嫌いはあるかも
さて、最後に「買い」の診断をしてみよう。P503iに続くセカンドモデルとして登場したP503iS。昨年発売したP209iSで実現した折りたたみ式ボディの熟成度を高め、新たな折りたたみモデルの定番を目指している。P-SQUAREなど、松下通信工業としての姿勢に不満は残るが、全体的な完成度は高く、なかなか魅力的な端末に仕上がったと言えそうだ。
まず、Pシリーズのファンに対してだが、P502i以前の端末を持つユーザーであれば、購入対象として検討する価値はあるだろう。折りたたみ式ボディが気に入るか否かで評価が分かれるが、P503iよりもiアプリの実行環境が快適であり、液晶ディスプレイも大きいというのは十分なアドバンテージだ。
一方、折りたたみモデルを求めているユーザーについてだが、P503iSは503iシリーズの折りたたみモデルの中で最もサイバーなイメージが強い。定番感の強いN503i、カジュアルなSO503iに対し、ビジネスマンが持っても違和感のないところがP503iSのセールスポイントというところだろうか。やはり、最終的にはデザインをどう評価するかがポイントになりそうだ。
P503iSはNTTドコモの端末ラインナップの中で、常にライバルであるNシリーズの定番を崩すべく登場した端末だ。実際に、端末を触ってみると、Nをよく研究したと感じさせる部分もある。しかし、従来モデルを評価したとき同様、機能的な目新しさに欠けるのも事実だ。503iシリーズで2モデルをラインアップするからこそ、それぞれのモデルにボディデザイン以外の個性を発揮してもらいたいというのはわがままだろうか。
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503iシリーズの折りたたみ3モデル。定番のN503i(右)、カジュアルなSO503i(左)に対して、シャープでサイバーな印象のP503iS(中央)。
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・ P503iSニュースリリース(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/new/contents/01/whatnew0501.html
・ P503iS商品情報(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/i/lineup/p503is/p503is.html
・ P503iS商品情報(松下通信工業)
http://www.mci.panasonic.co.jp/pcd/p503is/
・ P503iS(松下)
・ NTTドコモ、折りたたみデザインのiアプリ対応端末「P503iS」
・ スタイリッシュにキメたい人のための「P503i」
・ パナソニックの折りたたみケータイ「P209iS」
(法林岳之)
2001/05/15 00:00
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